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【詳報】ソニー、携帯型音楽プレーヤー“ウォークマンA”シリーズ2機種を発表――“オープン”への戦略転換でMP3やWMAにも対応

2005年09月08日 23時32分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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「ソニーの総合力」

ソニー コネクトカンパニー プレジデントの辻野晃一郎氏
ソニー コネクトカンパニー プレジデントの辻野晃一郎氏

新製品を担当したのはソニー(株)の“コネクトカンパニー”という昨年末に作られたばかりの組織で、製品発表会にはプレジデントである辻野晃一郎(つじの こういちろう)氏が出席した。組織名の“コネクト(CONNECT)”とは、辻野氏によれば“人とデジタルエンターテインメントコンテンツを繋ぐ、人と機器を繋ぐ、人と人とを繋ぐ”というコンセプトから取られたもの。コネクトカンパニーは、これを実現するために「ソニー・ユナイテッドの名の下に、(ハードウェア/ソフト/サービスを)有機的に組み合わせて、存分にソニーの総合力を発揮」し、「デジタルメディアとネットワークを重要構成要素とする、新しい世界観、新しいビジネスのパラダイムの実現」を目指すのだという。



コネクトの目指す事業領域
コネクトの目指す事業領域

辻野氏は、NW-E507/E505/407/E405が国内やイギリスの市場で「非常に好評で受け入れられた」と評価する一方で、「本日も他社が新しい発表をしたようだけれども、当然ながら我々は今の状態に満足していない」と強調した。“iPod”シリーズの米アップルコンピュータ社に対して攻勢を仕掛け、携帯型音楽プレーヤー市場でより多くのユーザーから支持を得るようになるためには、コネクトのコンセプトに基づき「ここからどうやって飛躍を目指し、新たなパラダイムを作っていくかが重要」なのだという。また辻野氏は、新シリーズの名称を決めるに当たって、社内で「テープのイメージがある“ウォークマン”というネーミングは古いのではないか」という指摘や議論があったことを紹介した。しかし、「ここまで影響力を持つに至ったウォークマンブランドこそ、“Powered by CONNECT”という言い方をしているが、もう一度、新しいネットワーク時代のパーソナルオーディオを象徴するブランドとして強いこだわりとともに確実に蘇らせたい」とブランドの復権を誓い、ウォークマンの前に“ネットワーク”のような冠をあえてつけず、「元祖ウォークマン」として新名称を採用したのだという。

「お客様へのホスピタリティという原点に戻る」

記者発表会ではアップルコンピュータ社への対抗策に関する質問が続出した。アップルコンピュータ社の製品が市場に受け入れられている理由をどう分析しているのかという質問に対して辻野氏は、「そもそもソニーは、新しいファッション/トレンド/ライフスタイルを提案し続け、それによってブランド力を向上してきた。そういうチャレンジ精神で、油断というか出遅れが、最近あったのだと思う。アップルコンピュータ社が最近やっていることを見ると、『これって昔ソニーが得意にしていたスタイルじゃないか』と思わせられる部分が多々ある。原点回帰という意味で、最近の状況をレビューする上で、アップルコンピュータ社のやり方は非常に参考になる。その中で、ソニーの総合力をもう一度生かして、新しい音楽の時代を切り開く、あるいはデジタルメディアコンバージェンスの時代を作っていく覚悟であるけれども、強み弱みは当然違うので、アップルコンピュータ社と同じスタイルでやっていくというのではない」とした。

具体的な方策については明らかにされなかったが、やはり拠り所としているのは前出のコネクト戦略。コネクトの基本方針は“オープン”で、ハードウェアとしては「(ATRACなど自社技術のみ採用していた)当時の戦略は、完全に転換している。なるべく多くのコーデックや、セキュアな技術に対応していきたい」とし、一例として今回の製品についてはWMAに加えてAACの対応も考慮していると述べた。またサービス面では「Moraは43社のレコード会社が参画しており、そことの連携を密にする。また、レーベルゲート側と相談しながら、すでにヤフー(株)やオリコン(株)との業務提携を行なっているが、サービスサイドでも(事業者との)連携を進めて行きたい」と述べるに止まった。

一方、本日発表されたアップルコンピュータ社の新製品に対する優位性については、同社の新製品の詳しいことは分からないとしながら、「コネクトという構想を具現化する第一歩を踏み出した。その中で今回のウォークマンは、CONNECT Playerと連携した“マシンインテリジェンス”というところにフォーカスした。今後この路線を徹底的に訴求していきたい」と述べた。また今後も、「今までの家電の流れを払拭し、デザイン/機能面において、お客様へのホスピタリティーという原点に戻る、商品をゼロから見直して作り上げる」という。

ウォークマンAシリーズの販売台数の目標は、2005年度(2006年3月まで)でワールドワイドで450万台。

「やっとソニーさんも本格的に動いた」

記者発表会には有名レーベルの代表が、応援に駆けつけた。メンバーは、(株)ソニーミュージックネットワーク代表取締役の今野敏博氏、東芝EMI(株)代表取締役社長兼CEOの堂山昌司氏、エイベックス・グループ・ホールディングス(株)代表取締役社長の松浦勝人氏、エイベックス・グループ・ホールディングス(株)上級取締役、エイベックス ネットワーク(株)社長の荒木隆司氏。エイベックスは米アップルコンピュータ社の“iTunes Music Store”の国内サービスに楽曲を提供することを決めているが、荒木氏はソニーとの関係は良好だと強調しつつ、新製品/サービスの印象については「やっとソニーさんも本格的に動かれたかなという印象が強い」と述べた。

記者発表会には有名レーベルの代表が応援に駆けつけた
左から、(株)ソニーミュージックネットワーク代表取締役の今野敏博氏、東芝EMI(株)代表取締役社長兼CEOの堂山昌司氏、エイベックス・グループ・ホールディングス(株)代表取締役社長の松浦勝人氏、エイベックス・グループ・ホールディングス(株)上級取締役、エイベックス ネットワーク(株)社長の荒木隆司氏。一番右はソニー コネクトカンパニー プレジデントの辻野晃一郎氏
ソニーマーケティングから東芝EMIの堂山昌司氏の漢字氏名が広報資料で誤っていたという訂正がありましたので、記事を修正しました(9月12日)

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