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「核戦争後のゴキブリのように、しぶとく生き残る」――無線ネットワーク規格“ZigBee”の普及促進団体“ZigBee SIG ジャパン”の設立作業を開始

2005年02月23日 19時14分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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SIG理事長の稲坂朋義氏
ZigBee SIG ジャパン設立準備の会見で挨拶する、三菱電機の情報技術総合研究所ユビキタスネットワークシステム部 センサネットワークチームリーダーでSIG理事長の稲坂朋義氏

米国カリフォルニア州に所在する非営利団体“ZigBee Alliance”が仕様策定を進めている次世代無線ネットワーク規格“ZigBee(ジグビー)”について、Alliance加盟10社は23日、東京・虎ノ門の沖電気工業(株)本社内会議室にプレス関係者を集め、日本国内での普及促進を図る目的で、特定非営利活動法人“ZigBee SIG ジャパン”を設立する準備を開始したと発表した。関係省庁への設立申請が完了しており、今年半ばには認証を受けて設立に至るとしている。



ルネサス テクノロジの事業戦略統括部ネットワークプロジェクト 担当部長の坪井 務氏
ルネサス テクノロジの事業戦略統括部ネットワークプロジェクト 担当部長の坪井 務氏

SIGに参加した企業は次のとおり(50音順)。

伊佐孝彦氏ら
村田製作所の営業本部販売推進部販売推進2課 担当課長の伊佐孝彦氏(右)、沖電気工業のシリコンソリューションカンパニービジネス本部通信・車載マーケティング部 ワイヤレスビジネスユニットの谷本晃一氏

説明会には、三菱電機の情報技術総合研究所ユビキタスネットワークシステム部 センサネットワークチームリーダーの稲坂朋義(いなさかともよし)氏、ルネサス テクノロジの事業戦略統括部ネットワークプロジェクト 担当部長の坪井 務(つぼいつとも)氏、村田製作所の営業本部販売推進部販売推進2課 担当課長の伊佐孝彦(いさたかひこ)氏、沖電気工業のシリコンソリューションカンパニービジネス本部通信・車載マーケティング部 ワイヤレスビジネスユニットの谷本晃一(たにもとこういち)氏らが出席し、活動の目的やZigBee規格の概要、用途などを説明した。

ZigBeeの位置づけ ZigBeeの規格モデル
ZigBeeの位置づけ。ほかの無線LAN規格と速度/到達距離などで比較しているZigBeeの規格モデル

ZigBeeは、物理層とMAC(Media Access Control)層にIEEE 802.15.4規格を用いた、2.4GHz帯(日本を含む全世界)/915MHz帯(米国)/868MHz帯(欧州)の近距離無線通信規格。2004年12月8日に確定した仕様によると、到達距離は10~70m程度と短く、速度は20kbps/250kbpsの2タイプが用意されている。すでにヘッドセットやキーボード/マウスなどに搭載され、実用化が進んでいる“Bluetooth(ブルートゥース)”、米インテル社などが実用化を進めている“UWB(Ultra Wide Band、ユーダブルビー)”などと比べて到達距離や通信速度が短く遅いが、「乾電池で半年から2年程度利用可能」(坪井氏)な低消費電力と、最大6万5536個のデバイスを識別できる多端末アドレス管理機能が特徴だという。

ZigBeeの物理レイヤーの説明
ZigBeeの物理レイヤーの説明

具体的な用途としては、家庭の照明器具のスイッチ、ホームセキュリティー、ビル管理、環境/構造のモニタリングなど現在は配線工事(有線)が必要なスイッチ/センサーなどの設置に有効。また、遅延時間が10~15ms(ミリ秒)の範囲内に収められるので、「キーボードやマウス、ジョイスティックなどの無線化にも利用可能」(同)としている。ただし、現在の規格では“照明”と“空調”の制御に関する規定が設けられているものの、それ以外は未決定(パケット通信に関してはAlliance内にワーキンググループが設置され、検討が進んでいる)で、「日本には日本で便利な仕様がある。それをSIGの中で意見を出し合い、まとめてAllianceに提案していきたい」(同)とSIGの活動目的を話した。

ZigBee SIG ジャパンの組織図
ZigBee SIG ジャパンの組織図。ZigBee Allianceの下部組織として、規格拡充の提案などを行なう

これ以外の活動内容・目的としては、

  • ZigBee規格の用途を拡大
  • 技術交流やマーケティングに関する助言・援助
  • 国内での販売・利用に関する許可申請や法令規則の調査研究(コンプライアンス活動)

などの非営利活動を行なうという。なお、各社が開発した機器の互換性検証・認証については、営利活動に当たる可能性もあるため、今後の検討を重ねていくとしてる。

なお、ZigBeeの規格詳細が現在Allianceの会員限定で公開されているため、SIGへの参加資格もAlliance会員である必要がある。

会場に展示されたZigBee通信ユニットの試作機 ZigBee通信ユニットの子機
会場に展示されたZigBee通信ユニットの試作機。単3電池2本で部屋の対角にある子機からセンサーの情報を受信するデモを行なったZigBee通信ユニットの子機。温度/湿度などをセンサーが検知し、無線で親機にとばすというもの。ZigBeeの通信チップは右下の“Radio”区画にある1チップ構成

会見後の記者からの質問で、「こうした規格は大が小を兼ねるという具合に、より高速/長距離の伝送が可能なものがスタンダードとして残る傾向があるが、どのような勝算があるのか?」と厳しく聞かれると、「ZigBeeは、“核戦争後の世界のゴキブリ”に例えられるように、しぶとく生き残れると思う。確かに同じ2.4GHz帯を使う各種無線規格が濫立しているが、強いものだけが圧倒的に支配するわけでもない」(谷本氏)、「短距離、低速でも低消費電力の強みを生かして、例えば太陽電池パネルを組み合わせたバッテリーレスのシステムといったものも考えられる」(坪井氏)として、SIGのメンバーが知恵を出し合い、既存の無線通信規格ではカバーしきれない広範な市場の形成・開拓を目指す姿勢を見せた。

会見後の余談として、坪井氏がZigBeeの名前の由来を「立ち上げ当初は蜘蛛の名前で、限られた空間にきれいな網を張る、という意味を込めたらしい。ただ最近はAllianceでも、Bee=蜂ということからジグザグに細かく動き回る働き蜂のように、さまざまなデバイスとつなぐという意味として説明することが多い」と裏話を紹介した。

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