雨の振る5月28日に慶應義塾大学三田キャンパスにて、アスキー総合研究所主催の連続トークセッション「コミュニケーションデザインの未来」第4回が開催された。
今回のお題は“「モンスターハンター」のコミュニケーション戦略”ということで、カプコンから、同作品のプロデューサーである辻本良三氏を講師に招き、同作品がコミュニケーションツールとして活用されている現状と、カプコンの採った戦略などについて約2時間にわたってトークが行なわれた。
トークセッションでは、休憩を挟んだ後半から「モンスターハンター ポータブル 2ndG」(以下、MHP2ndG)がコミュニケーションツールとして使用されるために開発時から狙っていたことといった、開発秘話が披露された。そのなかからポイントとなったいくつかのキーワードがあったので、紹介していこう。
「3人ではなく、4人プレイで役割分担」
「MHP2ndG」をオンラインプレイする際のパーティー編成の最大人数は4人となっている。ゲームのプレイスタイルからいけば、3人パーティーでも役割分担的には問題なかったのだが、コミュニケーションを生むために4人パーティーにしたと辻本氏は述べた。
まず基本としては、3人よりも4人のほうがクエストを攻略する際の難易度は落ちるため、プレイヤーにも余裕が生まれる。その余裕からコミュニケーションを取りやすくなるといった点や、初心者に教えながらプレイする際も戦力外の初心者が邪魔者扱いされることなく、仲良くプレイできるといった点があるという。
「アナログなコミュニケーションこそ重要」
辻本氏は、「MHP2ndG」を開発する際に、オンラインゲームとは違った携帯ゲーム機としての特性と、直接顔をあわせるというデジタルではなくアナログな方法を取らないと一緒に狩りにいけない点は、非常に重要なポイントになっていると語った。
それは同ゲームのプレイスタイルが、“一人でも遊べるけど、みんなと遊んだほうが楽しい”という、辻本氏が子供のころにファミコンで遊んだ思い出が関係しているという。
続けて辻本氏は、「皆さんにも、ファミコンで新しいソフトが発売されるとソフトを持っている友達の家に行き、みんなでワイワイ話しながら遊んだり、ゲームの攻略情報を学校で交換するといった思い出があるだろう。そんなやり取りを『MHP2ndG』では行なえるようにしたことが、口コミで同タイトルの知名度が拡がっていったことに関係している」とMHP2ndGがヒットした秘訣を語った。
発売時期も口コミなどで情報が広がりやすい、学校などが長期休業ではない時期に発売し、学校などの口コミネットワークを使った広がりを利用しているとのこと。「MHP2ndG」の話とはずれるが、Wii用で発売される「MONSTERHUNTER 3」は8月発売と学校が夏休みの真っ最中となっているが、これは、携帯ゲーム機と据え置きゲーム機のゲームスタイルの違いのためだという。
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