機器の性能をテストした第一弾のレビューに次いで、今回は『MacBook Pro』のハードウェアを中心にレポートする。仕様や使い勝手をアルミ筐体のPowerBook G4と比較したので、買い替えを検討しているユーザーは参考にしてほしい。
マイナーチェンジながら、高級感がアップ
本体デザインは一見15インチPowerBook G4と同じに見えるが、細部でチューニングが施されている。大きな変更点としては、本体が薄くなって、よりシャープさが強調された。15インチPowerBook G4は厚さが28mmだったが、MacBook Proはこれより約2ミリ薄い25.9ミリ。鏡面仕上げ“MacBook Pro”ロゴと相まって、高級感が高まった印象だ。
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液晶ディスプレーのヒンジ部分にあしらわれたロゴ | PowerBook G4(左)とMacBook Pro(右)の厚さを比較 |
マシンの動作時に液晶ディスプレーの裏側で輝くアップルマークや、環境光に合わせて光るバックライトキーボードといった、PowerBook G4譲りの“仕掛け”は、いかにもアップルらしい気配りともいえる。
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環境光センサーで検知し、暗所で光る“バックライトキーボード” |
薄くなったパッケージと合わせて、見た目だけで“欲しい”と物欲をくすぐられるアップルファンも多いだろう。
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本体底部。本体中央の手前にバッテリーがはめ込まれている | MacBook Proのパッケージ |
“MagSafe”など、機能は革新的に進化!
機能面を2005年10月に発売された15インチのPowerBook G4-1.67GHzと比べると、特に液晶ディスプレー上部に内蔵されたウェブカメラ“iSight”が目につく。iChatによるビデオチャットは、今までFireWire端子に外部のiSightをつながないと実行できなかったが、標準で搭載されたことで利用しやすくなった。
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液晶ディスプレー上部に内蔵する“iSight” |
なお、iSightを内蔵したため、PowerBook G4では1440×960ピクセルだった液晶ディスプレーの解像度が1440×900ピクセルに減っている。
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液晶ディスプレーのサイズ比較。左がPowerBook G4/iBook G4、右がMacBook Pro |
iMac G5やiMacで採用していた“Front Row”機能を、ノート型Macで初めて搭載。付属のリモコンを使い、iTunesに登録したサウンドやiPhotoの写真などを呼び出して再生できる。
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“Front Row”用のリモコン。リモコン受光部はトラックパッド手前にある |
電源アダプターには、新たに出力が20W上がった『Apple ポータブル電源アダプタ(85W)』を採用。コネクター部分は、磁石でMac本体側の端子に固定する“MagSafe”仕様となっている。家電業界では電気ポットなどでおなじみの機構だが、パソコンでの採用は初めてだ。
例えば、不注意で電源アダプターのケーブルに足を引っ掛けてしまった場合、PowerBook G4/iBook G4のアダプターは差し込み式なので、本体が引っ張られて机から落ちてしまう可能性がある。MagSafeコネクターなら縦横から強い力がかかると外れるため、落下によるマシンの破損や、端子部の不具合が起こりにくい。
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電源アダプターが採用した磁石で本体端子に吸い付く“MagSafe”コネクター | コネクター部の表裏にはLEDが用意されており、充電時はオレンジ、充電完了時は緑に点灯する |
細かいところでは、電源アダプターが、PowerBook G4/iBook G4で採用していた『Apple ポータブル電源アダプタ(65W)』より大きくなっている。編集部で計測したところ、旧製品はサイズが幅73×奥行き28×高さ73mm/重量が210gなのに対して、MacBook Pro用はサイズが幅79×奥行き28×高さ102mm/重量が320g。アダプターを頻繁に持ち運ぶ人は、やや気になるかもしれない。
ちなみにオプションの電源アダプターの価格は9800円。アップルストアでは2月24日現在、出荷予定日が5~7週間となっている。
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電源アダプターのサイズを比較。左がPowerBook G4/iBook G4、右がMacBook Pro |
また、液晶ディスプレーの開く角度を編集部で調べたところ、PowerBook G4では最大で130度前後だったが、MacBook Proでは120度前後と狭くなっていた。机で使う場合には問題ないが、ソファーに深く腰掛けてマシンを膝上に置くときや、角度のついた冷却台にセットする際に若干見にくいこともある。
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液晶ディスプレーが開く角度は最大120度 |
そのほか、主な変更点を以下にまとめた。
- PowerBook G4から追加/改良された点
- 液晶ディスプレーの明るさが66%向上(アップル調べ)
- PCカードスロットの代わりにExpressCard/34スロットを採用
- トラックパッドをワイドタイプに変更
- 無線LAN/Bluetoothのアンテナ位置を液晶ディスプレー脇からヒンジ部分に変更
- バッテリーをリチウムイオンからリチウムポリマーに変更
- PowerBook G4から引き継いだ点
- 1本指ではマウスカーソルの移動、2本指ではスクロールバーの上下左右移動と、置く指の数によってパッド操作が変わる“スクロールトラックパッド”を採用
- マック本体の落下を検知し、HDDのヘッドを固定してクラッシュを防ぐ“緊急モーションセンサー”機能の搭載
- スリープ時にHDD上にデータを退避するので、バッテリーが切れても電源をつなげばスリープ前の状態に復帰できる“セーフスリープ”機能を採用
- 30インチの『Apple Cinema Display』に2560×1600ピクセルの解像度でビデオ出力できる“デュアルリンクDVI”端子の搭載
- アナログ/光デジタル兼用の音声入出力ポートの搭載
- PowerBook G4から省略された点
- Firewire 800端子とS-Video端子を撤廃
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“セーフスリープ”から復帰した際は、ディスプレー全体が青くなり、画面下にプログレスバーが現れる | ターゲットディスクモードで起動し、電源アダプターを外すと現れるバッテリー残量アイコンも変わった |
