独立行政法人の理化学研究所は19日、日本SGI(株)、インテル(株)と共に、理論ピーク性能が1ペタFLOPS(1PFLOPS)の分子動力学シミュレーション専用コンピュータシステム“MDGRAPE-3(エムディーグレープ・スリー)”を構築したと発表した。
![]() |
---|
“MDGRAPE-3”システム |
“MDGRAPE-3”は、1秒間に1000兆回の演算(粒子間に働く力を1秒間に27兆9000億回)を行なうことが可能で、スーパーコンピューターの性能ランキング“TOP500”で1位(16日現在)の米国ローレンスリバモア研究所が保有する米IBM社製“BlueGene/L(ブルージーン エル)”の理論ピーク性能(360テラFLOPS)の約3倍に相当するという(MDGRAPE-3は専用機であり、ベンチマークテスト“Linpack”を実行できないため、直接比較できない)。
![]() | MDGRAPE-3ボード |
---|
“MDGRAPE-3”は、理研が開発した分子動力学シミュレーション専用LSIチップ“MDGRAPE-3チップ”を24個搭載したユニット201台(計4808チップ)に、インテルのデュアルコアXeonプロセッサーの5000番台(開発コード名:Dempsey)コアを256個搭載した並列サーバー64台と、Xeon-3.2GHz(2次キャッシュメモリー1MB)コアを74個搭載した並列サーバー37台を接続した大規模システム。
理研は、2002年度にPFLOPS級の分子動力学計算専用計算システムの開発に着手し、2004年8月には心臓部となる高速専用プロセッサー“MDGRAPE-3チップ”を開発完了しており、今回構築した“MDGRAPE-3”は、新薬の開発期間の短縮や、病気を引き起こす仕組みの解明、生物に学んだナノマシン開発のための重要なツールとして利用される。
