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KDDI、au版“おサイフケータイ”とモバイルSuica対応を発表――「ユビキタス社会のパーソナルゲートウェー端末に」

2005年07月11日 23時23分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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KDDI(株)と沖縄セルラー電話(株)は11日、“au”ブランドの携帯電話向け新サービス“EZ FeliCa”を9月に開始し、これに合わせてソニー(株)の非接触ICカード技術“FeliCa(フェリカ)”のICチップを内蔵する携帯電話『W32S』と『W32H』を発売すると発表した。サービスのプロモーションには、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモが登録商標をしている“おサイフケータイ”が用いられる。また、NTTドコモに続き、東日本旅客鉄道(株)が2006年1月開始を目指している“モバイルSuica”サービスにも対応する予定。モバイルSuicaは、JR東日本が提供中のICカードを使った乗車システム“Suica(スイカ)”と同等のサービスがICチップ内蔵の携帯電話で受けられるようになるもので、KDDIはauの携帯電話が“生活インフラ”として進化することに期待を寄せている。

握手を交わす、KDDI代表取締役社長の小野寺 正(左)とJR東日本代表取締役社長の大塚陸毅氏(右)
握手を交わす、KDDI代表取締役社長の小野寺 正(左)とJR東日本代表取締役社長の大塚陸毅氏(右)
W32HとW32S FeliCaチップ内蔵マーク
向かって右の女性が持っているのがW32H、左がW32SFeliCaチップ内蔵マークは、W32Hは数字キーの裏側にあたる本体下面に、W32Sはサブ液晶パネルと同じ本体上面にあしらわれている
W32S W32H
ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーション製造のW32S日立製作所製造のW32H
ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーション(株)製造のW32Sと(株)日立製作所製造のW32H。W32SとW32Hはともに第3世代携帯電話サービス“CDMA 1X WIN”の端末だが、“CDMA 1X”の端末にもFeliCaチップを搭載する予定があるという
ソニーの中鉢氏
FeliCaの開発元であるソニーから、代表執行役社長の中鉢良治氏がビデオメッセージをよせた。「これまでに7万5000万個以上のFeliCaチップが全世界で出荷されているが、スキミングやデータ改ざんの事故は報告されておらず、偽造チップも発見されていない」と、高いセキュリティー技術をアピール

今回発表された2機種を通じて9月の時点で利用できるEZ FeliCaの関連サービスは、電子マネー“Edy”による決済、電子会員証などの個人認証、交通チケットなどの見込み。携帯電話の画面で使用履歴や残高確認が可能で、ネットワーク経由で電子マネーのチャージが可能という。セキュリティー機能としてはロックナンバーでFeliCa機能の利用を制限する“FeliCaロック”、一定時間が経過すると自動的にFeliCa機能の利用を制限する“クイック解除”、事前に登録した電話番号から携帯電話に指定時間内に一定の回数を着信させるとアドレス帳やFeliCa機能の利用を制限する“遠隔オートロック”などを搭載する予定。EZ FeliCaに参画する企業やサービス、端末の仕様、セキュリティーサービスの詳細は追って発表される。



サービスイメージ
サービスイメージ

自分流にカスタマイズできる点に期待――JR東日本

記者会見では、JR東日本代表取締役社長の大塚陸毅(おおつか むつたけ)氏とKDDI代表取締役社長の小野寺 正氏が各社の狙いなどについてプレゼンテーションを行なった。

JR東日本の大塚氏
JR東日本の大塚氏

大塚氏によれば、2001年11月にスタートしたSuicaの発行枚数は、現在1300万枚。2006年度中にIC乗車券として関東地区の交通事業者との相互利用が実現する見込みで、大塚氏は「これによっておそらく3000万枚規模になる」と予想している。Suica事業の今後の目標は、利用エリアの拡大と高機能化。単なる交通系/決済系ICカードではなく、生活に不可欠なカードとして「個々の生活スタイルに最適なSuicaを選んでいただく」ことを目標として、機能の開発やプラットフォームの整備を進めている。なかでもモバイルSuicaは、電子マネー残高/利用履歴が画面で確認できる“ビューアー機能”、電子マネーのチャージや定期券等の購入ができる“ネットワーク機能”といったカード型Suicaにはない機能を持ち、個々の生活に最も柔軟に対応できるとしてその普及に期待を寄せている。



Suica イメージキャラクターの西原亜希さん
Suicaのイメージキャラクターでタレントの西原亜希さんが、NTTドコモとJR東日本の記者会見(2005年2月)に続いて登場した
auの携帯電話でSuica対応の自動改札を通過するデモ 写真の手のモデルはコンパニオン
auの携帯電話でSuica対応の自動改札を通過するデモ。右の写真の手のモデルはコンパニオン
auの携帯電話でSuica対応の自動販売機で清涼飲料水を買うデモ 写真の手のモデルはコンパニオン
auの携帯電話でSuica対応の自動販売機で清涼飲料水を買うデモ。ちなみにSuicaのカード内残額は2万円まで。1回あたりのチャージ上限は1万円

サービスの融合で連続したシーンを想定――KDDI

KDDIの小野寺氏
KDDIの小野寺氏

一方KDDIの小野寺氏は、FeliCaチップ搭載とモバイルSuica対応によって、auの携帯電話とサービスが「ユビキタス社会のパーソナルゲートウェーとして、より使いやすく、生活に密着したサービスに進化する」と述べた。モバイルSuicaに対応した後の携帯電話の利用イメージとして小野寺氏は、「モバイルSuicaで駅の改札をスムーズに通過⇒駅のショップでコンサートチケットを電子マネーで購入⇒電車の中でコンサートの楽曲をダウンロードして聴取⇒GPS機能でコンサート会場にナビゲート」と、さまざまなアクションを連続的に行なう例を紹介した。いわく、「モバイルSuicaの利便性とauの携帯電話の得意とする楽しく使いやすいアプリケーションが融合することで、感度の高いauのユーザーにとってモバイルSuicaが身近なサービスとして発展していく」のだという。NTTドコモの同様のサービスに対する差別化の詳細などは、明らかにしなかった。なお小野寺氏は、FeliCa機能搭載ICチップのライセンス事業などを行なうフェリカネットワークス(株)に対し「出資する意向を持っている」とした。フェリカネットワークスの現在の資本構成は、ソニーが約57%、NTTドコモが約38%、JR東日本が約5%となっている。

そのほか2社共同で、“ユーザー視点に立ったモバイルSuicaサービス”を目指し、



ファミリーで使いやすいサービス
モバイルSuicaによるネットショッピングはクレジットカードでの決済が前提だが、親会員の決済による子会員へのデジタルチケットの分配を検討
“駅なか”と“街なか”をつなぐサービス
GPSと地図情報を利用したルート案内サービス。改札通過と同時に駅構内図情報へのリンクを通知
ユーザーをサポートするサービス
コールセンターだけでなく“駅なか”を含めたさまざまなサポート用窓口の用意

――といった企画を検討中という。

ボーダフォンにも「一緒にやりましょうという話をしている」

なお、モバイルSuicaの2006年1月のサービス開始時には、NTTドコモとKDDIの2社の携帯電話がそれに対応することになるが、残るボーダフォン(株)に対してもJR東日本は「一緒にやりましょうという話をしているし、現在検討を進めているところ」(大塚氏)なのだという。ただしスケジュールについては、公表できる段階ではないとした。



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