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type H 解体天国

type H 解体天国

2005年07月20日 04時51分更新

文● 編集部 小西利明

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密度が高く細部まで気を使った設計が明らかに!

 ここで会話を続けつつtype H本体の分解が行なわれる。スタンドを取り除き、バックとサイドのパネルを外すと内部があらわになった。

サイドパネルと側面の補強板を外した状態。右側の黒いカバの下に吸気用の大口径ファンがある。銀色の大型ヒートシンクの下にPentium 4がある。左上は電源ユニットで、ここにもファンがある
サイドパネルと側面の補強板を外した状態。右側の黒いカバの下に吸気用の大口径ファンがある。銀色の大型ヒートシンクの下にPentium 4がある。左上は電源ユニットで、ここにもファンがある
[中村] これが先に説明したCPU用のファン。結構分厚いものですね。これがフロントから吸ったエアをCPUのヒートシンクに当てて、抜けたエアをチップセットに当てて、かつメモリーやMPEGボードを冷やす。直線的に入って出ていくという熱設計になっています。
[ASCII24] ドライブ類は特に冷やしてはいないのですね。
[中村] そうです。電源ファンがここにありますので、風の流れが一部ここにもできますから、それで賄っています。
パネルに覆われた筐体のフロント側。金属フレームが部分的に黒く塗られている。その理由は……?
パネルに覆われた筐体のフロント側。金属フレームが部分的に黒く塗られている。その理由は……?
[ASCII24] フロント側のフレームの一部が黒く塗ってありますね? これはなぜでしょう
[中村] ここを黒く塗っているのは、フロントからエアを吸っている関係上、吸気口から板金が見えてしまうんです。塗っていないと素材の色でモロに板金が見えてしまう。ここを黒く塗ることで、黒の中に黒ならほとんどわからないくらいになりますので、そういう理由で黒塗装をしています。
[ASCII24] なるほど! これがヒートシンクですね。
[中村] オリジナルで、熱のスペックに合わせたものを最適化を図って導入しています。
[田吉] ヒートシンクは大きいですが、フィンにはアルミを使ってコスト的にはセーブしています。
[ASCII24] ファンの回転数も落として使っているのですか。
[田吉] 相当に落としていますね。1000以下、900かな。
[内村] 毎分900回転ですね。実力は6000回転くらい回るものを、低回転に落として使っています。
FeliCaポートのリーダー・ライターは、フレームの一部を凹ませてフォルダーを置き、その上に設置されている
FeliCaポートのリーダー・ライターは、フレームの一部を凹ませてフォルダーを置き、その上に設置されている
[ASCII24] これがFeliCaのリーダー・ライターですか。
[中村] 意外と配置に苦労しましたね。アンテナですから、まわりに金属物質があってはいけないという制限があるので、樹脂のフォルダーを作ったりとか。
[ASCII24] ノートの“VAIO type T”では、キーボードの手前、パームレストの右側に内蔵されていますよね。type Hで本体の上に搭載した理由は?
[田吉] ノートと同じような付け方もできるとは思うのですが、FeliCaの使い方として、置きっぱなしでキー入力をするようなこともあるんですね。
[ASCII24] ああ、なるほど。
[田吉] ですので、パームレスト上に置いてしまうと使いづらいことがあります。ノートの場合は他に場所がないということで、パームレストになったのでしょうが、デスクトップではより使いやすい所ということで、上を選びました。
[ASCII24] 確かに。ちょっとかざすだけでいいという使い方ばかりではありませんね。
[田吉] FeliCa携帯電話機もありますので、平面部が必要なんです。このスリムトップモデルというのは、ちょうどこの平面が水平になっているわけです。アクセス性にしても、天面の前側であれば悪くないだろうと判断しました。


BTXはスリムタワーには厳しい?

分解されたtype Hの全部品。手前にネジがあるが、総数は非常に少ない分解されたtype Hの全部品。手前にネジがあるが、総数は非常に少ない
[ASCII24] ネジは……少ないですねえ。
[中村] そうですね。どの機種でもそうなのですが、メカの設計ではネジを少なくするというのは、課題として与えられているような面があります。
[ASCII24] しかしこれは……、ちょっと素人ではバラせませんね。
[中村] (分解すると)3回に1回はネジが余りますね(笑)。それでもまだ簡単な方だと思いますよ。type Xなどと比べれば、半分程度の時間でここまでバラせているんじゃないかな。
[ASCII24] 昔はメーカー製パソコンも自分たちで分解していたのですが、今のはとても怖くてできませんね(笑)。現在ではやはり、コンピューター上でボードやパーツのレイアウトからエアフローまでをシミュレーションして、このとおりに作れば大丈夫なはず、というところまで検証してから製造に入るわけですか?
[中村] そうですね。
[内山] “はず”まではいきますね(笑)。
[田吉] 今回の場合、熱の分布と風の流れがどうなるかまではシミュレーションしています。騒音までは事前には測れないないのですが。
[中村] 実際には排気が苦しいんです。端子がいっぱいあるから。
[ASCII24] そうか。カードが2枚ささっていて、端子もあるから背面に余裕がないんだ。
[中村] BTXというのはもっと大きな筐体では効果的なのですが、こういう端子が並ぶようなコンパクトな筐体というのは、苦しいんです。
[内山] 幅を10cmに抑えるには(幅を)増やせないので、その中でいかに後ろの開口部を増やすかというのは、苦労したところですね。
[中村] ケースファンを付けて強制排気のようなことをできれば助かるのですが。
[ASCII24] 設計段階では、ケースファンを付けた場合というのも検討されているのですか。
[中村] 考えてはいました。ただ実行段階までは移しませんでしたね。

type H 内部パーツ総覧 その1

本体左側ケース 本体右側ケース
本体左側ケース本体右側ケース
本体前面パネル 前面筐体フレーム(前方から見た状態) 前面筐体フレーム(後方から見た状態)。左上はメモリーカードスロットなどの基板。下は冷却ファン
本体前面パネル前面筐体フレーム(前方から見た状態)前面筐体フレーム(後方から見た状態)。左上はメモリーカードスロットなどの基板。下は冷却ファン

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