東京工業大学は3日、スーパーコンピューティング・グリッドシステム“TSUBAME(Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)”が同日付けで稼動を開始すると発表した。理論演算性能は約85TFLOPS(毎秒85兆回の浮動小数点演算が可能)で、3月に稼動した高エネルギー加速器研究機構のスーパーコンピューターシステム(理論演算性能約59TFLOPS)や海洋研究開発機構の“地球シミュレータ”(理論演算性能約40TFLOPS)を抜き、国内最速になるという。
“TSUBAME”は、東京工業大学学術国際情報センターの松岡聡教授を中心とするグループが仕様を策定し、日本電気(株)がリードインテグレーターとして受注、2005年11月に導入に関する発表を行なったもの。デュアルコアOpteron 880-2.4GHz/885-2.6GHzを搭載したサン・マイクロシステムズ(株)の64bitサーバー“Sun Fire X4600”、米ClearSpeed Technology社製の浮動小数点演算プロセッサー『CSX600』、イスラエルのVoltaire社のInfiniband 10Gbpsネットワークシステムなどで構成され、OSにはSuSE Linix Enterprise Server9を採用している。メモリー容量は21.4TBで、ディスク容量は1.1PT(ペタバイト:京バイト)。学術国際情報センター内に設置され、占有面積は約350m2。ちなみに、x86系CPUを利用した“PCクラスタ型”のシステムとしてCPUコア数が10480の世界1になるという。
“TSUBAME”は、地磁気変動の将来予測や、生体物質の構造機能予測解析、タンパク質の折り畳み問題へのバイオインフォマティクス手法の応用、災害/防災/安全シミュレーション、カーボンナノチューブのシミュレーションなど、各種の研究プロジェクトで利用される予定。