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【INTERVIEW】AFP BB News松岡編集長――“引き金”が引ければ日本でも市民記者制度は動き出す

2006年03月09日 21時29分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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サイトのデザインはAFP BB Newsの世界観が一目でわかるように

[編集部] ウェブサイトの設計はどちらが担当したのですか。
[松岡氏] クリエイティヴ・リンクとソフトバンクで、喧々諤々の議論を重ねながら行なっています。
[編集部] AFP BB Newsにアクセスすると、報道写真のサムネイルが、Flashによるアニメーションで左右方向にぐるぐる回転しています。テキストと写真で構成された新聞社のニュースサイトと、デザインがまったく異なりますよね。
AFP BB Newsのトップページ
AFP BB Newsのトップページ
[松岡氏] 特にトップページはそうです。既存のニュースサイトはテキストが中心なので、そこを180度変えて、“フォトジャーナリズム”の世界観が一目で分かるように“ドラム形式(前述のFLAHによるアニメーション)”を採用しました
[編集部] “ドラム形式”を採用した狙いを教えてください。
[松岡氏] 多くの場合、ニュースサイトの記事は、テキストと報道写真で構成されています。テキストを中心にしたデザインは、“ニュースを端的に知りたい”という需要に応えられるでしょう。AFP BB Newsは、もう一方の要素である写真に力点を置いてデザインしています。

AFP BB Newsには、AFP通信社から1日2000枚近く写真が寄せらます。写真は1枚1枚が多くの情報量を持っていますから、それをいかに読者に伝えるか、さらに“世界には多様なニュースがある”ということをいかに直感的に伝えるか――。そうした課題を解決するインターフェースとして、現時点で最適だと思ったのがドラム形式なのです。
[編集部] “ドラム形式”のトップページや、最大1024×1024ドットという高解像度の報道写真を拝見し、米Corbis社のようなフォトアーカイブビジネスを目指しているのかと思いました。
[松岡氏] 写真が蓄積されれば、アーカイブ的な需要も満たせると思います。ニュースを検索して使いこなす、データベースとしての特徴も今後は出していきたいですね。


マリア・シャラポワ選手も高解像度で見られる
マリア・シャラポワ選手も高解像度で見られる

ユーザー課金の可能性はサービスを付加していくなかで検討

[編集部] 私見ですが、現在の仕様だと、Flashの再生環境が必須であったり、Flashの読み込みに時間がかかったり、記事本文が読めるのはログイン後だったりと、“早くてしかも内容が端的に分かる”という通信社による記事のよさが生かされていないと思います。
[松岡氏] その指摘は正しくて、今が完全版だとは思っていません。フォトジャーナリズムを追求するニュースサイトとして(テキストと写真の)主従を変えるつもりはありませんが、ニュースサイトとして最低限なくてはならないこと、読者が期待していることは付加していくつもりです。

それと、Flashの課題と、ログインの課題はまったく別物です。Flashを採用した第1の目的は、著作物を守るということです。写真には、電子透かしも入れています。

ただ、使い勝手の悪さは我々も認識しているので、将来的には変えて生きたいですね。例えば、これは未定ですが、記事は読むだけだったらログインは不要であるとか、ログインしていただくタイミングは今後検討したいです。 ユーザーインターフェースの部分は、現在が完成形だと思っていないので、利用者の皆様からもどんどん意見をお寄せいただければと思っています。
ユーザーが書いたブログのイメージ
ユーザーが書いたブログのイメージ。AFP BB Newsに掲載されている記事や写真(一部を除く)を、正規引用できるのが特徴
[編集部] Actiblog部分の機能拡張の予定はありますか。また、記事の正規引用を含めた、他社のブログサービスとの提携はいかがでしょう。
[松岡氏] Actiblogも、現在は本当にサービスを立ち上げたというだけで、カテゴリーの分類もまだできていませんし、自分と同じ興味がある人を探し出す機能もない。それらは、今後追加していきます。他社のサービスとの連携は、将来的に実現したいと思っていますが、まだ具体的にお話できるような段階ではありません。
[編集部] AFP BB Newsの収入は現在広告に頼ったものですが、「当面は無料」というアナウンスの「当面」の部分が気になっている読者も多いようです。
[松岡氏] 課金するとしても、相当先の話です。今後サービスを付加していくなかで、そのような選択肢もあるということです。
[編集部] 課金できるサービスとは、どんなものがあり得るのでしょう。
[松岡氏] 例を挙げると、“Yahoo! JAPAN”は無料だけれども、“プレミアム”(月額294円の有料会員サービス)も成立するわけじゃないですか。しかし、課金サービスに関する決定事項が現時点であるかというと、そこは企画中であり、明確には言えない。様子や反応を見たいというのが、正直なところです。


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