Springdaleを捉えられたか
使い方は普通のP4マザーと変わらない。これもひとつ特徴的なのは、4つ並んだDIMMスロットのうち、両端の2つと、中央の2つが、それぞれ128bitのペアになっている点だ(普通は2DIMMずつ差すか、互い違いだ)。これが“PT880”のリファレンスデザインだとすると、このスタイルのボードが各所から登場してくる可能性はある。写真のように色分けがしてあればまず間違えないが、そうでない場合は面倒でもマニュアルに目を通したほうがいいかもしれない。
さて、チップセットによってPCのスピードが変わる最大の理由はなんといっても、メモリパフォーマンスの差だ。さっそくSandra 2004とAIDA2001で、Intel865(Springdale)、Intel875(Canterwood)とメモリ性能を比較してみた。使用機材等は以下のとおり。
CPU:Pentium 4-3GHz(FSB 800MHz)
メモリ:PC3200(512MB)×2
ビデオカード:GeForce FX5900Ultra(メモリ256MB)
HDD:Seagate Barracuda ATA V(80GB)
Intelチップセットについては、マザーボードはインテル製を用いた。また、メモリ速度を統一するため、BIOSではマニュアル設定を選び、
RAS to Precharge:8
RAS to CAS:3
Precharge:3
CAS Latency:3
CMD Rate:2
とした。
さて、計測結果であるが、デフォルトの設定では“PT880”はi875はおろか、“i865”にも、Sandraこそわずかにリードしたものの、AIDAではかなりの差を付けられている。ここから当然推測されるように、3Dのベンチマーク各種、およびWindows Media Encoderでの圧縮、いずれも“i865”に届いていない。特に3D系では3DMark2001でi865に300差、“i875”には650差がついたのを始め、Quakeでも15~20、Final Fantasyでも34差と、いずれも後塵を拝している。
ただ、マザーボードに付属のテスト設定例では「CMD Rate」(DDR SDRAMに何クロックごとにコマンドを送るか。1なら毎クロック、2なら2クロックに1回)を1にすることを推奨しているので、そうしてみたところ性能はかなり向上し、3D系でもほぼi865に並ぶようになった。一方、公平を期すため、“i865”と“i875”でもBIOSでCMD Rate=1の設定にしてみたが、同じメモリを使っているにもかかわらず、こちらではWindowsが起動しなくなってしまった。したがって、「動く範囲での速度比較」では、なんとかタイに持ち込めたことになる。
一方、TMPGEncによる動画圧縮においては、デフォルト状態でも“i865”や“i875”にかなりの差をつけてリードしている。これは、ノース=サウス間が1GB/秒と、“i865”や“i875”の2倍の速度を持っていることが効いている可能性があるほか、VIAのオールインワンドライバに含まれるIDEドライバが、キャッシングのような最適化作業を行なっているのかもしれない。CMD Rate=1にする前提でかつ、ハードディスク(またはノース=サウス間速度)のメリットを加味するなら、i865と互角以上のパフォーマンスと言えるだろう。