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【特別企画】『踊る大捜査線2』本広監督インタビュー──今後はフレーム単位で指示がだせるようになる

2004年04月21日 18時25分更新

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──深津さんのシーンはどういう風にやり直してるんですか?

白昼のお台場に銃を持った人たちが現れるんですけど、お台場にいる観光客たちは「なんかの催しもの?」ってのんびしてる。兵隊が集まってきて街が混乱していくと、そのなかで深津さんがなんとか皆を助けようとする。その様子は編集で表していくしかないんですよ。現場では実際に表現できないわけで。「じゃあエキストラのみなさん逃げてくださ~い、わーっ」なんて、怪獣ものと同じなんですけど、そういう絵の積み重ねでニュアンスのシーケンスを膨らませていくじゃないですか?さらに、その時に深津さんが撃たれる映像をゆっくりみせた方がいいのか、撃たれる前にドキドキさせた方がいいのか…、これがその時の気分や体調によってものすごい違う。また、この時の織田君の顔がいいのか、つまり主人公の顔を視聴者は観たいのか、撃たれて倒れていく深津さんの顔がいいのか、これは難しい。正解がないんです。

──深津さんの話がでましたが、深津さんの魅力ってのは?

彼女の底力というか気品が、恩田すみれって役を成長させていったと思うんです。最初、“踊る”をはじめる時に「(役者さんと)もめるよ」って人に言われてたんですよ。それで、相当理論武装して現場に行ったんですけど、僕は深津を侮ってたんですね。でも、一番最初にぶつかったのは深津さんですね。「わからないです」「この意味がわかりません!」って言われて(笑)。で、一回すごくじっくり話し合った時期があって、それ以来お互いに信頼おけるようになったんですね。ものすごい一生懸命な方ですね。すみれっていう女性は普通の人よりも2歩3歩先に歩いている人っていうのを決めて、全部台詞も自分のなかで消化して出していく。脚本と台詞が一字一句変わってないですからね。それでいて、ニュアンスで伝えていく。大したもんだなと思います。

──そういう編集に今はどれくらいかかるんでしょうか?

撮影中から同時進行で約10日間ですね。10日ってのは、前だと考えられないですね。昔だと3ヵ月くらいかかってましたからね。僕たちはテレビの作業に馴れてるんで、2日でやってしまうことができるかもしれない。

──最近ではブロードバンドで上映するショートフィルムがさかんなんですが

僕もやりたいんですけどね。DVカムで撮影して、このDELLのマシンで編集しようと思うんです。

──ホームシアターは作らないんですか?

イヤねぇ、一回奥さんに相談したんですよ。地下に部屋作れないかなって。それで調べてもらったら、1メートル掘るのに100万円かかるって言われて…(笑)。最初から掘ってないとすごいかかるんですよね。それであきらめて、今はソニーのヘッドフォンで我慢してます。

3階建ての自宅の最上階に本広監督の作業部屋がある。壁には仕事関係、あるいは趣味の書籍やDVDなどがズラリと並べられている。
『踊る大捜査線BAYSIDE SHAKEDOWN 2』(4179円/発売元:フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー/販売元:ポニーキャニオン)

──6月に“踊る2”のDVDが出ますね

今、その作業をやってます。赤と白のパッッケージがあります。『踊る大捜査線2』と海外版の『踊る大捜査線 BAYSIDE SHAKEDOWN2』の2つを同時に観比べられる。なにしろ中途半端なコンテンツを作ると、ものすごくファンに怒られるので(笑)。自分のホームページでも問いかけているんですよ、「どんなの欲しいですか?」と。コアなファンとマスの両方を大事にしなきゃならないんで(笑)。

──じゃあ、映像特典も凝ってる?

そうですね。でも、懲りすぎると「こんなの観ねえよ」と言われて高級感が損なわれる。まあ、コメンタリーは4本くらいあると思います。で、1本隠れてたりするんですけど。あと公開コメンタリーをするみたいですね。

──イベントを収録すると

はい、声だけ。あとはこれまで流出してないメイキングですね。結構いいシーンがいっぱいです。そして多分、もっと膨大な話も動いていて、“踊る”がはじまったころの話から今回のDVD発売までの歴史の何かを作ろうと。

──映像でですか?

映像と写真とか。携帯用も考えられます。

●プロフィール

本広克行氏。1965年7月13日生まれ。 『踊る大捜査線』テレビシリーズの演出を手がけ、『踊る大捜査線 THE MOVIE』『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』では監督。『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は2003年の日本アカデミー賞監督賞、作品賞、編集賞などを総ナメ。他監督作品としては『サトラレ』『スペーストラベラーズ』などの話題作がある。



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