Windows 7には過去のアプリケーションとの互換性確保のため、今までのWindowsにない、新しい仕組みが導入される。それが「Windows XPモード」(以下XPM)である。本稿では、このXPMの実像を解説しよう。
基本はXP限定版「Virtual PC」
XPMとは、簡単に言えば仮想マシンソフト「Virtual PC」を使って、Windows 7上の仮想環境でWindows XPを動かすものだ。これにより、VistaやWindows 7で動作しなかったXPのアプリケーションを動かせるようになる。
XPMを利用するにはハードウェア側の条件を満たす必要がある。まず、CPUが仮想化機能をサポートしていること。インテルのCPUなら「Intel VT」(Virtualization Technology)、AMDなら「AMD-V」といった機能をCPUが搭載していなくてはならない。最近のパソコンでは、多くが仮想化機能をサポートしたCPUを採用しているのだが、BIOSで機能がオフにされていたり、BIOSの設定に仮想化機能のオン/オフ設定がなかったりする場合もある。BIOSの設定に仮想化機能があれば、それをオンにしておけばよい。
仮想化機能を利用して2つのOSを同時に動かすため、CPUにある程度のパフォーマンスがないと、XPMは遅くて使いものにならない。現状最速クラスのCore i7やPhenom IIなら十分だろうが、当然ながら直にXPを動かした場合ほどの快適さはない。
メモリーに関しては2GB以上。HDDはインストールに30GBほどが必要になる。ただし、このメモリーやHDDの量は、あくまで最低限の仕様。実用的にXPMを使うのならば、これ以上のメモリーやHDDが必要になる。
XPMを使えるエディションも限られている。Windows 7のProfessional以上(Professional、Enterprise、Ultimate)のエディションだけで利用できる。個人ユーザーにとっては、ちょっと高い投資になりそうだ。XPMにはXPのOS自体が含まれている。そのため、XPを別に用意しなくても、Windows 7のライセンスだけで使える。
XPMは64bit版のWindows 7上でも動作する(32bit版と64bit版のXPMが用意されている)。ホストOSとなるWindows 7には64bit版を使い、メインメモリーを8GBほど搭載すれば、XPMもそこそこ快適に動作するだろう。ホストOSが64bit版、ゲストOSとなるXPMは32bit版という組み合わせも問題なく利用できる。
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