KDDI(株)は2日、“au”ブランドの3世代携帯電話サービス“CDMA WIN 1X”に対応した携帯電話機『W32S』と『W32H』を発表した。いずれも非接触ICカード技術“FeliCa(フェリカ)”のICチップを内蔵し、KDDIが今年9月に開始する予定の“EZ FeliCa”サービスに対応する。愛称は(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモのFeliCaチップ内臓携帯電話機と同じ“おサイフケータイ”を用い、一般への認知訴求を図る。製造はW32Sがソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)で、W32Hが(株)日立製作所。発売は9月上旬の予定で価格はオープンプライス。編集部による予想実売価格は2万円前後。
W32S。左からルナシルバー、フレームオレンジ、ラグジュアリーピンク |
W32H。左からフロストグリーン、ソリッドシルバー、ラピスホワイト |
EZ FeliCaは、auのおサイフケータイを使い、電子マネー“Edy”による決済、交通チケットの購入、電子会員証などの個人認証などが行なえるサービス。また、携帯電話の画面での使用履歴や残高確認や、ネットワーク経由での電子マネーのチャージが可能という。KDDIはauの携帯電話が“生活インフラ”として進化することに期待を寄せている。
EZ FeliCaのサービスプロバイダーとしては、先日発表された(株)東日本旅客鉄道の交通/電子マネーサービスやビットワレット(株)の電子マネーサービス“Edy”を含む、全19社/グループが発表された。いずれも9月以降にサービスを開始する予定で、詳細は未定(JR東日本は2006年1月予定)。
- 交通/会員証/ポイントカード
- 全日本空輸(株)、(株)日本航空ジャパン/(株)日本航空インターナショナル
- 会員証/ポイントカード
- (株)ゲオ、(株)サイバード、(株)サークルKサンクス、(株)セガ、(株)第一興商、テックファーム(株)、日本電気(株)、(株)ビックカメラ、(株)ヨドバシカメラ
- オンラインEdyチャージ
- イーバンク銀行(株)、(株)三井住友銀行
- ショッピング
- (株)ジェーシービー、(株)ソニーファイナンスインターナショナル、日本信販(株)
- パソコン向けアプリケーションとのデータ連携
- フェリカネットワークス(株)
各社のサービスは、EZwebの専用サイトからダウンロードする専用BREWアプリケーション使って、受けられる。KDDIは端末の発売に合わせて、これらのダウンロードサイトの一覧メニューや、新着情報などを提供するEZ FeliCaサービス専用のポータルサイトをオープンする。auのおサイフケータイには、メインメニューにEZ FeliCaサービス専用アイコンが設けられ、それを選択するとこのポータルサイトにアクセスできる。
おサイフケータイのメインメニュー(写真はW32H) | EZ FeliCaサービス専用のポータルサイト |
EZ FeliCaのセキュリティー機能としては、auのおサイフケータイ全機種に、以下の3つが用意される。
- FeliCaロック
- ユーザーが設定する数字4桁のロックナンバーでFeliCa関連機能へのアクセスを制限する
- クイック解除
- FeliCaロック機能中に、特定のキー操作によってFeliCa機能が利用でき、さらにそれから一定時間(5分)が経過すると自動的にFeliCaロックが有効になる
- 遠隔ロック
- おサイフケータイに対して、あらかじめ指定した電話番号から、あらかじめ指定した時間内に、あらかじめ指定した回数着信があると、FeliCa機能やアドレス帳機能が利用できなくなる
au事業本部 au商品企画本部 プロダクト統括部長 酒井清一郎氏 |
今回発表された2機種の生産台数や販売目標台数などは非公表だが、価格はCDMA WIN 1X対応端末全体ではミドルクラスになると見込まれており、「通常のCDMA WIN 1X端末並み、それ以上に売っていきたい」(au事業本部 au商品企画本部 プロダクト統括部長 酒井清一郎氏)という。今後のおサイフケータイの追加計画については、具体的な数は明らかにされなかったが、「CDMA WIN 1X端末の標準搭載を目指す」とした。
2機種のコンセプトは“スマート”
今回発表されたW32SとW32Hは、“スマートなおサイフケータイ”をコンセプトとして企画された。酒井氏によれば“スマート”には、ユーザビリティーを考慮した“賢さ”と、いつも持ち歩く財布代わりの携帯電話としての“スタイリッシュでコンパクトなデザイン”という2つの意味が込められているという。
W32SとW32Hは、EZ FeliCaサービス対応のほか、“ワイヤレスジャパン2005”で発表されたようにau初のSIMカード対応といった特徴を持つ。SIMカード“au ICカード”を差し替えることで、1回線の契約で複数の携帯電話機を使うことが可能。またGSMローミングサービス“GLOBAL EXPERT”に対応し、GSMネットワーク対応の携帯電話に同カードを差し替えて使えば、いつもの電話番号のまま通話ができる。au ICカードの電子認証サービス“Security Pass”にも対応する。
左からW32H、W32S。バッテリーを外せばau ICカードの脱着が可能になる(写真のau ICカードは製品版ではない) |
そのほか、EZ FeliCaサービスの開始に合わせて、W32SとW32Hでは、ダウンロードしたBREWアプリケーションを外部記録メディアにバックアップできるようになった。バックアップしたBREWアプリケーションは、ダウンロードした携帯電話(もしくは機種変更を行ない、同じ番号を使用する携帯電話)のみで再生可能。