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『MX Revolution』はこうして作られた――MX-Rの原点をアイルランドに訪ねて

2006年08月25日 01時22分更新

文● 塩田紳二

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スクロールを速くするには、ホイールを高速で回す必要があった。そこでホイールをモーターで回転させるなどさまざまな案が出たが、結局“弾み車(フライホイール)”を使うことになった。これは玩具の自動車などに使われているもので、慣性により重量のある円盤は一度回れば長く回り続けるというものだ。

コンセプト段階のモデル。オモチャのフライホイールを使ったり、モーター駆動やスライダーによる操作などが検討された

しかし現在のマウスが持つ“クリック感”にも重要な意味があった。指が感じるフィードバックや画面上の動きとの対応である。最近ではクリック感のないマウスも少なくないが、違和感を感じる人は少なくないだろう。単に慣れの問題という人もいるが、クリック感がないと何か物足りず、「どうしてもなじめない」という人もいる。現在マイクロソフトのマウスは“クリック感なし”になっているが、ロジテックのマウスはクリック感がある。

こうした理由で、ロジテックとしては次期製品においても、クリック感とフライホイールによる回転を両立させる必要があった。この課題にロジテックの開発陣が出した解答は、モーターによりクリック感を出す“ラチェット”を動かし、クリックをオン/オフするというものだった(モバイルユース向けの『VX Revolution』は手動切り替えである)。

MX-Rの“MicroGearプレシジョンスクロールホイール”の分解図。“Precision ratchet hub”と書かれた部品が、クリック感を生み出す
MX-Rの“MicroGearプレシジョンスクロールホイール”の分解図。“Precision ratchet hub”と書かれた部品が、クリック感を生み出す

クリック感のある状態(クリック・トゥ・クリックモード)では、ラチェットがホイール内側の凸凹をバネの力で押さえている。内部のモーターを回転させることでラチェット自体を内側に動かし、凸凹を押さえないようにすると、クリック感がオフになる。この状態でホイールは弾み車としてクルクルと回るようになるわけだ。

MX-Rの分解モデル。ホイールの後ろに充電池が内蔵される。本体上部にもスイッチなどの基板がある
MX-Rの分解モデル。ホイールの後ろに充電池が内蔵される。本体上部にもスイッチなどの基板がある
ホイール部分のカットモデル ホイールのユニットの拡大写真。モーターによるラチェット機構と一体になっている
ホイール部分のカットモデルホイールのユニットの拡大写真。モーターによるラチェット機構と一体になっている
ホイールは合金製で、重量を持たせている(約14g)。内側に突起があり、こことラチェットでクリック感を出している ラチェット機構を駆動する小型モーター。軸につけられた部品が回転することでラチェット機構を動かす
ホイールは合金製で、重量を持たせている(約14g)。内側に突起があり、こことラチェットでクリック感を出しているラチェット機構を駆動する小型モーター。軸につけられた部品が回転することでラチェット機構を動かす
開発部門では設計だけでなく、マウスの耐久性なども調査している。これはMX-Rのホイール部分のラチェット機構のテスト。クリック感のオン/オフをくり返し耐久性を調べる
開発部門では設計だけでなく、マウスの耐久性なども調査している。これはMX-Rのホイール部分のラチェット機構のテスト。クリック感のオン/オフをくり返し耐久性を調べる

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