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【INTERVIEW】AFP BB News松岡編集長――“引き金”が引ければ日本でも市民記者制度は動き出す

2006年03月09日 21時29分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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日本人の視野が広がるチャンス!?

[編集部] AFP BB Newsの発表では“ニュースコミュニティサイト”という言葉が使われていましたが、今、なぜコミュニケーションメディアなのでしょうか?
2月の記者会見より
2月の記者会見より。左から、クリエイティヴ・リンク 代表取締役社長の古角将夫氏、時事通信社 代表取締役社長の若林清造氏、AFP通信社 CEOのピエール・ルエット氏、モビーダ・エンターテインメント 取締役 兼 (株)ソフトバンクBB 取締役の孫 泰蔵氏。孫氏はAFP BB Newsのエグゼクティブプロデューサーを務めている
[松岡氏] インターネットの利用環境を見ると、ブロードバンドユーザーが2000万人を突破し、多くの人が常時接続の状態で情報の受発信をスムーズに行なえるようになりました。そして、そのような環境の変化を受けてウェブログやSNSの利用が浸透しました。インターネットで自分の思いを発信して、それを気にしてくれる人がいて――というコミュニケーションが、一般に浸透しています。

ニュースという視点でいうと、やっぱり日本は、国際ニュースを読んでもらうのはハードルが高いと正直思っています。我々のサイトは、国際ニュースをAFP通信社から、国内ニュースを時事通信から提供いただいて、内外の情報を広く網羅しています。しかし日本は、海に囲まれているという地理的要因もあり、隣国と接している国と違って国際ニュースに対する関心が薄いですよね。

ところがここ数年の動きでいうと、韓流ブームをはじめ、中国、台湾など、芸能人の相互活躍を含め、他の国に対する関心が高まっている。この流れにうまく乗れば、他国の政治や経済、場合によっては軍事紛争などに対しても感心が高まり、日本人の視野が広くなっていく可能性がある時期に来ているのではないでしょうか。こういう時期に色んなニュースに触れていただきたい、もしくは発見してほしいという思いを持っています。

例えば海外で大規模な地震があったとします。日本では、地震が起こった直後には報道されますが、続報は少ない。AFP通信社の場合、例えば冬を目前に控えて凍えそうな被災者の写真であるとか、その後も定期的に情報が配信されます。そうしたニュースに触れることで、今までなかった感情、違う思いが、芽生えてくる可能性もあるでしょう。そういう機会を提供したいのです。


AFP BB Newsより。AFP通信社や時事通信の記事が読めるだけではなく、記者が書いた記事の下に“コメント”という形で感想や論評を加えて公開できる最大1024×1024ドットという、既存のニュースサイトではなかなか見られない解像度の報道写真を掲載する
これは「オーストラリア軍の東ティモールPKO活動に、新たな事実」という記事
[編集部] AFP通信社は時事通信と提携していますが、一般にはあまりなじみがありません。まずは、AFP通信社が配信する情報の厚みやクオリティーを伝える必要がありますよね(※1)。
※1 AFP通信社が抱えるジャーナリストは2000人。参考としては、記者の人数を公開している(株)朝日新聞社の場合、国内が約800人、海外(特派員)が51人。

[松岡氏] そうですね。日本はイギリスのロイター通信社が元々管轄していたので、AFP通信社はあまり知名度がないのかもしれません。そこも広げたいと思っています。
[編集部] 今回の企画は、ソフトバンクグループ、ネット系企画会社の(株)クリエイティヴ・リンク、時事通信社、AFP通信社と、多数の企業が参加していますが、そもそもどこから提案があったのでしょうか。
[松岡氏] お互いのいろいろな思いが合致してスタートしていまして、ビジネスモデルが先にあって提携先を探していたわけではありません。AFP通信社と提携できなければこういうことをやろうと思わなかったでしょう。AFP通信社の持っている資源を十分使えるというところで着地したので、企画もたくさん出てきました。
[編集部] 韓国で最大級のポータルサイト“Daum”を運営しているDaum Communications社は、60以上のメディアと提携した市民記者制度、言い換えればニュースコミュニティサイトを運営しています。AFP BB Newsは、できるだけ多くのメディアと提携して記事の配信本数を増やして規模を大きくしたいのか、AFP通信社や時事通信との関係をより深堀りしていきたいのか、どのような方向性を考えていますか。
[松岡氏] 今の時点では何とも言えません。ライバルという認識で警戒しているメディアもあるし、提携できる相手が増えたと興味も持ってくれているメディアもあります
[編集部] 提携したいメディアはありますか。
[松岡氏] 結論から言うとあります。明確にどことはいえません。一言で表わすなら、さまざまなところと共同して、エンドユーザーも含め“WIN-WIN-WIN”になれるのであれば取り組みたいですね。

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