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Too/ディスクリート/STUDIO4℃、今夏公開予定の映画『マインド・ゲーム』のCGメイキングプロセスを公開

2004年07月16日 01時29分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“3ds maxアニメーションセミナー~STUDIO4℃メイキング オブ 「MIND GAME」~

(株)Too、オートデスク(株)の3DCGソフト販売ブランドである“ディスクリート”、アニメーション制作集団“STUDIO4℃”の3者は8日、東京・御茶ノ水のデジタルハリウッド(株)の東京本校で今夏公開予定の映画『マインド・ゲーム』のCGメイキングプロセスを紹介する“3ds maxアニメーションセミナー~STUDIO4℃メイキング オブ 「マインド・ゲーム」~”を共同開催した。参加は無料で、会場には90人以上のCGやアニメーション制作に携わる学生/社会人などが集まった。



映画『マインド・ゲーム』のタイトルロゴ 映画『マインド・ゲーム』の1シーン
映画『マインド・ゲーム』のタイトルロゴ映画『マインド・ゲーム』の1シーン。吉本興業の今田耕司氏が演じる主人公・西が、ヒロインのみょん(前田沙耶香さん)にプロポーズするところで……

STUDIO4℃は、『アニマトリックス』『スプリガン』『MEMORIES』などのアニメーション作品を手がけた世界的にも著名なクリエイター集団。今夏公開予定の映画『マインド・ゲーム』は、実写をベースに独特のパースで心理描写を効かせた劇場用アニメーションで、湯浅政明氏の劇場初監督作品。原作はロビン西氏による同名の漫画で(『COMICアレ!』1995年1月~1996年3月連載)、このたびSTUDIO4℃レーベルにて厚さ5cmのNEWカバーデザインとして発売されている。

ディスクリートのソフトウェアプロダクト プロダクトマーケティングマネージャーの一之瀬真一郎氏
ディスクリートのソフトウェアプロダクト プロダクトマーケティングマネージャーの一之瀬真一郎氏

セミナーは、ディスクリートの3ds maxによる3DCGアニメーション制作のコツをレクチャーする第1部と、STUDIO4℃の紹介(第2部)、ならびにSTUDIO4℃の制作スタッフによる『マインド・ゲーム』の一部シーンのメイキング解説という3部構成行なわれた。第1部では、ディスクリートのソフトウェアプロダクト プロダクトマーケティングマネージャーの一之瀬真一郎氏、ソフトウェアプロダクト シニアアプリケーションエンジニアの宋 明信氏によるデモンストレーションが行なわれた。デモの内容は、3Dオブジェクトの組み合わせが重力によって落下し、床面でばらばらに壊れるという“物理シミュレーション”、水面にオブジェクトが当たると波紋が同心円状に広がり、周辺部で反射した波と干渉する“波紋シミュレーション”、ポリゴンで構成された3Dキャラクターの辺縁部のみ太い線でトレースしたような昔のアニメーションキャラクター風の効果を与える“トゥーンシェーディング”、人工降雪機から飛び出す粉雪や霧のように細かい物体がばらばらに飛散するシーンを描く“パーティクルフロー”など。最後にこれらの機能を組み合わせて3ds maxのみで仕上げたというフル3DCGのデモムービーが紹介された。

ポリゴンで作成したスペースシャトルのような3Dオブジェクトが、滑空しながら地面に激突してばらばらに分解する様子を3DCGアニメーションで再現 水面にボールがぶつかり、そこに波紋が広がる様子を物理シミュレーションしている 上部の左右端を固定した布地が風に揺らめくところ
ポリゴンで作成したスペースシャトルのような3Dオブジェクトが、滑空しながら地面に激突してばらばらに分解する様子を3DCGアニメーションで再現水面にボールがぶつかり、そこに波紋が広がる様子を物理シミュレーションしているこれも物理シミュレーションの例で、上部の左右端を固定した布地が風に揺らめくところ
トゥーンシェーディングの例 水上をホバリングして飛沫があがるシーンを3DCGアニメーションで描いている

第2部、第3部では、STUDIO4℃のプロデューサーの田中栄子氏、CGI監督の笹川恵介氏らが壇上に立ち、過去のSTUDIO4℃の作品をまとめたショートムービーの上映や、同集団の成り立ちと現在までの活動内容、今後の抱負などが述べられた後、『マインド・ゲーム』のメイキングシーンとその解説が行なわれた。

