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ビル・ゲイツ氏の基調講演をXboxで視聴!!――すぐそこにあるインターネットの“危険”を中学生たちが話し合う

2005年06月28日 17時52分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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東京・赤坂の草月会館で開催されたシンポジウム“インターネット社会を迎えて――市民に迫られる安全対策”(主催:「インターネット安全運動」実行委員会)が行なわれたこの日、同会場にマイクロソフト(株)の家庭用ゲーム機『Xbox』とテレビ会議システム『Xbox ビデオチャットキット』が設置され、米マイクロソフト(Microsoft)社の会長兼CSA(チーフ・ソフトウェア・アーキテクト)のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏の基調講演が東京・杉並の2つの中学校に中継された。

東京・赤坂でのビル・ゲイツ氏の基調講演
東京・赤坂でのビル・ゲイツ氏の基調講演がXboxとテレビ会議システムを通じて、中学校のパソコン室にインターネット経由でライブ中継された。教室には通訳担当者がおり、ゲイツ氏の発言を同時通訳して生徒たちに伝えていた

これは、今月16日にマイクロソフトが杉並区に対して合計80台のXboxとXbox ビデオチャットキットを寄贈。区は区立の小中学校67校全校、および区立科学館/区立済美教育センターなどの教育機関に配置し、学校間や学校と施設間、さらに将来的には友好都市であるオーストラリアのウィロビー市などの海外の教育機関とのコミュニケーションネットワーク作りに活用するべく計画を進めている。その最初の取り組みとして、ゲイツ氏の基調講演を杉並区内の泉南中学校(“選択・技術科”の3年生18人)/東原中学校(“選択・理科”の2年生10人)で視聴し、インターネットへの安全な取り組みや、身の回りにある危険について、生徒同士で話し合う場を設けたというもの。

泉南中学校の生徒たち
手を振って東原中学校の生徒や先生に挨拶する、泉南中学校の生徒たち

最初はお互いにやや固い表情や動きで、緊張していたものの、講演と討論会の合間にチャットウィンドウに“ハートマーク”や“ナイス”といったフレームと効果音が出せることを知ると、途端に打ち解けて親しげに会話するシーンも見られた。

司会役の東原中学校の横井教諭がゲイツ氏の講演について感想を尋ねると、泉南の生徒は「一言で言うと難しい。ビル・ゲイツさんは子どもたちのほうが(インターネットで得られる情報に対して)認識が高いと言うが、僕には分からなかった。もっと分かるように伝えてほしい」と率直な感想を述べた。



テレビ会議に使われたXbox本体
テレビ会議に使われたXbox本体。杉並区にはこの本体とテレビ会議システムが合計80台寄贈された。マイクのケーブルが短かったため、後ろのほうに座った生徒たちは前かがみになったり立ち上がって懸命にしゃべりかけていた

学校でインターネットをどのように使っているかという問いには、「“総合”の時間の調べ学習や修学旅行の事前学習などで、調べ物に使っている」と回答。学校以外では、「メッセンジャーや調べ物」「ゲームとか、音楽や画像を探したりしている」と答え、blog(ウェブログ)をやっている人はいないのか、という突っ込んだ質問には泉南の生徒が、「MSNメッセンジャーの下に広告が出てて、一時期やったり、みんなで盛り上がってた」と中学生の間にもblogが浸透し始めている様子が伺えた。

フレーム表示機能を見つけた生徒たち 討論会も無事に終わって、最後に“LOVE”のフレームでアピールする泉南の生徒たち
基調講演と討論会の合間に、Xboxのメニューを触って、フレーム表示機能を見つけた生徒たち討論会も無事に終わって、最後に“LOVE”のフレームでアピールする泉南の生徒たち(左上)。ただ、表示させるタイミングがちょっと遅れてしまって、お互い笑いあっていた

次に、インターネットに関連した危険の例として、架空請求に悩む子どもとその家庭を示したビデオを見せ、身近なところでもこうした事例がないか聞くと、「身に覚えのないメールが来たことがあるけど、無視していればそのうちに収まる。大事なことは無視すること」(泉南)と、ある程度対策や正しい知識が中学生の間にも広まっていることがわかった。

また、ウイルスや迷惑メールへの対策を調べようとしても、「学校の調べ学習(パソコンを使った授業)では、ブロックされているページが多い。アダルトサイトはダメでも、もう少し見られるページを増やしてほしい」と率直な要望が聞かれた。


最後に、区の小中学校にXboxが導入されてテレビ会議ができるようになったら、どんなことがしたいか、という問いには、「ほかの学校の先生に(テレビ会議で)授業してもらえると、同じ概念ばかりじゃなくて幅広い授業が受けられる」「社会化見学で使えば、学校にいながらいろんな人にインタビューできるし、家にこれがあれば学校に行かなくてもいい」「生徒会からは、学校で困ったことが起きたときに、ほかの学校ではどうしているか参考にできると助かる。“生徒会サミット”という会合を1年に1回行なっているが、(テレビ会議を使って)もっと頻繁にできれば、いろんな学校の意見が聞けて、輪が広がる」「学校の行事があるときに、もっといろんな人に知らせたい」など、中学生らしく自由な発想からの意見が多く寄せられた。

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