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NTTドコモ、iモード災害用伝言板サービスを開始――阪神・淡路大震災の17日にあわせ

2004年01月09日 23時30分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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利用イメージ
同社はiモード災害用伝言板の体験サービスを1月中旬~下旬に行なう(詳細は記事末尾)

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは9日、災害時の安否確認を目的としたiモードサービス“iモード災害用伝言板サービス”を17日に開始すると発表した。同サービスは昨年8月に概要が発表されていたが、阪神・淡路大震災が起きた日である“防災とボランティアの日”(※1)にあわせてスタートすることになった。サービスの利用は無料だが、通信料が別途かかる。

※1 1995年12月15日に閣議決定。同年1月17日に阪神・淡路大震災が発生

大規模災害発生時に携帯電話は、災害復旧にあたる行政等に加えて、一般の人が被災地への安否確認等に使用するため、通信が繋がりにくい状態になる。例えば2003年5月26日の午後6時24分に発生した震度6の“三陸南地震”の場合、行政等の重要な通信を確保するという目的で、NTTドコモグループは地震発生直後から東北各県での発信を最大87.5%、全国から東北に向けての発信を最大75%制限した。その後、発信数の減少にあわせて段階的に規制を解除したが、完全に解除されたのは午後11時46分で、災害発生から約5時間も経過した後であった。

iモード災害用伝言板サービスは、被災者が、NTTドコモが運営する専用iモードサイトを使い、自分の現在の状況をテキスト情報で家族や知人に知らせることができるもの。現在、NTTドコモによる通信制限は、音声通話とパケット通信を同時にコントロールすることで行なわれている。しかし同社は、17日のサービス開始には間に合わなかったが2004年4月をめどにこれらを切り離し、パケット通信の通信制限率を音声通話のそれよりも緩和するなどの対応をとることで、より安否が確認しやすくなると期待しているという。



通信制限のコントロールを分離
2004年4月をめどに、音声通話とパケット通信の通信制限のコントロールを、個別に行なえるようにする

iモード災害用伝言板は、大災害発生時にのみ設けられ、NTTドコモが運営するiモード向けポータルサイト“iMenu”からアクセスできるようになる。伝言板を開設するのは、被災地で通常の数十倍にもおよぶ通信が集中して、通信規制を行なった/行なうことが予想される場合のみ。同社は経験的に、震度6弱以上の地震などがそれにあたるという。水害や火山の噴火といった天災、放射能漏れ等の事故などでも伝言版の開設は同様の条件になるが、通信規制をしない場合でも、同社の災害対策本部が社会的影響が強いケースだと判断した際は、開設するという。iモード災害用伝言版を設置するタイミングについてNTTドコモ ネットワーク本部 災害対策室長 佐藤忠司氏は、「なるべく災害発生から30分以内に開設する」とし、あわせてプレスリリース、NTTドコモのホームページ(パソコン用/iモード用)などで一般に伝言版の開設を告知するという。

NTTドコモ ネットワーク本部 災害対策室長の佐藤忠司氏
災害対策室長の佐藤忠司氏。記者発表会に出席した報道関係者に対し、「災害が起きて、iモード災害伝言版のサービスを始める時には報道発表をするので、ぜひ、リアルタイムに伝えてほしい」と訴えた

iモード災害用伝言板へのメッセージの書き込みと、メッセージの閲覧方法は以下に紹介するとおり。「iモードの操作に不慣れな高齢者等も利用しやすいように、極力操作を簡素化した」(佐藤氏)という。

メッセージを書き込めるのは、災害が発生した地域を管轄しているドコモ地域会社の営業エリア全域と、その隣接県のiモード契約者のみ。該当者は、“無事です/被害があります/自宅にいます/避難所にいます”といったステータス(リストから選択)と、全角100文字までの自由なコメントを掲示板に書き込むことができる。メッセージの登録件数は、1携帯電話番号あたり10件までで、10件を超えると古いものから順番に上書きされる。携帯電話番号の入力は求められないが、iモード災害用伝言板のiモードサイトにアクセスした時点で、NTTドコモのサーバーが自動的に認識する。そのため「被災者の電話番号をかたった“なりすまし”は発生しないだろう」(同氏)という。メッセージの保存時間は最大72時間。

iMenuの“災害用伝言版”を選択 “登録”を選択 メッセージを登録”を選択
iMenuの“災害用伝言版”を選択“登録”を選択現在のステータスと最大100文字のメッセージ(任意)を登録後、“登録”を選択
メッセージの書き込み手順
メッセージが書き込めるのエリアの指定例
メッセージが書き込めるのは、災害が発生した地域を管轄しているドコモ地域会社の営業エリア全域と、その隣接県のiモード契約者のみ。図は、北海道で地震が起きた場合の例

メッセージの確認は、全国のiモードに契約しているドコモの携帯電話、KDDI(株)/沖縄セルラー電話(株)が提供する携帯電話向けインターネット接続サービス“EZweb”対応携帯電話、ボーダフォン(株)が提供する携帯電話向けインターネット接続サービス“ボーダフォンライブ!”対応携帯電話、インターネット接続機能を持つPHS、パソコンなどで行なえる。書き込まれたメッセージを確認するには、ドコモの携帯電話の場合はiMenuから、そのほかは「http://dengon.docomo.ne.jp/top.cgi」というURLを直接指定し、専用ウェブサイトにアクセスした上で、被災者の携帯電話番号を入力する。

相手の電話番号を入力 インデックスから閲覧したいメッセージを選択 メッセージを閲覧
“災害用伝言版”にアクセスし“確認”を選択後、メッセージを閲覧したい相手の電話番号を入力インデックスから閲覧したいメッセージを選択メッセージを閲覧
メッセージの閲覧手順

災害発生時にiモード災害伝言板のサービスを停止するタイミングは、通信の集中状況を見て災害対策本部が判断し、終了の2時間前よりiMenu等で告知するという。

なお同社では、iモード災害伝言板へメッセージを書き込んだり、メッセージを閲覧できる体験サービスを実施する。メッセージ登録可能エリア/確認可能エリアは全国。実施期間は、17日の午前10時~19日の午後8時まで、21日の午前10時~23日の午後8時までの2回。利用手順は、iモードにアクセスし、「iMenu」→「お知らせ&ヘルプ」→「災害用伝合板」→「伝言版体験サービス」と進むとメニューが表示される。他社のインターネット接続サービス対応携帯電話やPHS、パソコンからは前出のURLを入力する。利用は無料だが、通信料が別途かかる。

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