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NTTデータ、センサーネットワークに関する取り組みについての説明会を開催

2005年03月11日 19時55分更新

文● 編集部 小西利明

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センサーネットワークについて解説するNTTデータ ビジネスイノベーション本部 ユビキタス推進室の林慶士氏
センサーネットワークについて解説するNTTデータ ビジネスイノベーション本部 ユビキタス推進室の林慶士氏

(株)エヌ・ティ・ティ・データは11日、“センサーネットワークの最新動向について”と題した報道関係者向けセミナーを開催し、同社が研究開発に取り組むセンサーとネットワークを組み合わせたシステムの国内外の動向と、研究中のシステムのデモなどを披露した。

同社はRFID(Radio Frequency ID)の研究開発に精力的に取り組んでいるが、その先の“ポストRFID”としてセンサーネットワークを位置づけ、新たに研究開発に取り組もうとしている。始めに挨拶に立った同社技術開発本部副本部長 ビジネスイノベーション本部 ユビキタス推進室長の山本修一郎氏は、有線で接続された従来のセンサーから、無線を利用してセンサー同士が自由にネットワークを作れるようになることで、センサーをばらまくだけで経済的にセンサーのネットワークを構築できるとし、こうしたセンサーネットワークには「すべての産業を変える力があると、我々は考えている」と述べた。そして実際に一次産業や二次産業の分野でも、取り組みが進み始めているとした。

続いて同社ビジネスイノベーション本部 ユビキタス推進室の林慶士氏により、センサーネットワークに関する具体的な説明が行なわれた。林氏はまずユビキタスコンピューティングの特徴を以下のように定義した。

  • あらゆるデバイスがネットワーク化される
  • コンピューターを使うことを意識させない
  • 状況の応じて提供するサービスが変わる(コンテクストアウェアネス)

そしてセンサー自体の進化とそのネットワーク化によって、「工場内のようなクローズドな環境内で有線でつながっていたアプリケーションだけではなく、いろいろなアプリケーションが可能になる」とした。その上で林氏は、工場や物流センターといったクローズドな環境内で用いるものや、気象情報や環境情報を収集するもの(地域気象観測システム“アメダス”)など既存のセンサーネットワークが、ゲートウェイ機能を介して相互につながることで、センサーネットワークが社会のインフラとして機能する点が注目されていると述べた。またネットワークの末端に当たるセンサー(センサーノード)の例として、三菱電機(株)が2004年9月に発表した、近距離無線通信規格“ZigBee(ジグビー)”に対応した5cm四方の小型無線センサー端末を挙げて、こうした小型センサーがあちこちに設置され、互いに無線で通信し合うのがセンサーネットワークのイメージであるとした。

センサーネットワークのイメージ図。個別の用途向けに構築されたさまざまなセンサーネットワークが、互いに接続されることで社会的なインフラになる 三菱電機が開発した無線通信機能付きセンサー端末。横の10円硬貨から、おおよそのサイズが分かる。通信方式は低消費電力の“ZigBee”を利用する
センサーネットワークのイメージ図。個別の用途向けに構築されたさまざまなセンサーネットワークが、互いに接続されることで社会的なインフラになる三菱電機が開発した無線通信機能付きセンサー端末。横の10円硬貨から、おおよそのサイズが分かる。通信方式は低消費電力の“ZigBee”を利用する

またセンサーネットワークの将来像として、現在はセンサー自体がカード入れサイズで小型電池による数日~数週間の駆動に止まるものが、2010年には塵のような小型軽量の姿となり、太陽電池で数ヵ月~数年間駆動できるものが登場すると述べ、市場規模は1兆2300億円を超えるとの見方を示した。

