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【特別企画】『踊る大捜査線2』本広監督インタビュー──今後はフレーム単位で指示がだせるようになる

2004年04月21日 18時25分更新

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──『踊る大捜査線2』のなかにはCGは入ってるんですか

あぁ~、もういっぱい入ってますね(笑)!レインボーブリッジを封鎖しろっていう話なんですけど、レイボーブリッジは実際に使わせてくれないのでCGですね。パースをとって模型を作って、そこからCGをおこして…。織田裕二さんの背景は地面だけ残してあとは全部CGだったりとか、ヘリコプターなんかもCGですね。ほとんどわからないでしょ。

──全然分からないですね

実写使ってても「なんだよCG使って」とか言われる(笑)。「逆だよ逆」って言うこともありますよ(笑)。走る織田君とかにもCG使ってますね。「あのシーン、いつ撮ったっけ?」て織田君に言われて「いやCG」って(笑)。さりげない雨の質感も作れるし、たくさんのお客さんがサッカー場にいるところも簡単にできちゃう。

──映像の仕事にパソコンをこういう風に使っていきたいという考えは?

自分で編集に加わっていくとか…。今までは、ニュアンスとしての表現で抽象的な指示しか出せなかったんですけど、今作ろうとしているものはもっとデジタルな作品なので、この数字を動かしてくれ、とか具体的に指示ができるようになる。



デスクトップのほかに、バイオノート ZとLinuxザウルスを愛用。すべて無線LANで接続できる環境を整えている

──今作ろうとしてるものはどこまで完成しているんですか?

まだ完璧にはできてないんですよ。やりたいなっていう理想があって同業の方に話をしている状態。演出には、引いて観る時間が必要だといわれてるんですね。たとえば、フィルムを眺めている間に考えられる時間がいいって…。でも、僕はテレビ出身なんで、スピードに鍛えられてるんですよ。どんどん作業を速めていこうと思ってます。

──設定とかジャンルは?

基本は娯楽映画ですけど、まぁ笑って泣けて、最後ホッとするっていう3原則の映画です。いろんな人の意見が入った方が娯楽作品はどんどん面白くなるっているのがあるんで、台本作りをしている段階です。



──まだ構想中なんですね

実は今ね、いろんなことをしてるんですよ。“踊る2バブル”って言われていてて、なんでも企画が通っちゃうんです。もう、大丈夫かな日本映画っていうぐらい(笑)。スゴいですよ。口にしたもの全部映画になっちゃう勢いです。だから逆に大人しくしてようと(笑)。

──“踊る3”はないんですか?

“踊る3”は多分ないですね。でも、今考えているのは“踊るシリーズ”っていうもの。実は、“踊る”を作るってことはテレビの主役をみんな持ってきちゃうようなものなんですね。で、同じ時間帯にやってる他の局の番組の視聴率がガーンと落ちるんですよ。何といっても登場してる方々がみんな主役をはれるんで…。だったら一人ひとりをフィーチャーしていくことができるかなと。織田君だけの話とか柳葉君だけの話とか。

“踊る大捜査線”って視聴者が世界観を作っちゃったので、話が勝手に育ってるんですよ。インターネットのホームページにも力を入れて、皆のバックボーンを作ったので…。例えば、室井さんは本庁に帰ってくる前に、北海道の美幌署ってところにとばされたという設定。雪国のなかの美幌署の署長・室井みたいな…。それだけで高倉健さんチックなシチュエーションができて「面白そうですね」みたいな話があったり。青島君は潜水艦の事件があるらしいんですよね。“踊る2”のなかで「潜水艦事件以来ですね」っていう台詞があるだけど…。映画のラストカットに柳葉君と織田君が潜水艦で握手しているスチールが入ってる。こんな話を一個一個作っていくっていうのはアリかなと。

──それにしても“踊る3”を期待しますね

織田君と柳葉君が一緒に捜査をするシーンっていうのは、長らくファンだった人は涙して観るわけですよ(笑)。確かに撮ってる時も自分で「カッコいいな~」とか思ってましたけど。これをやっちゃうと次がないんですね。青島君(織田君)に部下がつくとか、そういう話になって…。そうすると織田君は主役じゃないし、青島の中間管理職の話とかってのは観たくないしなぁとか(笑)。

──話を戻しますけど、手を入れる部分というのは具体的に、どんな部分になってくるんでしょうか?

ちょと細かい話になってくるんですけど。フレーム単位で数秒ちょっとを伸ばししたい、前のイン点を削りたいという微妙なさじ加減があるんです。もう数フレームのばせばもっといいのにとかね。この泣いてる顔の時間が長いほうがいい、いや長ければ長いだけ観てる人は冷めるとか。今までは、「そういうことならいいや」と思って作業を任せたりしてた。でも後で「やっぱり伸ばしとけばよかったぁ~」とか後悔したり…、いつでもそういうやりとりの繰り返しだったんですよ。“踊る”でも深津さんが撃たれるシーンがあるんですけど、そこの編集は何回やったか分からないくらいですね。今度、デジタルのフレームに口出しできるようになると、自分がフレームを切る感覚があるので悔いが残らないですよ。ただそれだけのことだと思いますけど、完成度はかなり上がってきますよ。



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