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【caworld 2004 Vol.3】シニア・バイス・プレジデントのルイス・A・ブラット氏――シングル・ユニファイド・プラットフォームが重要

2004年05月26日 22時30分更新

文● 編集部 小板謙次

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今回の“caworld 2004”では『Unicenter Asset Intelligence』や“MDB”という言葉が登場する。これらが、オンデマンドコンピューティングでどう働き、どういう役割を担っているのか、あるいは既存製品との関係について聞いてみた。

[報道陣] 『Unicenter Asset Intelligence』は既存の製品なのでしょうか?また、ソフトウェアやハードウェアなどのITを管理する『Unicenter Asset Management』やソフトを自動配布する『Unicenter Software Delivery』とはどのように違うのでしょうか?
[ルイス・ブラット氏] 私がCIOだとしましょう。そして自分の担当しているビジネスユニットの人間がサーバーを買い足したいと言っているとします。意思決定のためには、現存するサーバーの利用率、キャパシティーが足りない理由、そしてサーバーを買うことになった場合には他のビジネスユニットと共有することになるのかどうか、などといった情報が必要になります。現在の『Unicenter Asset Management』のソリューションは、ITリソースのディスカバリーはできるし、インベントリーもできます。しかし、CIOの立場として買うか買わないかとったビジネスの問題や疑問を解くための情報は提供しません。

『Unicenter Asset Intelligence』を導入することによって、ポリシーやルールを設定し、ルールに基づいた自動化が可能になります。たとえば、新しいサーバーを買う場合には、現存するサーバーの利用率が45%以上でないといけないというポリシーを設定しておけば、それ以下の場合は誰かが新しいサーバーを買いたいといっても自動的に拒否されるとことになります。つまり、ITの管理が財政的にもオペレーション的にも自動化されるというのが、もうひとつの重要なポイントなんです。

他の例としては、セキュリティー分野でパッチを当てるという作業が挙げられます。日々の業務ではパッチを当てなければいけないケースが発生しますが、どのマシンにどのパッチを、いつ当てなければいけないのかということを把握しなければいけません。さらに、当てなければいけないパッチは年間に何百万もでてくくるため、パッチの優先度もある程度のインテリジェンスをもって判断されなければいけません。『Unicenter Asset Intelligence』を採用するということで、それを自動化するという利点があります。
[報道陣] 『Unicenter Patch Management』を今年度販売していくといわれていますが、それとの違いは何なのでしょうか?
[ルイス・ブラット氏] 『Unicenter Asset Intelligence』がまずありきです。『Unicenter Asset Intelligence』自体はひとつの機能として、あるいはひとつの製品として独立するという形になります。しかし同時にこの機能を、『Unicenter Patch Management』が使ったり、あるいは他の製品が利用するといったようなことも考えられます。つまり、ソフトウェアやハードウェアの問題を発見してポリシーをつけ自動化するプロセスが生まれてくるわけですが、そういった機能を独立して使っていただく場合もあれば、他製品と一緒に提供される場合もあるということです。
[報道陣] 『Unicenter Asset Intelligence』はCAの単独のプロダクトではないのでしょうか?
[ルイス・ブラット氏] 新しい製品であり、ひとつのケーパビリティーとしても考えることができます。
[報道陣] 『Unicenter Asset Management』のニューバージョンではないんですね


[ルイス・ブラット氏] そうです。『Unicenter Asset Intelligence』も『Unicenter Asset Management』も両方別々の製品として存在し、両方販売するということになります。企業によっては『Unicenter Asset Management』だけを使う形もあるし、両方を活用するところもあるでしょう。
[報道陣] いつリリースされるのでしょうか
[ルイス・ブラット氏] まだ分かりませんが、12ヵ月以内ということになるでしょう
[報道陣] 『Unicenter Asset Management』や『Unicenter Service Management』はManagement Database(MDB)を使うことになると思いますが、これはどんな種類のデータベースなんでしょうか
[ルイス・ブラット氏] たとえばサービスデスク製品や『Unicenter Asset Management』製品の両方を使っている環境でMDBがあれば、これまでできなかったようなことが可能になります。たとえば、ひとつの環境でユーザーが問題を抱えているとします。トラブルチケットが発行されてインシデントの詳細が見え、問題を解析していくことになります。ここで、その解決方法が、パッチをダウンロードするといったことだった場合で、ハードウェアにメモリーが足りないといったケースを考えて見ましょう。本当にメモリーが足りないのか、ソフトウェアパッチに問題があるのかが判断されます。通常ならUnicenter製品6つぐらいに渡り、2~3人がかって行なわなければいけない作業となります。しかし、1つの環境で1人の人間がかかわるだけでよいという形態になります。MDBを追加するとによって、一連の作業の連携がとれるということになります
[報道陣] MDBは現存するプロダクトなのでしょうか?


[ルイス・ブラット氏] 今から出てくるCAの製品にはMDBがついてきます。MDBがない環境の場合はMDBの環境にマイグレードすることが可能です。つまり現在のシステムにあるデータを、新しく追加されたMDB上に展開することが可能になります。これは、“シングル・ユニファイド・プラットフォーム”という考え方に基づいています。しかし実際問題、ほとんどのユーザーがCAの製品だけを使っているわけではありません。ぜひとも他ベンダーの製品を含めて、ひとつの“シングル・ユニファイド・プラットフォーム”にしたいと思っています。この場合には、MDBに他ベンダー製品からデータを注入するためのコネクターを使っていただくことになります。昨日、DCML(Data Center Markup Language)のフレームワークの仕様としてバージョン1.0が正式に発表されました。DCMLはまだ標準化団体にはなっていませんが、65のインディペンデントソフトウェアベンダーと100以上のエンドユーザー企業が参加している組織です。

現在、データセンターをXMLで記述するためのスタンダードを書いているところです。しかし、ハードウェアベンダーはあまりこういった考え方、つまりシングル・ユニファイド・プラットフォームには関心がありません。しかし、そうはいっても必要なので1ヵ月前、月に標準化団体に対してRFI(Request For Information)をだしました。DMTF(Desktop Management Task Force)、OMG(Object Management Group)、Oasis、グローバルグリッドフォーラムなどといったところには米マイクロソフト社や米IBM社、米ヒューレット・パッカード社がガバニングメンバーとして入っています。そこにぜひとも我々が作ってるフレームワークをリビューし、オーナーになってほしいと依頼しています。DCMLこそが、ユーティリティーコンピューティングで欠けている要素であると考えています。昨日発表したフレームワークでは、各ワーキンググループが、それぞれのエリアにフォーカスしています。そして、それぞれの領域に存在する要素の定義を行ない、他の領域との関連性を明確にしていきます。その作業が終わってはじめてドキュメントができ、ソフトウェアベンダーのパッケージに組み込まれたり、あるいは企業間で使われたりすることになります。


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