センサーネットワークの進化のロードマップ。小型軽量化やバッテリー駆動時間の延長に加えて、センサーの通信方式もセンサー同士のピアツーピアへと変化している センサーネットワークの市場規模予測図。上は2007年で、下は2010年(出典はユビキタスセンサーネットワーク技術に関する調査委員会 最終報告書より)
センサーネットワークの進化のロードマップ。小型軽量化やバッテリー駆動時間の延長に加えて、センサーの通信方式もセンサー同士のピアツーピアへと変化しているセンサーネットワークの市場規模予測図。上は2007年で、下は2010年(出典はユビキタスセンサーネットワーク技術に関する調査委員会 最終報告書より)

続いて国内外でのセンサーネットワーク技術に関する動向について説明されたが、林氏は日欧と比較して米国では軍事分野での利用が重視されていると、地域ごとの違いがあることを指摘した。紹介された海外の実験事例では、米国の国立科学財団が行なった、自動車橋に加速度センサーを取り付けて、橋の動きを計測することで負荷を計測する実験や、米インテル社が行なった家庭内でのユーザーの健康状態モニター実験、NASAが行なった気温や湿度を計測する環境センサー網の実験などが紹介された。NASAの事例では南極での動作実験も行なわれたそうで、将来の惑星探査などへの応用が期待できる。

NASAが行なった相互通信可能な環境センサー網による観測実験。南極などの極限環境下での実験も行なわれた
NASAが行なった相互通信可能な環境センサー網による観測実験。南極などの極限環境下での実験も行なわれた

また国内での事例や研究では、東京ガス(株)が2001年より運用しているリアルタイム地震防災システム“SUPREME”や、沖電気工業(株)が開発したZigBee通信機能を搭載した生体センサーを患者に装着し、病院施設の内外で患者の位置情報と生体情報を把握するといった研究が紹介された。

東京ガスの地震防災システム“SUPREME”の解説。地震発生後20分以内に情報を収集し、1時間以内に対象地域のガス供給を遮断する 沖電気が開発した、無線通信機能付き生体センサーを使った遠隔生体情報モニターのイメージ図。中継ノートの範囲内であれば、患者がどこにいても情報を把握できる
東京ガスの地震防災システム“SUPREME”の解説。地震発生後20分以内に情報を収集し、1時間以内に対象地域のガス供給を遮断する沖電気が開発した、無線通信機能付き生体センサーを使った遠隔生体情報モニターのイメージ図。中継ノートの範囲内であれば、患者がどこにいても情報を把握できる

またNTTデータによる実験のデモとして、“災害通報デモシステム”の例も紹介された。地域ごとに設置された雨量センサーなどの情報を集約し、一定時間の降雨量がしきい値を超えると、災害発生の危険性を担当者の携帯電話にメールで通知するといった仕組みで、センサーが捉えた雨量などの“コンテンツ”の変化をイベントの発生として通知し、それを引き金として災害予測や災害発生時のサービスなどを動作させるという仕組みだ。自然災害の多い日本では、期待を集める分野であろう。

NTTデータの災害通報デモシステムの概念図。雨量センサーが集めた降雨量を元に、水・土砂災害の危険性を判断して警報を通知する
NTTデータの災害通報デモシステムの概念図。雨量センサーが集めた降雨量を元に、水・土砂災害の危険性を判断して警報を通知する
災害通報デモシステムのデモの様子。赤や黄色の部分は、土砂災害の可能性が高いと予想される部分。状況の変化があると、担当者の携帯電話にメールで情報が伝達される

最後に林氏はセンサーネットワークがもたらすメリットについて、自然環境や人工環境を広範囲にモニターすることによる“安全性”、センサー同士がネットワーク化されることで、個人の属性や居場所に即したサービスを提供できる“利便性”、そして流通管理や人材管理、生産効率やエネルギー消費の最適化を行なうことによる“経済性”などを挙げた。その上でセンサーネットワーク普及のための課題として、何を調べてどう利益を得るのかといった“ビジネスモデルの確立”と、データの改竄や盗聴、不正利用対策といった“セキュリティー技術”や“プライバシーの確保”といった点を挙げ、特にプライバシーに関しては、技術開発と法整備、社会的な規範の浸透などの連携が必要と説いた。

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