SAP/MaxDBコンソーシアムについて説明する、住商情報システム 生産技術センターオープンソース技術チーム長の村田勝之氏 |
SAP/MaxDBコンソーシアムは31日、企業向けにSUSE LINUXとMaxDBで構成されるオープン環境“SAP Business Intelligence(SAP BI)”の稼働検証プロジェクトを開始すると発表した。SAP BIとは、SAPジャパン(株)の統合アプリケーションプラットフォーム『SAP NetWeaver』を構成するパッケージ製品で、NetWeaverのコンポーネントであるデータウェアハウス管理ソフト『SAP Business Warehouse(SAP BW) 3.5』やポータルソフト『SAP Enterprise Portal 6.0』などにより、データ管理・分析・配信を行なう。コンソーシアムではビジネス分析ツールの導入を検討している企業を募集して、SAP BIと動作に必要なハードウェア、OS、アプリケーションなどを提供し、動作検証を支援する。参加企業の募集は4月1日に開始し、当初は3社を募集する。
SAP/MaxDBコンソーシアムとはSAPジャパンに加えて、システムインテグレーションベンダーの住商情報システム(株)、『SUSE LINUX』のディストリビューターであるノベル(株)、スウェーデンMySQL社のリレーショナルデータベース“MaxDB”シリーズを国内で展開する(株)ビーコン インフォメーション テクノロジー(以下ビーコンIT)、サーバーハードウェアや管理ソフトを販売する日本ヒューレット・パッカード(株)(以下日本HP)の5社で構成されるグループである。欧州ではLinux環境をベースとしたEPR基幹業務システム“SAP R/3”が普及していることを受けて、5社の協力により日本でもオープンソースソフトウェア(OSS)を利用したエンタープライズシステムの普及促進を目的としている。住商情報システム 生産技術センターオープンソース技術チーム長の村田勝之氏によると、ERPベンダーとして世界トップにあるドイツSAP社、元は欧州を中心に発展して、現在はノベルがサポートするSUSE LINUX、旧“SAP DB”を引き継いだMaxDBの3つの組み合わせは、欧州を中心にワールドワイドで6000~7000もの稼働実績を誇っているとした。
コンソーシアムを構成する各社と関連するサービス |
今回のSAP BI稼働検証プロジェクトでは、コンソーシアム各社が以下のような製品やサービスを提供する。またそれぞれの製品のサポートやトレーニングも提供される。検証プロジェクトに参加する企業はこれらを利用して、サービスを実際に導入する前に動作検証を行なえる。ちなみに提供されるサーバーハードウェアはIA-32 CPUを搭載するものだが、64bitシステムでの検証も行なったという。製品の提供は有償だが、参加企業向けの優遇価格で提供されるとのこと。検証に参加する企業の規模や案件によって製品構成と価格は異なる。SAP BIやSUSE LINUXのサポートについては、優遇価格で提供される。また管理者向けオンサイト・トレーニングやシステム構築の手引き書などは無償で提供される。
コンソーシアム各社が提供する製品やサービス
- SAPジャパン
- SAP BIのライセンス
- 住商情報システム
- システムインテグレーション、検証プロジェクトの管理
- ビーコンIT
- MaxDB7.5
- ノベル
- SUSE LINUX Enterprise Server 9
- 日本HP
- SAP社に認定されたIA-32 CPUを搭載するProLiantシリーズ、HP OpenView(管理ソフトウェア)
提供される製品・サービスはテスト環境で動作検証が行なわれたもので、5社による検証作業は2004年8月から行なわれていたと、村田氏は述べた。参加企業はこれら構成要素を、ワンストップでインストールできるとしている。動作検証は数週間から3ヵ月程度の間で行なわれ、終了後はコンソーシアム各社と参加企業の間でノウハウの共有が行なわれる。コンソーシアム側は蓄積されたノウハウを元に、OSSを利用したSAPシステムの普及を図る。最初に募集される企業は3社までだが、3社による検証プロジェクトが終了した後には、参加企業数の拡大も検討しているとのことだ。