総評&撮影サンプル
撮影画像はくっきりとした発色とメリハリの効いたコントラストなど、コンパクト機としても見栄えのする絵作りだ。ただ、複雑な沈胴機構によって薄型化しているためか、特に広角時の周辺の描写やや落ちてしまうのは残念。
撮影サンプル1 鮮やかな色調にくっきりとしたコントラストとなっており、やや強めのシャープネスがあるものの破綻のない絵作りとなっている。プログラムオート、1/500秒、F4.3、ISO 50。元画像は3072×2304ドット、それぞれ640×480ドットへのリサイズ、トリミングを行っているのみでそのほかの補正はかけていない。 |
薄型沈胴レンズ採用のEXILIM EXシリーズは1000万画素の「EX-Z1000」まで登場しているが、大型液晶を搭載によってスイッチ類を小さくしたZ1000や、モードダイヤルを追加した「EX-Z850」などを使い比べてみると、操作性に関してはさまざまな模索が行われていることが分かる。Z700はEXILIM Zシリーズの初期から継承するデザインや操作性とするなど外観・操作系には目新しいものはないものの、従来機から搭載されている、斜めから撮った名刺やOHPプレゼン画像を正面から撮ったように補正する機能や“トリプルセルフタイマー”、今回のオートフレーミングなどのように、新製品のたびになんらかの新ファンクションを盛り込むという姿勢には好感が持てる。
撮影サンプル2 ISO感度は50~400なのだが、標準のオートだとISO 200前後になることが多く、ややノイズが多めなのが気になるところ。プログラムオート、1/100秒、F4.6、ISO 200。 |
もっとも、Z1000のような撮影時にいくつかの機能をすばやくアクセスできるような機能(詳細メニュー)も欲しかったところだ。十字キーの左右がカスタマイズ可能とはいえ、露出補正をアサインしてしまうとISO感度やホワイトバランスはMENUキーを押して表示されるメニューから呼び出して設定せねばならず、また本機はホワイトバランスやISO感度などの設定は電源ON・OFFによってリセットされて“オート”(初期値)になってしまう。初心者が以前の撮影時設定をうっかり継承して撮影ミスしないようにとの配慮ではあるが、これらの設定もオートに戻すか、以前の設定を記憶できるか選べるとよかった。
撮影サンプル3 微妙な光源下でも安定した色調が出るホワイトバランスや適切なトーンとなる自動露出など、コンパクトカメラとしては良好な画質だ。1/250秒、F2.7、ISO 50。 |
EXILIMシリーズはコンパクトカメラとしての安定した出来のよさに加えて、デジタル的な機能を次々と追加することで飽きのこない製品作りとなっている。デジタル的な機能強化以外は高画素化のみというのは、最近のデジタルカメラとしてはやや物足りない気がするものの(光学高倍率ズームや光学式手ぶれ補正など)、今後とも操作性や各種機能の改善・改良などに期待したい。
“EXILIM ZOOM”EX-Z700の主なスペック | |
製品名 | “EXILIM ZOOM”EX-Z700 |
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撮像素子 | 有効720万(総741万)画素1/2.5インチCCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、f=6.2~18.6mm(35mmフィルムカメラ換算時:約38~114mm)、F2.7~5.2 |
静止画撮影 | 最高3072×2304ドット |
感度 | オート/ISO 50/100/200/400、ISO 800(ブレ軽減/高感度撮影時) |
記録メディア | 内蔵フラッシュメモリー(8.3MB)、SDHC/SDメモリーカード |
液晶ディスプレー | 2.7インチTFT液晶(15万3000画素) |
インターフェース | 専用クレードル端子(USB 2.0端子、USBクレードル&ACアダプター付属) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池 |
撮影可能枚数 | 約460枚(CIPA測定法準拠) |
本体サイズ | 幅88.5×奥行き20.5(最薄部18.6)×高さ57mm |
重量 | 約112g(本体のみ) |