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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第76回

ソーラーケータイはこれからのメインストリームに?

2009年06月16日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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今週の1枚

【今週の1枚】au「SOLAR PHONE SH002」。液晶ディスプレイの裏にソーラーパネルを搭載し、多層膜コーティングによって端末カラーごとに違う色の光反射を楽しめる。電子ペーパーディスプレイを搭載した、スタンダードモデルとしてのソーラーケータイ

 auからシャープ製端末「SOLAR PHONE SH002」が発売されることで、いよいよケータイにもソーラーパネルが搭載されるようになった。そしてソフトバンクの「SOLAR HYBRID 936SH」も8月には登場する。ケータイにソーラーパネルが搭載されることは、どのような意味合いがあるのだろうか。そしてメジャーな機能となるのだろうか。

 今回、au端末についてはシャープ株式会社 通信システム事業本部の中田尋経氏、ソフトバンク端末については同じく澤近 京一郞氏にそれぞれ話を伺った。

ソーラーケータイを取り巻く背景
バッテリーと電波を気にするケータイユーザー

 地球環境問題、資源枯渇、そして安定しない原油価格。いずれをとっても、我々の生活に欠かせない「電気エネルギー」という資源の転換を迫られているのが現在の状況であることは説明するまでもない。しかし我々は既に「電気エネルギーを気にする日常」を送っていることにお気づきだろうか。

 生活インフラとなっているケータイは、電池によって動作している。ケータイのインフラが3Gに移行した当初は電池の持ちが非常に悪く、常に残量を気にしながら日常生活を送っていたし、現在のiPhoneユーザーはそのときの気分やノウハウを思い出しながら、電池を絶やさず交信し続けられる状態を保とうとしている。

 ケータイの画面の上部は、ある種の「ライフ」表示だ。電波が3本立っているかどうか。そして電池が減り始めるとだんだん不安になってくる。夜ベッドでケータイメールをやりとりしながらそのまま寝落ちしてしまって、充電し忘れた朝はぞっとする。この感覚はケータイ依存症の人たちだけのモノではなくなった。

 ケータイはいかにサボるか、ということに長けている端末。より弱い出力で通信できること、つまりバリ3状態でいることは、それだけで電池の寿命を伸ばしているのだ。「バリ3じゃないと不安」というのは通信できるかどうかだけでなく、どれだけ長く通信できるかにも関係している。

au端末

au端末では充電度合いが太陽マークによって表示される。今後「バリ3」ではなく「太陽3」がより重要になったりするのだろうか

 家の電気は消し忘れても、ケータイの電池は長持ちさせようとする。この歪んでいるとも言える省エネ志向は、常に身につけ、自分の分身、もしくは自分の経験や友人とのつながりが収められているケータイという存在だからこそ。地球が自分の経験やつながりを司っていると考えれば、もっとエコ活動も活発になりそうなモノだ。

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