日本電気(株)は2日、カーボンナノチューブの一種“カーボンナノホーン”を高純度で量産する技術を開発したと発表した。同日付けで市場調査を目的としたサンプル提供を開始する。
CGによる構造のイメージ | 電子顕微鏡写真 | |
カーボンナノホーン |
カーボンナノホーンは、直径が2~5nmで長さが40~50nmの不規則な形状を持ち、数百本寄り集まって直径100nm程度の球形集合体を形成するカーボンナノチューブ。吸着剤や触媒担持体として研究が行なわれており、直径2nm程度の微細なPt(白金)の粒子を均質に担持できることから燃料電池用触媒電極への応用や、直径1~2nm程度の小さな孔を開ければ米国エネルギー省(DOE)基準を超える大量のメタンガスを吸蔵できることからガス貯蔵などへの応用などが期待されている。
同社では今回、グラファイトターゲット(炭素の塊)に強いCO2レーザーを照射することで室温で高純度のカーボンナノホーンを製造できる“レーザアブレーション法”を利用し、生成装置を大型化するとともに、ターゲット交換機構と、生成したカーボンナノホーン粉末の連続回収機構を開発したことで、純度95%の高純度カーボンナノホーン(残り5%はグラファイトやアモルファス成分)を1日に1kg以上製造できるようにした。生産性は従来の100倍以上になったという。
サンプル提供は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援により行なうもので、民間企業や研究機関などに無償配布し、新規ニーズの開拓と市場調査を行なう。サンプルの製造と配布は同社が戸田工業(株)に業務委託して実施するとしている。