Google Analyticsのメニューは、合目的的でもあります。今度はメニューを逆に見ていきましょう。
たとえば物販サイトの場合、いくらの売り上げがあったのかがeコマースメニューで分かります。商品の購入という目的を達成したユーザーがどのくらいいるのかがコンバージョンメニューで分かります。商品を購入するという目的を達成するのに適した手段となるページが何なのかはコンテンツメニューで分かります。あるページに到達するトラフィックが、他サイトでの紹介なのかリスティング広告なのかといった目的を達成するのに適したトラフィックが何なのかはトラフィックメニューで分かります。トラフィックはどの時間帯で多いのか、どのWebブラウザーで多いのか、そもそもユーザーは何人いるのかなど、何がトラフィックを増やす手段になっているのかはユーザーメニューで調べられます。
「なるほど、Google Analyticsの設計思想を理解しているから、専門家は迷わずにメニュー操作して知りたい指標をすぐに取り出せるんですね」――そのとおりです。ただし、指標をすぐに取り出せるから専門家ではありません。
そもそも企業が運営するWebサイトは、何らかの意味で利益を生み出す手段として運営されています。バナー広告でもアフィリエイト広告でも物販でもSaaS(Software as a Service)でも、何らかの形でお金儲けがしたいからGoogle Analyticsでログを解析し、目的があるから、指標を解釈して評価できるのです。
たとえばページビューは多い方が良さそうな気がしますが、回線費用がトラフィック量で請求される場合、売り上げにつながらないページビューは余分な費用の発生源でしかありません。売り上げにつながらないページビューのために高価なサーバーを用意するのは無駄でしかないでしょう。指標の多い少ないはレポートを見れば分かりますが、良い悪いは目的を定めないと合理的には判断できないのです。
◆
次回は、Google Analyticsがどのようにアクセスを解析しているのか、他の方式と比較しながら紹介します。アクセス解析の説明の前に、Google Analyticsそのものの説明が続いてしまいますが、実際の数字を見ながら説明していきます。
著者:中野克平(なかの かっぺい)
アスキー・メディアワークス技術部基盤研究課係長(兼デジタルコンテンツ部編成課係長)。ASCII.jpをはじめとするアスキー・メディアワークスのWebサイトについてアクセス状況を解析し、事業を改善する報告をしながら、基盤となる検索エンジン技術、Webアプリケーションの研究開発を担当している。