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マイクロソフト、『Microsoft Exchange Server 2007』を正式発表――内部統制とホスティングにフォーカス

2006年12月12日 21時11分更新

文● 編集部 小林久

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マイクロソフト(株)は12日、『Microsoft Exchange Server 2007』の開発が完了し、企業向けボリュームライセンス版(VL版)の提供を15日から開始すると発表した。パッケージ版の提供は2007年1月30日から行なう。

横井氏
プレゼンテーションを行なった、マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部の横井伸好本部長

対応システムは、インテルまたはAMDの64bitプロセッサーを搭載したサーバーで、対応OSは、Windows Server 2003 x64 Edition。価格は、Exchange Server Standard Editionが、13万5000円(VL版、Open Business)、23万8000円(パッケージ版、5CAL付き)、Enterprise Editionが、76万9000円(VL版、Open Business)、129万円(パッケージ版、25CAL付き)。



内部統制に関わる機能を強化

Exchange Server 2007の主要機能は既報の通り。本日都内で開催された発表会でもいくつかのデモが行なわれたが、まず最初に強調されたのは、セキュリティーや内部統制に関する新機能だった。

Exchange Server 2007は、メールで個人情報が漏洩してしまう危険性を回避するための機能として“トランスポート ルール”の設定が可能になっている。これは、メール送信時に本文や添付ファイルをスキャンし、個人情報に関わる数値や文字列(電話番号や氏名など)が含まれていた場合、自動的にメールを企業の監査部に転送する機能だ。会場では、実際に電話番号の漏洩をフィルタリングする“ルールの設定方法”なども紹介された。

トランスポート ルール
トランスポート ルールの設定で、情報流出を防ぐことが可能

また、ファイルの更新履歴を残す“ジャーナリング”や“フロー制御”“アーカイブ機能”の強化もExchange Server 2007の特徴のひとつだ。デモを行なったマイクロソフトの担当者は、内部統制を強化するためには送受信したメールの履歴を一定期間残す必要性がある点に触れながら、「単なるバックアップでは監査には耐えられない」とその重要性を訴えた。Exchange Server 2007には、遠隔地に置かれたサーバーと同機を持たせ、冗長性の確保とデータ損失を防ぐ仕組みが用意されている。

一方、モバイル環境に関しては、端末の紛失が情報漏洩につながる可能性がある。このための対策が“リモート ワイプ”だ。紛失した携帯電話機やPDAのデータをリモートから削除し、出荷時の状態に戻せる機能で、ActiveSyncやダイレクトプッシュの機能が応用されている。ダイレクトプッシュとは、Exchange Serverの受信トレイに電子メールが着信するとすぐに、端末に通知し、自動的に端末内とサーバーの情報を同期する技術だ。国内で提供されている製品では、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの『hTc Z』などがこの機能に対応している。





アウトソース化の流れも取り込む

戦略面で注目したいのが、“Exchange Hosted Service”(EHS)との連携である。EHSは、2005年8月に買収した米FrontBridge Technologies社の技術を利用して提供されているASPサービスで、スパムフィルタリングやフィッシング対策などの機能が利用できる。

Exchange Hosted Service
Exchange Hosted Service

現在世界6拠点で展開されており、上述したフィルタリング機能(Hosted Filtering)であれば、1ユーザー当たり月額200円程度の固定料金で利用が可能だ。今年4月のサービス開始以来、エンタープライズ分野での導入が進んでいるが、これらの仕組みを自社開発するのに比べ、圧倒的に安価である点や、固定料金のため予算化が容易であること、緊急対応に関するコストを勘案しなくていい点、導入後不要であれば、サービスの停止が簡単に行なえる点などが、アウトソースによるシステムコストの低減という時流とうまくマッチしているという。

アウトソース化という観点では、メールサーバーを社内に持たず、システムインテグレーターにアウトソースする方向性も一般化している。Exchange Server 2007のリリースに際しても、W-ZERO3との連携を提供する(株)ウィルコムの“Access P-BERRY”など、6社との提携が発表されており、イニシャルコストの低減や、冗長化によるデータ保全対策などを定額料金で、丸投げできる点がメリットになるという。

発表会で登壇したマイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部の横井伸好本部長は、プレゼンテーション内でIDC Japan(株)の市場調査を引用。2004年以来、2年連続で国内の統合コラボレーティブ環境市場でトップを占めている点を強調。2005年の調査では34.7%のシェアだが、「全世界ではマイクロソフトは51%のシェアを占めており、まだまだ伸びしろはある」とさらなる成長への決意を表明した。

なお、Exchange Server 2007の発売にあたり、マイクロソフトは“Thank You No.1キャンペーン”を開催。これは、本日から来年6月29日までに、既存のExchangeサーバーからのアップグレードを行なったユーザーや、Lotus Notes/Dominoなどからの乗り換えを行なった顧客に対して、W-ZERO3 [es](1社あたり10台まで、先着1000台まで)やx64サーバーマシン(約50万円相当、1社あたり1台まで、先着100台)を提供するもの。



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