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遠藤諭の「0(ゼロ)グラム」へようこそ

モンハンのヒットの理由、知りたくありませんか?

2009年05月27日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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『モンスターハンターポータブル 2nd G』

『モンスターハンターポータブル 2nd G』

 アスキー総研のゲーム市場レポート『電撃便』の集計によると、2008年度の国内のゲーム市場は、ハードウェアが対前年比27.5%減の1133万台、ソフトウェアは同11.9%減の6922万本。ゲーム市場全体の金額規模でも17.2%減の6065億円と、2004年度以降拡大を続けてきた市場規模が、5年ぶりに縮小した。

 ここ数年の景気後退を考えれば、昨年までゲーム市場が伸びてきたことのほうが不思議と映るかもしれない。そこで内訳を見ると、ハードウェアにおいてはWiiニンテンドーDSの伸びがあり、ソフトウェアではそれを支えた『脳トレ』や『Wii Fit』などのカジュアルゲームの存在がある。ゲーム市場は、その中身を大きく変質させながら、成長を保ったきたというほうが正しい。

 これらは、「ブルーオーシャン戦略」の成功例として引き合いに出される、任天堂によるものだ。ブルーオーシャン戦略とは、飽和して熾烈な競争を繰り広げるレッドオーシャンを棄て、新しい価値を提供する競争者のいない新市場に挑むことだ。全世界で1000万本以上売れているWii Fitは、いまだにWiiの販売に貢献し続けている。


ゲームがコミュニケーションを促す!?

 しかし、あらためて2008年度のゲーム市場を振り返ると、「コミュニケーション性」に根ざしたゲームが上位を占めた点にも注目すべきである。ソフトウェアの売り上げトップ5は、いずれも何らかのかたちでの人と人のコミュニケーションを軸にしていて、テレビの前でゲームに没入するようなタイトルは入ってこない。ポケモンやマリオカートは、コミュニケーションとしての遊びを演出しているし、Wii Fitは、ミュニケーションの場を画面の中からリビングに引っ張り出した。そして、新しいかたちのコミュニケーションを生み出していると指摘されているのが、『モンスターハンターポータブル 2nd G』である。

2008年度のソフトウェア売り上げ トップ5

2008年度のソフトウェア売り上げ トップ5(アスキー総研調べ)。ポケモンや任天堂勢の強力ラインナップに、モンスターハンターもしっかり食い込んでいる。モンスターハンターポータブル 2nd Gの販売数は2008年度中は約164万本。同年10月にリリースされた(通常版より価格が安い)the Best版と合わせると、出荷本数は300万本を超えている

 2008年度のゲームソフト市場は、5本のミリオンヒットを飛ばした任天堂が6年連続の首位を維持した。そうした中にあって、通信対応アクションゲームのモンスターハンターポータブル 2nd Gは、2008年3月に発売されるや過去の同シリーズを上回るヒットとなり、2008年夏ごろには、社会現象としてメディアにも取り上げられた。今年3月には、PSPソフト初の300万本超ヒットを達成。その後も、週間2万本前後の売れ行きを続けている。毎週ゲーム市場レポートを提供してきているアスキー総研だが、この1年間、毎週のミーティングで「モンハン」という言葉の出ないことはなかった。

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