STUDIO4℃のプロデューサーの田中栄子氏
STUDIO4℃のプロデューサーの田中栄子氏

最初に田中氏は、「『マインド・ゲーム』は最初から3ds maxで作ろうと考えて、“max”というチームを新たにSTUDIO4℃の中に作った。そのきっかけは、とにかくコストパフォーマンスが高いからです」と本作品と3ds max、ディスクリートとの出会いを語った。また、『マインド・ゲーム』というカルトな作品を映画化するに至った理由やその後の展開について田中氏は、「原作の漫画に出会った瞬間、これをアニメーションにしたいと考えたが、いくつかの問題に当たった。まず原作の絵は極端なパースがついているため、それで動きがわかる人には大いにリアルな躍動感が伝わるが、そんな見方ができないスタッフもいて、そこを理解させるのが困った。また、お金を集めるのも難しかった。原作にはセックスや暴力シーンが出てくるが、アニメーションではこれらは厳禁だ。そこで実写を組み入れることで、“この映画は実写作品です”として通そうかとも思った。こうした曲折を経てようやく作品になった。しかし、出来上がっても映倫(映画倫理管理委員会)が通らなければロードショウ公開はできない。最初は“18禁”(18歳以上のみ入場可能な年齢制限作品、R18)になるかと覚悟していたが、実際に映倫に持ち込んで担当者に見せたら、その場で意外なほど盛り上がって結局“一般”(年齢制限なし)で通った。これが作品に対する自信にもつながった」と、作品への思いを(多少早口ではあったが)熱く語った。



最初にアニメーターから上がってくる手書きの原画からパースやカメラワークを想定する 3ds maxで3Dオブジェクトをおきながら、カメラワークを決める
メイキングシーンの解説から。最初にアニメーターから上がってくる手書きの原画からパースやカメラワークを想定する。画面はPhotoshopでパースなどの補助線を書き入れているところ3ds maxで3Dオブジェクトをおきながら、カメラワークを決める。このときにカメラマップ機能が便利だったと、CGI監督の笹川氏は語る
描き込まれた背景と3Dオブジェクト(ワイヤーフレーム)を組み合わせて、指定したカメラアングルからの映像を確認しているところ 3ds maxで制作した映像を複数組み合わせたり各種エフェクトを加えるのはAdobe AfterEffectsで行なった
描き込まれた背景と3Dオブジェクト(ワイヤーフレーム)を組み合わせて、指定したカメラアングルからの映像を確認しているところ3ds maxで制作した映像を複数組み合わせたり各種エフェクトを加えるのはAdobe AfterEffectsで行なった。なお、デモンストレーションで利用したパソコンは日本ヒューレット・パッカードの(株)のデュアルXeon 3.20GHz搭載ワークステーション『HP Workstation xw6000』を使用

CGI監督の笹川氏は、3ds maxで実写を組み合わせた3DCGアニメーションを作成し、『Adobe AfterEffects』でその映像の編集作業やエフェクト(特殊効果)の適用を行なうという『マインド・ゲーム』の制作過程を壇上で再現した。それによると、まず最初は従来のアニメーション制作と同様に、アニメーターによる手書きのレイアウトで背景/キャラクター/オブジェクトなどの造形や配置を決める。次に美術によって描かれた背景素材をイメージスキャナーで取り込んで、3Dオブジェクトに張り込む。最後に完成させた各素材を組み合わせてアニメーションを仕上げる、という手法で行なっていた。

笹川氏は監督の意向として、「CGっぽくなり過ぎない、手書き感覚を残すこと」を重要視し、それには3ds maxのカメラマップ機能(カメラの撮影開始位置/終了位置を指定すると、その中間を自動的に生成し、アングルを決める機能)が特に有効だったと語った。

『マインド・ゲーム』のCG制作スタッフの面々
『マインド・ゲーム』のCG制作スタッフの面々

なお、『マインド・ゲーム』は8月7日から東京・渋谷のシネクイント、大阪・心斎橋のパラダイススクウェアなど5館での上映をはじめ、全国で順次拡大公開予定。また、今月24日に東京・有明のパナソニックセンターで開催される芸術祭“デジタルアートフェスティバル東京2004”で『マインド・ゲーム』に関するトークライブなどの関連イベントが予定されている(詳細は公式ウェブサイトを参照いただきたい)。

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