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【Macworld Expo 2006 Vol.5】Intel Core Duo搭載! MacBook Pro会場レポート(後編)

2006年01月13日 21時41分更新

文● 編集部 野末尚仁

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macbook proアップルブースでは、やはり一番人気はMacBook Proで、5~10分程度は並ばないと触ることができない

Intel Core Duoを搭載したことにより、最も気になるのはそのパフォーマンスだろう。ジョブズはPowerBook G4に比べて4~5倍というが、それはあくまでもCPUまわりのベンチマークにおけるもの。体感的には、果たしてどうなのだろうか。

実際に使った印象を書く前に、MacBook Proのスペックをおさらいしておきたい。

MacBook Pro 1.67GHz MacBook Pro 1.83GHz
CPU Intel Core Duo Intel Core Duo
2次キャッシュ 2MB
システムバス 667MHz
メモリー(標準/最大) DDR2(PC2-5300)667MHz (512MB/2GB) DDR2(PC2-5300)667MHz (1GB/2GB)
HDD 80GB 100GB
光学式ドライブ SuperDrive(8倍速)
液晶モニター 15.4インチ(対角)、1440×900ドット
グラフィックス ATI Mobility Radeon X1600
VRAM 128MB GDDR 256MB GDDR
本体サイズ(W×D×H) 357×243×25.9mm
重さ 2.54kg
OS Mac OS X v10.4.4
価格 24万9800円 30万9800円

この中で、CPU以外にパフォーマンスに直結しそうなのは、まず2次キャッシュとシステムバスだ。どちらもPowerBook G4と比べると約4倍と、大幅に向上している(PowerBookでは、512MB/167MHz)。もちろんこれは、Intel Core Duoを採用したことで、チップセットもPCI Expressに対応したIntel製となったわけで当然といえば当然だが、単にCPUだけでなく、こうした足回りも同時にパワーアップしている点も見逃せない。またGPUもATI Mobility Radeon X1600が採用されており、グラフィックまわりのスピードアップが期待できる。

PowerBook G4とのスペック比較では、液晶モニターの解像度が15.2インチ(1440×960ドット)から15.4インチ(1440×900ドット)になり、インターフェースとしてS-Videoポート、内蔵モデム、FireWire 800がなくなった点なども異なる。

PCMCIAカードスロットがExpressカードスロットに変更されたのも、大きな変化だ。この規格自体は、PCカードの後継として策定されたものだが、まだ対応製品は少ない。メリットとしては、PCカードに比べて約半分のサイズながらも、より高速なデータ転送で少ない消費電力、さらにはホットスワップへの対応などが挙げられる。今後、PCカードで提供されている周辺機器やアダプターなども、順次Expressスロット対応製品が登場してくるはずだ。いずれにしても、インテルCPUへのシフトチェンジを機に、レガシーなインターフェースが一掃されたことになる。


純正アプリはどれくらい快適になった?

会場のデモ機だが、試用できたものはすべてCPUが1.83GHzの上位モデルで、メモリーは2GBだった。真っ先に試したのは、SafariやiLifeといった純正のアプリケーションがどの程度のパフォーマンスを見せてくれるかだ。結論から言うと、普段PowerBook G4 1.5GHzを使っている感覚から言えば、4~5倍は大げさかもしれないが、かなりのサクサク感を味わえる。特に、動作が重いことでは定評のある(?)iPhotoでは、アプリケーション自体のバージョンアップも功を奏しているのか、6200枚の画像が登録された状態でも起動時のアイコンジャンプ1~2回で画面が表示される。スクロールはもちろん、ライブラリーのプレビュー画面でサイズを変更しても、じつにスムーズな反応で気持ちがいい。

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iLife'06に含まれる新しいiPhotoは、MacBook Proで使うとじつに快適だ。特にスクロールの速さが印象的。従来のPowerBook G4ユーザーの身からすると、これだけで買い替えてもいいと思ってしまうほど

次に試したのは、iChat AVだ。MacBook ProはiSightがビルトインされたので、iChat AVを起動すると自動的にカメラがスタンバイ状態になる。アップルブースのマシンはすべてiChat AVに登録されているので、適当にほかのマシンをクリックして呼び出してみたところ、なんとか2人が反応してくれた(それまでに2~3人に断られてしまったが)。

この、iChat AVでビデオチャットをホストするという作業は、思いのほかマシンに負荷がかかる。ネットワーク環境もさることながら、マシンパワーを相当必要とするのだが、こちらも違和感なく動作した。さすがにフレームレートはさほど高くないが、「ややカクカクする」程度で滑らかなビデオチャットを行うことができた点は評価したい。少なくとも、PowerBook G4で同様のことをしようとすると、かなりのストレスを感じ、とてもチャットにならないものだ。

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iChat AVで3名によるビデオチャットをホストしても、非常に質の高い映像でやり取りできる。画面中央下にあるのは、アクティビティモニタで呼び出したCPU使用率のグラフ

なお、この画面中央下にあるのはCPU使用率のグラフだが、ビデオチャット中はこのグラフがかなり高い数値を示していた。グラフが2本あることが、CPUがDualであることを示している。

Rosettaで動くOfficeやPhotoshopは?

