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神奈川工科大学、au携帯電話機による“モバイル学生証”を導入――若者のセンスを鍛えて自信を持たせる起爆剤

2005年12月16日 17時31分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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神奈川工科大学(学校法人幾徳学園・神奈川工科大学:KAIT)は16日、FeliCa対応ICカード学生証と、FeliCa ICチップを内蔵する携帯電話機を使った“モバイル学生証”システムを2006年4月に導入すると発表した。モバイル学生証システムは稼動当初、KDDI(株)の“au”ブランドの携帯電話機『W32S』『W32H』のみに対応し、2006年4月に入学する生徒(約1200名)には“入学祝”として大学からいずれかが与えられる(※1)。そのほかの移動通信キャリアーのFeliCa ICチップ内蔵携帯電話機については、2006年度(2006年4月~2007年3月)中の対応を目指している。

※1 通信契約が別途必要

FeliCa対応ICカード学生証とモバイル学生証 モバイル学生証
FeliCa対応ICカード学生証とモバイル学生証モバイル学生証。偽造を防ぐためにアプリケーションが動的に生成し、右上には現在時刻が表示されている


大学の魅力向上策として

学長の小口幸成氏
学長の小口幸成氏

神奈川県厚木市にキャンパスを構える同大学は、情報学部・工学部と大学院博士課程(前期/後期)を置き、4975名の学生を抱える。2006年に同大学の教育や研究が文部科学省の“現代GP”“学術フロンティア推進事業”に採択されたほか、「魅力向上策」(学長 小口幸成氏)として“キャンパス再開発”計画を推進。2006年の4月には自動車システム開発工学科など工学部に3学科を新設するほか、情報学部棟が2006年3月に竣工する予定。FeliCa対応ICカード学生証/モバイル学生証を中心とした学生向け情報提供システム“Let's KAIT Walker”の構築もその一環で、利便性の向上などのほか、「若者のセンスを鍛え、自信を持たせる起爆剤になれば」という期待も込められている。



Let's KAIT Walkerのイメージ。eliCa対応ICカード学生証/モバイル学生証が使用できる環境を整え、学生用ウェブサイトなどと合わせてキャンパスライフをサポートする
Let's KAIT Walkerのイメージ。eliCa対応ICカード学生証/モバイル学生証が使用できる環境を整え、学生用ウェブサイトなどと合わせてキャンパスライフをサポートする
シー・エス・イー 代表取締役社長の関 好行氏。携帯電話機向けアプリケーションについては、ビジネス特許を申請している
シー・エス・イー 代表取締役社長の関 好行氏。携帯電話機向けアプリケーションについては、ビジネス特許を申請している

小口氏が「国内初」という今回のシステム構築には、携帯電話機の技術提供を行なったKDDI(株)のほか、多数企業が参画している。具体的には、王子製紙(株)がIC学生証の発行、(株)内田洋行が証明書自動発行システム“PAPYRUSMATE(パピルスメイト)”(後述)の設置、(株)大崎コンピュータエンヂニアリングが電源/配線/機器の取り付け、(株)ネットワールドが携帯電話機向けコンテンツ自動変換製品と機器導入、ビットワレット(株)がプリペイド式電子マネー“Edy”対応と関連機器の設置、(株)シー・エス・イーが携帯電話機向けアプリケーションの開発、リアルタイム情報管理システム『MATRIXSCOPE』、個人認証技術“SECUREMATRIX”(いずれも後述)の提供、全体のコーディネーションを行なっている。





情報学部棟を中心にキャンパス内外で利用可能

FeliCa対応ICカード学生証/モバイル学生証が使用できる機能は以下のとおり。モバイル学生証でこれらの機能を利用するには、携帯電話機向けの専用アプリケーション『Kapli(カプリ)』をあらかじめダウンロードする必要がある。

  1. 出席情報の登録
  2. 教室等の電子錠の開錠。電子錠と連携したMATRIXSCOPEを使った、教職員による出欠席者管理
  3. Edyによる物品等の購入と、PAPYRUSMATEによる大学の関連証明書の発行
ICカード学生証でできること
新学生証でできること

これらが利用できる設備として、学内には50台の電子マネー“Edy”対応機器5機種が配備される。5機種の内訳は、Edyチャージャー、自動販売機、売店用端末、食堂券売機、PAPYRUSMATE。Edyを導入している大学はすでに多数あるが、記者会見に出席したビットワレット執行役員常務の億出 勉氏によれば、Edyを証明書自動発行機と連携させて大学の各種証明書を発行するというのは初の試みという。電子錠は、2006年3月竣工予定の情報学部棟の各部屋に置かれる。今後新たに建設する校舎にも配備する見込みだが、現在使用している校舎においては磁気カードリーダーにより出欠の確認を行なう。



情報学部棟の利用イメージ キャンパス内でEdyが利用できるスポットは50ヵ所
情報学部棟の利用イメージキャンパス内でEdyが利用できるスポットは50ヵ所

モバイル学生証の導入に当たっては、4桁の数字の暗証番号と、SECUREMATRIXを併用することで、なりすましを防ぐ。SECUREMATRIXは、縦4×横16行ぶんの数字がランダムで並ぶ画面に対し、予め指定した順番で、数字を選択していくという認証方式。アクセスするたびに数字の並びが変わるので、第三者による盗み見などに強いという。もちろん通信は暗号化されている。また、モバイル学生証が発行される携帯電話機は、学生1人に対し1台のみ。有効期限があるほか、ネットワーク経由での定期的な本人認証が行なわれる。そのほか偽造を防ぐため、モバイル学生証はアプリケーションが動的に生成し、画面右上には常に時刻が表示されている。なお大学側は、周辺の自動車教習所や映画館などの施設に対し、モバイル学生証を通常の学生証と同様の扱いにするよう働きかけを行なっており、いくつかその確約がとれているという。

そのほか、パソコン用/携帯電話機用の学生向けウェブサイト“KAIT Walker”を用意し、授業の情報や施設の利用状況が確認できるほか、個人情報(時間割/出席率等)の確認、神奈川中央交通(株)の協力によってキャンパスから本厚木駅までのバス運行状況の確認などができる。携帯電話機用のウェブサイトは、冒頭の2機種でなくても、インターネット接続に対応する携帯電話機であれば利用できる。

KAIT Walkerのイメージ(トップページ) KAIT Walkerのイメージ(個人情報ページ)
KAIT Walkerのイメージ(トップページ)KAIT Walkerのイメージ(個人情報ページ)
SECUREMATRIXの利用イメージ モバイル学生証の画面イメージ
SECUREMATRIXの利用イメージモバイル学生証の画面イメージ

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