(株)エヌ・ティ・ティ・データ(NTTデータ)は3日、企業などの情報通信システムを統合管理するITインフラ構築サービスとして、垂直統合型ネットワークソリューション“VANADIS(バナディス)”を発表した。具体的なソリューションの提供は2005年第1四半期に開始するという。
“VANADIS”のアーキテクチャー | “VANADIS”のサービス提供のモデル図 |
“VANADIS”は、企業内に構築しているIPネットワークや電子メール、ポータル、電子決裁、IP電話などのシステムを統合管理するためのITインフラ構築サービス。情報通信システムのマネージメント情報(ユーザーID/パスワード、アクセス権限、IT資産など)を管理するソフトウェア“IT統合マネジメント基盤(ERMP、Enterprise Resource Management Platform)”に“人”“もの”“運用”のトータルなマネージメントをコアに、一元的なアーキテクチャーに基づいて、セキュリティー、IPネットワーク構築、IP電話、ポータルなどのソリューションを提供していくという。現時点で発表されている具体的なソリューションは以下の4種類。
- “セキュリティソリューション(検疫LANソリューション)”
- 個人所有のノートパソコンの企業内利用といった“持ち込みパソコン”やVPNなどによる社外から社内ネットワークへのアクセスのセキュリティーチェックと接続管理を行なう“NOSiDE”システムとERMPの連携により、セキュリティーポリシーを満たしたセキュアなパソコンのみイントラネットへの接続を許可する、などのユーザー認証管理/アクセスコントロール/セキュリティーポリシー管理を中心としたソリューション。2005年度第1四半期提供開始予定。
- “IPネットワーク構築ソリューション”
- ERMPを中心として、セキュアなIPネットワーク(LANおよびWAN)を最適なコストと高い信頼性で構築するソリューション。2005年度第1四半期提供開始予定。
- “IP電話ソリューション”
- ERMPとIP電話システムの連携により、人事異動などに伴う各種設定変更の自動化や、電子メール/携帯電話/ソフトフォンなどといった多様化が進むコミュニケーションツールの統合管理/運用を行なうソリューション。2005年度第2四半期提供開始予定。
- “ポータルソリューション”
- ユーザー単位のアクセス制御などにより、“必要な情報を必要なユーザーに”提供するポータルの構築を可能とするソリューション。2005年度第3四半期提供開始予定。
“セキュリティソリューション(検疫LANソリューション)” | “IPネットワーク構築ソリューション” | |
“IP電話ソリューション” | “ポータルソリューション” | |
提供予定のソリューション |
また、ERMPをイントラネット内に設置したのち、企業内ですでに運用されている個別の情報通信システムをERMPに対応させていくことにより、“VANADIS”アーキテクチャーを段階的に導入することも可能だという。
同社では今後、“VANADIS”アーキテクチャーに基づくソリューションのラインナップを拡大するため、パートナー企業との連携を進めていくとしており、ERMPとパートナー各社のアプリケーションとの接続性を随時検証しつつ、“VANADIS”のソリューション群に組み入れていくとしている。この施策の第1弾の取り組みとして、シスコシステムズ(株)との協業が決定しており、両社がそれぞれ得意としているITインフラ構築分野におけるソリューションの開発および提案活動を共同で行なっていくという(具体的な内容については現在検討中とのこと)。
ビジネス開発事業本部副事業本部長でネットワークインテグレーションビジネスユニット長の田邊仁一氏 | 情報通信システムの高度化・複雑化に伴う課題 |
同日に行なわれた記者説明会で概要を説明したビジネス開発事業本部副事業本部長でネットワークインテグレーションビジネスユニット長の田邊仁一氏によると、現在の企業などの情報通信システムは、ホストコンピューティングやサーバー/クライアントコンピューティングのような“集中型”から“分散型”への移行が大幅に進んだが、高度化と複雑化も進んでしまっているという。特に、オープンシステム化が進む現在は、目的別に複数のシステムが構築・運用される傾向にあり、「シームレスなシステム間の連携とオペレーションの統合が必要」だと述べた。今回発表した“VANADIS”はこのような要求に対応するための統合サービスであり、具体的なソリューション提供が始まる2005年度以降の3年間で、70社への導入と150億円の売上を目指すという。