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NTTドコモ、立川断層の大地震を想定した総合防災訓練を実施

2005年10月14日 21時40分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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今回の防災訓練は、仮想被害地(立川)に置かれた現地対策本部の指示による復旧作業訓練と、NTTドコモ本社を災害対策本部として全国の各社/各支店を繋いだ情報の伝達訓練の、2つの大きな目的がある。本社災害対策本部の本部長は代表取締役副社長の石川國雄氏、現地対策本部の本部長はNTTドコモ 多摩支店長の山内晶彦氏が務めた。報道関係者に公開されたのは、立川での演習だ。

山内氏が救済出動指示を出した
山内氏が救済出動指示を出した

演習会場となった空き地には、NTTドコモ(中央)の営業地域にある長野/群馬/多摩/新潟/栃木/茨城支店から6台の移動基地局と、3台の移動電源車がやって来た。地震発生を受けて、午前11時10分、車輌スタッフを前に山内氏が救済出動指示を出した。救済出動指示を受けた移動基地局や移動電源車は移動を開始し、国立市/多摩市/立川市……と札が立てられた演習スペースに陣取った。訓練では空き地の中を移動しただけだが、移動基地局や移動電源車は災害発生に迅速に移動できるよう、事前に緊急車両登録が済まされている。



続々と被災地に向かう移動基地局と移動電源車(1) 続々と被災地に向かう移動基地局と移動電源車(2)
続々と被災地に向かう移動基地局と移動電源車(3) 続々と被災地に向かう移動基地局と移動電源車(4)
続々と被災地に向かう移動基地局と移動電源車。新潟支店からもやってきた
演習エリアの配置に付いた各車輌
配置に付いた各車輌(2手に分かれた演習エリアのうちの1つ)

災害現場でのサービスエリアの確保――移動基地局

FOMA用のアンテナを搭載した移動基地局
FOMA用のアンテナを搭載した移動基地局

移動基地局は現在全国に40台配備され、災害時には他県からも応援が駆けつける。移動基地局が搭載するアンテナでカバーできるエリアは、クルマを中心に半径1km圏内(※1)で、FOMA用基地局を積んだFOMA専用車、mova用基地局を積んだmova専用車、FOMA/movaの併用車の3タイプがある。移動基地局は、災害によって外部から電源供給できない場合には、給油式の自家発電装置によって発電できる。ちなみに基地局の設置には総務省への事前申請が必要だが、災害発生時には早ければ即日にも許可がおりるという。

※1 カバレッジについては、被害状況や地域特性などで電波の到達距離が変化したり、NTTドコモの状況判断で調整されることもある



移動基地局のアンテナ設置作業(1) 移動基地局のアンテナ設置作業(2) 移動基地局のアンテナ設置作業(3)
(1)カメラで追ったのは長野支店の車輌(2)ケーブルが引き出された(3)屋根に上ってアンテナ設置開始
移動基地局のアンテナ設置作業(4) 移動基地局のアンテナ設置作業(5) 移動基地局のアンテナ設置作業(6)
(4)ここからは屋寝上にクローズアップ(5)アンテナが取り出された(6)アンテナの土台部分が立った
移動基地局のアンテナ設置作業(7) 移動基地局のアンテナ設置作業(8) 移動基地局のアンテナ設置作業(9)
(7)設置作業を見守る対策本部(8)アンテナらしい形になってきた(9)空に向かってスルスルと伸びる
移動基地局のアンテナ設置作業(10) 移動基地局のアンテナ設置作業(11) 移動基地局のアンテナ設置作業(12)
(10)アンテナを支えるためのロープが張られる(11)予定どおりですか?(12)完了!
mova用のアンテナを搭載する移動基地局のセッティング風景(1)~(12)
移動基地局の内部
移動基地局の内部

電力の供給を守れ――移動電源車

NTTドコモの基地局にはすべて予備バッテリーが設置されており、単体でも2~20時間稼動できる。また、交換局には自家発電装置が置かれ、給油が継続できれば稼動する。さらに、予備バッテリーや自家発電装置などが機能しなくなってしまった場合には、移動電源車などが出動する。移動電源車は全国に約50台が配備されており、やはり非常時には各地から応援が来る。前出の新潟県中越地震の例のように、道路が分断されて移動電源車が進入できない場合は、ポータブル発動発電機を用いることもある。ポータブル発動発電機は、山間部での被害が大きかった新潟県中越地震での教訓から、現在では全国に約110台配備されている。

こちらは移動電源車 移動電源車の内部
こちらは移動電源車移動電源車の内部

「大変だとか言っていられない」

設置完了報告
設置完了の報告

本部長の救済出動指示から、車輌の進入、機材のセッティングがすべて完了するまでにかかった時間は40分強。実際の出動時には、侵入経路や外部電源の確保などいくつかの問題があると推測されるが、アンテナを立ち上げるだけであれば数十分で完了するようだ。演習終了後、長野支店から来た移動電源車の若いスタッフに「何が一番大変か」と伺ったところ、「確かに電源の確保であるとか困難はあるが、我々は作業に使命感を感じており、被災地の皆さんが困っている中で大変だとか言っていられない」とのこと。現場の士気は非常に高いようだ。





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