NECはビジネスノートPC「VersaPro」で、小型軽量さを追求した「UltraLiteシリーズ」を積極的に展開している。従来の光ドライブ内蔵「タイプVM」と、光ドライブがオプションの「タイプVC」があるが、新たに薄さ15.8mm(従来比4割減)、重量約725gとさらに薄型軽量化した「タイプVS」が追加された。
約10万円でSSD内蔵&ファンレスを実現
約725gと軽量薄型でモバイラーを直撃!
最大の特徴は、文字通り「ゼロスピンドル」を実現したところ。光ドライブはオプション(外付け)で、64GB SSDを標準搭載。CPUは低消費電力のAtom Z540-1.86GHzで、空冷用のファンも内蔵していない。つまりスピンドル(回転体)が一切なく、動作中はキーボードの打鍵音しかしない、究極の静音性を実現しているわけだ。
薄型軽量のボディーでも、従来のUltraLiteシリーズと共通の耐久性を持つ。高さ76cmからの落下試験、150kgの耐圧性能も備え、満員電車にも耐えうるという。また、ビジネスPCとしてキーボードの打ちやすさにも配慮し、キーピッチは17mm(従来モデルは17.55mm)、キーストロークは2.5mm(従来同様)を実現。ポインティングデバイスには、ホームポジションを動かさずに使えるスティックタイプを内蔵している。
キーボード奥にある空間を手前にして、パームレストを付けては? と思うかもしれないが、これにも理由がある。キーボードの下にはメイン基板やSSDなどが一切なく、キーボードが浮かない(強くタイピングした時にベコベコしない)ように底面にクリップされている。また、強度を維持するためリブが設けられている。
一方、基板とSSDはキーボード奥の狭い部分に、重ならないようにレイアウトされている。厚みを増やさず、熱を効率的に逃がすための設計で、放熱のためにカーボングラファイトシートで基板の熱をマグネシウム筐体に密着させ、ホットスポット(熱が集中する点)を作らないように熱設計しているという。
使い勝手の点でも、USB端子を左右と背面の3ヵ所に分散して設置。抜き差しの機会が多いUSBメモリーなどは左右の端子を、机上で光ドライブやマウスを長時間使う場合は背面、といった具合に使い分けられる。
ただし、薄型筐体を実現するためメモリー増設用スロットは非搭載で、オンボード1GB固定。OSはWindows XP Professional SP3をプレインストールしており、実用上のレスポンスはSSDの高速読み書き性能もあって不満はないが、用途はビジネスシーンなどに限られるだろう。価格は10万5000円、本日から7月27日まではキャンペーン価格として9万9750円で販売される。利用者を選ぶかもしれないが、同社の「モバイルギア」(NTTドコモから販売されたキーボード搭載の携帯情報端末)にも通じるモバイラー好みの1台と言えそうだ。