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【SAP TechEd '04 Vol.1】“SAP TechEd '04”開幕!3日間でセッション数も増加!

2004年11月30日 20時57分更新

文● 編集部 小板謙次

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SAPジャパン(株)は30日、東京都内で技術情報を提供するプライベートショー“SAP TechEd '04”を開催した。SAP TechEd '04はすでに米国、欧州、インドで開催されており、日本が最後。昨年と比べると開期は3日間となり1日延長されたほか、セッションも120に増えている。

玉木一郎氏
基調講演前半に登壇したバイスプレジデント ソリューション統括本部長の玉木一郎氏

この日の午前中からはじまった基調講演前半には、まず同社バイスプレジデント ソリューション統括本部長の玉木一郎氏が登壇した。玉木氏はERP(Enterprise Resource Planning)ソフト『SAP R/2』や『SAP R/3』の画面を会場のスクリーンで紹介しながら、SAPが今後とるべき道筋をわかりやすく解説した。とはいえ、その道筋は6月に同社が開催したプライベートショー“SAPPHIRE‘04”で明らかにされている。2007年までに同社のすべての製品をESA(Enterprise Sevice Architecture)化するというロードマップだ。これはつまり、『SAP NetWeaver』を中心としたサービス志向のアーキテクチャーのなかで、人、情報、プロセスといった統合を実現していくシナリオだ。

SAP R/2の画面
SAP R/2の画面。「この画面を知っている人は日本では少ないだろう」(玉木氏)
SAP R/2の画面
SAP R/3の画面

玉木氏は「R/2は世界ではじめてメインフレームのテクノロジーをベースとしてリアルタイムの統合データベース、ビジネスインテクレーションを実現した製品だ」「一方、R/3はクライアントサーバーというアーキテクチャーにのっとってビジネスインテグレーションを実現した。両製品とも当時は自信を持って市場に投入したものだが、ある種の陳腐化が起きている。これは止むを得ないことだ」と話した。氏は、ソフトウェアも自動車産業や都市の構造と一緒で、ビジネスがどのように変化していくのか、あるいは経営環境の変化に応じて自分たちをどのように変えていかなければいけないのか? それをベースにITインフラストラクチャーを構築していくことが重要だとした。

ESAの理想的な姿として玉木氏は「ステレオコンポーネントをソフトウェアの世界にも作りたい」と話した。「こんなのはソフトウエア開発の世界ではこれまで議論されてきたものだと多くの人は思うかもしれない。しかし、モジュール化は本当の意味で途についたばかりだ」と氏は強調する。ビジネスアプリケーションベンダーであるSAPのような会社がこの形を目指すことが重要で、モジュール化の果てには誰でもアクセスできるフレキシビリティー、導入や変化に対するフレキシビリティーを実現するという。また、よく言われるところのIT投資10~20%についても言及された。「全く新しいIT投資は20~30%にすぎず、残りは既存のプラットフォーム間のメンテナンスに費やされている」という企業の例を挙げ、デュアルスタンダードを排除してプラットフォームの共通化を行なっていくことが大切だと強調した。共通化によって個性や差別化ができなくなるかもしれないという懸念については、独フォールクスワーゲン社の例を挙げた。同社が数あるブランドのなかで65%のテクノロジーを共有していることを紹介し、デュアルスタンダードを排除しながらビジネスレイヤーで新たなテクノロジーを駆使し、差別化のために必要な投資をしていくことの必要性を訴えた。

玉木一郎氏
「R/3、R/2はソフトに日々触れている人を想定していた」「(ソフトウェアによって)生産性を上げる対象はプロばかりでなく、会社のなかだけでもない」と話す

氏によると、この企業(会社)という単位も今は無意味で“会社の中”すら表わさないという。「R/3、R/2はソフトに日々触れている人を想定している。生産性とはプロのITユーザーを指して使っているのではない」と氏は前置きし、企業のオペレーションが拡大していくなかで、従来のERPという枠組みすら社外にどんどん広がっていると話した、だからこそESAというアーキテクチャーが必要だった。本当の意味での企業全体の生産性を提供したいとした。

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