現在、幕張で開催されている「フォトイメージングエキスポ2009(PIE2009)」。2日目の今日も新しいカメラやレンズを夢中になって触るカメラファンが多かった。この週末はPIEに行くか、桜を撮りに行くかで悩まされる人も多いのではないか。
そのPIEの会場において、アドビ システムズでプロフェッショナルデジタルイメージングプロダクトを担当するケビン・コナー氏が「デジタル化は序章に過ぎない」というテーマで会見を行なった。
同氏は「過去10年間で写真の世界が一気にデジタル化した。今後10年でより大きな変化が起こるだろう」と同氏は述べる。その変化の波の中で、注目すべきキーワードが「プレンオプティクス(Plenoptics)」だ。
プレンオプティクスで切り取る世界
現在アドビシステムズ研究所が研究している領域の1つが、プレンオプティクスだ。舌を噛みそうな名前だが、plenは「複数」を意味し、opticsは「光学レンズ」を意味する。つまり、複数のレンズを搭載した撮影機器のことだ。
下の写真がアドビが実験のために開発したプレンオプティクスのプロトタイプである。
左のカメラには19個ものレンズが搭載されている。つまり、1つの被写体を撮影する時に、絞りや露出など写真を撮るのに必要不可欠な条件をそれぞれ変えて撮影する。それらをコンピュータ上で合成させた後に、RAW画像の露出やホワイトバランスをPhotoshop上で調整するように、後から細かなパラメーターを変更させることができる。
19個ものカメラが押さえた写真なので、ありえないほど階調豊かなダイナミックレンジを表現したり、ピントを特定の場所だけに合わせて、特定の場所だけ外した作品もできる。レンズ数が多いため、撮影する画角も変わり、カメラマン自らが動かなくても後で最適な画角を判断できる。「もう少し上から撮ればもっといい角度だった」と後悔することもない。
実は昨年末に発表された最新のPhotoshop CS4には、ピントの違う写真を合成する技術は搭載されている。そういったPhotshopの正常進化の方向性の1つがプレンオプティクスなのだ。