次に気になったのは、PowerPC向けのアプリケーションについて。

メジャーなソフトであればあるほど、従来のリソースを多く持つぶん、インテルCPUに最適化されたユニバーサルバイナリ化するのに時間がかかる。そうした、PowerPC用のソフトをインテル搭載Macで動作させるのが、Rosettaという技術だ。

会場のデモ機には、Microsoft OfficeとAdobe Photoshopがサンプルファイルとともにインストールされており、こちらも試すことができた。

ソフトウェアの互換環境というと、Mac OS XでOS 9までのソフトを動作させるためのClassicを思い出すかもしれないが、RosettaではPowerPC用ソフトをダブルクリックすれば、普通に起動する。実際、最初からわかっているのでなければ、どれがIntelに最適化されたソフトで、どれがRosetta環境で動くPowerPC向けのソフトなのかは見分けが付かないほどだ。

肝心の動作だが、「意外と普通に動く」というのが第一印象。純正の、最適化されたアプリケーションに比べるとさすがに緩慢な部分が目に付くが、個人的に使っているPowerBook G4 1.5GHzと同じか、やや遅いくらいと感じた。このあたりは、はやく実機を使って検証したいところだが、少なくとも実用度の点でいえば十分と言える。特に米マイクロソフト社のマック製品部門はOfficeのマック版について非常に前向きなコメントを出しているので、早期の対応版リリースを期待したい。iLifeのスピードアップを考えると、ユニバーサルバイナリ対応のOfficeが出た暁には、Windows上のOfficeとの速度比較など、じつに楽しみだ。

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Microsoft Wordと同Excelを使ってみた。ややもたつき感はあるが、実用レベルであるのは間違いない

Adobe Photoshopについては、Officeなどに比べると、もたつき感がやや強かった。もっとも、Photoshopの場合は扱う画像サイズや処理などにもよるが、マシン全体にかかる負荷が非常に高い。もちろんRosetta環境でも実用性は十分に確保されていることは付け加えておく。

なお、アップルブースの係員に、OfficeやPhotoshopはPowerBook G4で動かすのとどちらが速いのか、という質問をしてみたところ、即座にPowerBook G4のほうが速いとの答えが返ってきた。おそらく想定問答リストにあったのだとは思うが、現時点ではそれでも、「きちんと実用レベルで動作する」ことをアピールしたいのだろう。でなければ、OfficeやPhotoshopのアイコンがドックに登録されていることもないだろうし、わざわざデモ用のファイルも用意してはいないはずだ。このあたり、OS 9からOS Xという一大転換をすでに経験しているアップルの意気込みが感じられた。

ここで、標準ソフトの"アクティビティモニタ"で、どのようなプロセスが動いているのかを確認してみた。

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Rosetta環境で動作しているソフトは、PowerPCと記載されていることがわかる

これを見ると、特にRosettaといった名称のものは見あたらなかったが、種別がPowerPCとIntelに分けられている。デモ機はさまざまなソフトを起動するため、かなり仮想メモリーを使っているが、それでいてOfficeなどが普通に動いていたことを考慮すると、Rosettaの完成度はやはり非常に高いと言える。


MacBook Proはまだ未完成!?

今回展示されていたMacBook Proは、アップルの担当者によるとまだ完成の域には達していないという。実際、展示デモ機は底面やパームレスト部などかなりの熱を帯びていた。ライティングなど会場の環境による部分も大きいが、担当者いわく、まだパワーマネージメント系は未実装であるとのこと。バッテリーの持続時間についても、まだ正式には発表されてはおらず、すでに予約も始まっているというのに、やや見切り発車の感はぬぐえない。発売直後に不具合が発生するといったことがなければいいのだが。

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発表直後にオンラインのAppleStoreで注文したところ、出荷予定は2月15日(水曜日)となっている。これが本当ならば、一般店頭に並ぶのはその週末あたりだろうか

とはいえ、当初の6月という予定を大幅に前倒しして、移行を発表してから約半年で実際にマシンをリリースできたというのは、過去のアップルからは考えられないようなスピード感だ。インテルのロードマップに合わせてジョブズがハッパをかけたこともあるだろうし、またそれを実現したエンジニアチームの力量も評価に値する。

Intel Core Duoを搭載するMacBook ProとiMacが発表された直後、サンフランシスコの町はアップルの広告で埋め尽くされた。いや、それまではiPodだったものが、いっせいに下のようなものに切り替わったのだ。

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サンフランシスコのマーケットストリートにある、Apple Store前。町の中心部には、この広告が溢れかえっている。「IntelチップがMacで何をするかって? PCでしてきたことより、もっとたくさんのことさ」

残りの製品セグメントは、PowerMac/iBook/Mac miniだ。これらがどのタイミングでインテルCPUを搭載して登場するのかはまだわからないが、iBookとMac miniについては、米国の教育市場での導入を睨むとするなら春先あたりがひとつの目標にはなっているだろう。例年6月に開催されているWWDC(World Wide Developers Conference)までにすべてのラインアップがインテルに移行していれば、ユニバーサルバイナリ化に対して腰の重いデベロッパーを促すこともできる。

そしてもちろん、PowerBookがMacBook Proとなったことから、どのような名称で残りのマシンが新しくなるかという点についても、興味は尽きない。ストレートに考えれば、Mac Pro/MacBook/Mac miniとなるが、果たして……。


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