このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

FinePix S9100

FinePix S9100

2006年09月14日 22時55分更新

文● 行正 和義

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 横幅で128mmというサイズはレンズ交換式一眼レフデジタルカメラのコンパクト機に匹敵するサイズだけに、しっかり握りこめるグリップや各種ボタン類の配置は安心して撮影できる。特に同社としては珍しい存在である可変アングル液晶ディスプレーは非常に使いやすく、極端なハイアングルやローアングルだけでなくウェストレベル撮影を多用できるのは画作りに凝りたいカメラユーザーにもありがたい。

サンプルその1 アップ
サンプル1 最低ISO感度であるISO 80での撮影結果。露出はオートに任せているが、明るい部分に引っ張られることもなく暗部まできちんと撮れている。低ISO感度下では非常にノイズが少ないが、やや望遠よりだったこともあって拡大画像を見ると若干手ぶれが発生している。プログラムオート、1/40秒、F4.6、ISO 80。元画像は3488×2616ドットで、640×480ドットにリサイズおよびトリミングしたほかの補正はかけていない。
サンプルその2 アップ
サンプル2 ISO 800での撮影結果。拡大するとざらつき感はあるものの、高感度低ノイズをうたわないデジタルカメラではISO 100~200でもこの程度のノイズが出ることを考えれば驚くほどの低ノイズな画像となっている。プログラムオート、1/210秒、F5.6、ISO 800。
サンプルその3 アップ
サンプル3 最高感度であるISO 1600での撮影結果。リサイズ画像を見るとそれほど気にならないが、原寸トリミングを見るとノイズによってかなり荒れているのが分かる。絞り優先オート、1/450秒、F5.6、ISO 1600。

 液晶ディスプレーやEVFの表示を“DISPボタン”で切り替えることができるのはコンパクト機と同様で、画面上のステータス表示やグリッド表示、アシストウィンドウや表示なし(被写体のみ表示)などが選べるが、どのような表示モードでも側面のAF切り替えレバー部にある“INFOボタン”を押せばステータス表示となる。画面上に各種ステータスを表示させると被写体が文字や数字で隠れてしまい見づらくなることもあるため、必要なときだけ表示させられるのは便利だ。

サンプルその4 アップ
サンプル4 マクロ撮影などで絞り込みたいときに、手ぶれを抑えるためにISO感度を高めてシャッター速度を維持できるのは重宝する。ISO 400でも十分に実用域の画質となっている。絞り優先オート、1/20秒、F7.1、ISO 400。

 マニュアル操作を重視しているだけあってAFや露出補正などの機能には専用ボタンが用意されており、撮影時の各種機能へのアクセス性は良好だ。“Fメニュー”によって撮影時の感度や画質を選択、カーソルキー中央の“MENUボタン”によって細かな設定というFinePixシリーズに共通する操作性も残してあるほか、モードダイヤルを回すと画面上で説明付きアイコンが回るアニメーションが表示されるなど、デジタル一眼レフ入門者(特に“FinePix”シリーズのコンパクト機からのステップアップユーザー)にとって分かりやすい操作系になっているのは好感が持てる。

サンプルその5 アップ
サンプル5 35mm換算で188mmの望遠域で撮影。特に望遠域では手ぶれしやすいことを考えれば、感度をやや上げてシャッター速度を確保できるのはありがたい。プログラムオート、1/400秒、F6.4、ISO 400。

 画質に関しては、やや彩度を強調気味ながらそれほど不自然ではなく鮮やかな発色となっており、FinePixシリーズならではの絵作りと言える。今回のモデルチェンジの目玉とも言えるノイズ低減処理はなかなかのもので、低感度域ではほとんどノイズが感じられず、ISO 400クラスまでなら普段での撮影に供して問題はないと思えるほどだ。ISO 800となるとややノイズは増えてくるものの印刷したりリサイズすればほとんど気にならなくなるレベルで、ノイズ低減技術を大幅に強化していることがうかがえる。

サンプルその6 アップ
サンプル6 低感度域ではまったくといっていいほどざらつきは見られない。マクロモードは広角側で約10cm、望遠側で約90cmまで近接でき、スーパーマクロモードは広角端固定だが約1cmまで近接撮影可能。絞り優先オート、1/200秒、F4.0、ISO 80。

 とはいえ、ISO 1600ではまだまだノイズが多く、特に夜景などのように高感度かつシャッター速度の遅い状況下ではかなりざらついてしまう。もちろんノイズ低減技術は進歩してきており、他社のISO 1000前後の画像に比べるとノイズは少ないのだが、やや薄暗い程度の場所で十分シャッター速度を上げるために使うならともかく、夜景撮影などにはしっかりとした三脚の使用をお勧めしたい。

サンプルその7 アップ
サンプル7 液晶パネルの可変アングル機能により、人垣の上から俯瞰で撮影するような場合でもフレーミングできるのが非常に便利。広角側で撮影。プログラムオート、1/320秒、F2.9、ISO 100。

 同社が“ネオ一眼”という名称でレンズ一体型望遠機を立て続けに強化してきたのは、最近一段と入門クラスの一眼レフデジタルカメラの普及が進んでいるのもかかわらず、同社の「FinePix S3Pro」(2004年7月発表のレンズ交換型一眼レフデジタルカメラ)より下位となる機種がないことへの対応だと推測される。

 もちろん一眼レフデジタルカメラとレンズ一体型デジタルカメラをまったく同列に比べることは難しいが、レンズを何本も用意して被写体に合わせたレンズの選択を考えることなく、光学10.7倍ズームひとつで各種の被写体をカバーでき、CCDに載るゴミ(レンズ交換時に撮像素子が露出するため、レンズ交換型一眼レフでは撮像素子にゴミが付着することがある)を気にすることもない点は初心者のみならずとも大きな魅力となるはず。さらに可変アングル液晶という一眼レフデジタルカメラにはほとんどない機能は、さまざまなアングルでの撮影が楽しめるなど利点が多く、各種情報を一目で確認できるEVFの利便性も高い。“ネオ一眼”は単に一眼レフの“代替”やステップアップの“過程”といった存在ではなく、新世代のハイエンドデジタルカメラ足りうると期待させる一台だ。

FinePix S9100の主なスペック
製品名 FinePix S9100
撮像素子 有効903万画素 1/1.6インチスーパーCCDハニカムHR
レンズ f=6.2~66.7mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~300mm相当)、F2.8~4.9
静止画撮影 最大3488×2616ドット
ISO感度 オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当
動画撮影 640×480ドット/30fps
液晶ディスプレー 2.0インチTFTカラー液晶パネル(約23万5000画素)
ビューファインダー 0.44インチEVF(23万5000画素)
記録メディア xDピクチャーカード/CF Type II
インターフェース USB、AV出力、DC入力(ACアダプターは別売)、アクセサリシュー、シンクロ端子
電源 単3電池×4本(アルカリ乾電池/ニッケル水素充電池対応)
撮影可能枚数 約120枚(アルカリ乾電池)/約320枚(ニッケル水素充電池)
本体サイズ 128(W)×129(D)×93(H)mm
重さ 約650g(本体のみ)/約760g(装備重量)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン