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type X 解体天国

type X 解体天国

2004年11月22日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

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type X 内部パーツ総覧 その1

前面側筐体フレーム(内部側から見た状態) 前面の鏡面パネル
前面側筐体フレーム(内部側から見た状態)前面の鏡面パネル
背面側のパネル 背面側筐体フレーム
背面側のパネル背面側筐体フレーム
(左から)電源ユニット、HDDフレーム、X3ビデオサーバー用ファン付きフレーム (左から)X3ビデオサーバーの表側、裏側、X3用ファンとフレーム
(左から)電源ユニット、HDDフレーム、X3ビデオサーバー用ファン付きフレーム(左から)X3ビデオサーバーの表側、裏側、X3用ファンとフレーム
(左から)ヒートシンク上のファン、CPU用ヒートシンク (左から)ドライブトレイが出てくる部分の外板、電動ドアや前面LEDへの配線コネクター、(下)DVDスーパーマルチドライブと固定用フレーム
(左から)ヒートシンク上のファン、CPU用ヒートシンク(左から)ドライブトレイが出てくる部分の外板、電動ドアや前面LEDへの配線コネクター、(下)DVDスーパーマルチドライブと固定用フレーム

SH-4-240MHz、メモリ128MB、OSはITRON

[ASCII24] X3自体が1つのパソコンのようなものですよね。OSは何で動いているのでしょうか。
[中村] ITRONを使っています。
[松藤] ITRONでマルチタスク動作していて、エンコード、HDDに記録、配信のそれぞれ全部でタスクが分かれて動いています。
[ASCII24] 3チャンネル同時にエンコードして、記録して、外部の機器に配信までする。そう考えるとたいした処理能力ですね。CPUは何ですか。
[中村] SH-4です。240MHzで動いています。
[ASCII24] 3チャンネル全部で高ビットレートの録画を行なっても、問題はありませんか?
[中村] ええ、問題なく。
[松藤] ギリギリですかね、3チャンネルを録画して読んで配信まですると。ただし配信にはCPUパワーがいるので、8Mbpsで録画をしながら、8Mbpsで配信ということはできません。
[ASCII24] メモリーはどれくらい載っているのでしょうか。
[中村] 256Mbitのチップを4つ載せています。計128MBですね。
[松藤] HDDって必ずリアルタイムに書けるわけではないので、バッファを持たなくてはならない。それも3チャンネル分ということになるので多く載っています。
[ASCII24] パソコンの内部に独立したHDDレコーダを内蔵するうえでの苦労はどういった点ですか。type X自体、それほど巨大なマシンじゃないですよね。ここまで小さく高密度にしないという選択もあったと思いますが、なぜここまでこだわったのでしょう。
[府中] でもVAIOとしては結構大きいですよ。VAIOのデスクトップでは最も大きいtype Rと言えども、いわゆる自作パソコンのケースと比べれば小さいですから。この筐体でも「大きいね」と社内で言われることもあって、できるだけ小さく作らなきゃと頑張りました。
[松藤] 設計スタッフの中でも「ちょっと大きいな」という声がありました。当然部品を数多く入れていけば大きくなるのは当たり前なのですが、他のシリーズがあれくらいのサイズなのでね。ごく普通に安全方向に設計していくと、こんなサイズには収まらないので、最初はかなり大きくなってしまった。デザイン的にもこんな大きいのは駄目だろうという意見があったので、メカ設計担当がかなり苦労して今のサイズに収めてくれました。
[ASCII24] X3とパソコン側の接続は内部でのネットワーク接続ですが、PCIなどを使わずにネットワーク経由にした理由は。
[中村] もともとネットワーク配信を見据えて作っていたためです。データだけをPCI経由でやり取りするよりは、直接ネットワーク経由でやり取りする方がトータル的に見てもいいという判断です。
[松藤] パソコン側にギガビットイーサネット(GbE)と100Baseを1ポートずつ備えたスイッチングハブを内蔵している形です。パソコンのマザーボードとはPCI Expressを使ってハブを接続しています。マザーボード側の帯域が不足することもありません。

ついに公開! type X驚異のメカニズム

ここで機構設計担当の冨田氏の手により、type Xの解体作業が始まった。まず鏡面パネルが外され、前面側のパネルに手がかかる。

[ASCII24] type Xって、普通のパソコンユーザーがばらせるものですか。
[冨田] 無理でしょう。
[松藤] できないですね。
[府中] このアンフレンドリーさに、「中は開けないでね」というメッセージを(笑)

そして前面パネルが外されて、ついにその内部が明らかになった!

前面のパネルを外すと、その内部が明らかに! すさまじい密度とケーブルの量に、思わず「うわっ!」(注:すべての写真は開発時のモデルで撮影しており、製品版とは異なる可能性があります)
前面のパネルを外すと、その内部が明らかに! すさまじい密度とケーブルの量に、思わず「うわっ!」(注:すべての写真は開発時のモデルで撮影しており、製品版とは異なる可能性があります)
[ASCII24] (蓋を開けたマシンを見て思わず)うわ! すげえ!(全員爆笑)
[松藤] 見ていただくと分かりますが、隙間がぜんぜんないんですね。
[ASCII24] これはちょっと、ばらして自分でHDD交換ってわけにはいきませんね(笑)。
[府中] 私どもの製品には、メモリーの増設の仕方を解説しているような“開けてもいい”製品と、“開けないでね”という製品がありまして、type Xは後者にあたります。type Rなんかは、ボタン1つで開くようになっていますが、そういう工夫もしていません。
[ASCII24] このレイアウトになるまでは、相当な紆余曲折があったのでしょうね。
[冨田] レイアウトは20通りくらいを試しました。元々DVDドライブが縦置きであるというのが、デザインの大前提として始まっていて、普通のATXのケースは無視して作り直しました。コネクタの多いマシンなので、できるだけ広い面を表に出して、ケーブルを見せないように後ろへもっていくデザインコンセプトです。ドライブも電動で押すと出てくるというフィーチャーになりました。
[松藤] 今までと違う置き方ということで、床置きであるとか、広い面を前面に見せたいとか。ドライブのトレイが本体からはみ出さないという点も、デザイン側から強く言われて、そうすると大物のデバイスの場所も決まってしまう。配置にはかなり苦労して、設計としては置きたい所にデバイスを置けなかったりしました。
機構設計担当の冨田氏の手により、解体されていくtype X。パーツの詰め込み具合や配線の複雑さを考えると、自作慣れした人でも分解・再組み立ては困難な代物だ
機構設計担当の冨田氏の手により、解体されていくtype X。パーツの詰め込み具合や配線の複雑さを考えると、自作慣れした人でも分解・再組み立ては困難な代物だ
[ASCII24] ここまで高密度に部品をみっちり入れると、「よく空冷で冷えるな」と思います。
[松藤] 量産直前までいろいろと格闘していましたから(笑)。
[府中] まずエアフローの方向が、普通の自作パソコンケースなどとはまったく違います。広い面で吸って、広い面で吐く。
[冨田] 全方向から吸っているようなものですね。台座もスリットになっていまして、下からも吸気できるんです。通常のパソコンなら、前から吸って後ろに吐くとなるのですが、type Xは3方向+下のあらゆるところから吸って、排気は背面に出してしまう。


DVDスーパーマルチドライブとフレームを外して、ようやくマザーボードやHDDに手を触れられる。重ねて言うが、自分で内蔵HDDを交換しようとは考えない方がいい X3ビデオサーバーのユニットは、このようにチューナーを下にして縦に装着されている。VHF/UHF信号を分配するRFディストリビューターが、スタンド内部にあるためでもある
DVDスーパーマルチドライブとフレームを外して、ようやくマザーボードやHDDに手を触れられる。重ねて言うが、自分で内蔵HDDを交換しようとは考えない方がいいX3ビデオサーバーのユニットは、このようにチューナーを下にして縦に装着されている。VHF/UHF信号を分配するRFディストリビューターが、スタンド内部にあるためでもある

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