地図の美しさと情報量で勝負
プロアトラスW2
画面7 紙地図のような美しさと情報量の多さが人気の「プロアトラスW2」。アルプス社の紙地図に慣れているユーザーなら買って損はない地図ソフトだ。 | 拡大図付近をVGAサイズでトリミングしたところ。 |
オフライン地図ソフトの代表格といえば、誰もが「プロアトラス」を推すだろう。そのプロアトラスシリーズの最新版がプロアトラスW2だ。
プロアトラスシリーズの最大の魅力は、なんといっても地図データの美しさにある。それは馴染みのある紙地図そのもののクオリティだ。ご存じのようにプロアトラスの開発元であるアルプス社は地図を専業とする企業。長年の地図制作に関わる技術の蓄積が、デジタル地図に表現されていても不思議ではないだろう。実際、プロアトラスの魅力は地図の美しさ以外に、情報量の多さがあげられる。主要な駅周辺の縮尺約1/1,500の地図では、お店の電話番号や定休日までもが記載され、駅構内にいたっては改札や階段も明記されている。ここまでの情報量は他の地図ソフトには見られない。確かに、どんなに縮尺を大きくできても必要な情報が記載されていなければ、地図としての役目は果たさないという同社の自負にはうなずけるものがある。
画面9 不透明度を変えた描画で立体的ともいえるプロアトラスW2の美しい地図データ。情報量の多さにも驚かされる。 |
「地球の歩き方」
海外マップを搭載
今回のバージョンアップの目玉は海外の地図を搭載したことだろう。ダイヤモンド・ビッグ社の「地球の歩き方ポケット」から、ハワイ・ロンドン・バンコクなどの海外主要都市の観光地図が収録された。とはいっても残念ながらこれはプロアトラスとは別のアプリケーションであるコンテンツビューアで見る特別な地図だ。せっかくプロアトラスW2自体に世界全図や世界広域地図があるのに、そこから主要都市地図を起動することもできない。また、地図の縮尺は1種類しかなく、まさしく観光用の地図である。実用性だけではなく、地図ソフトに対して趣味性を感じている人にとって世界地図は待ち望んでいた機能のひとつだと思う。まぁ、海外の詳細な地図はいろいろな問題もはらんで製品化するのは難しいのだろうから、観光用でもいい、別のアプリケーションでもいい、あるに越したことはないのかもしれない……。
プロアトラスW2に標準収録されている海外マップは、ハワイ、ケアンズ&シドニー、バンコク、ロンドン、ロスアンゼルスとラスベガスだ。その他グアム、バリ島、香港、北京、上海、台北、ホーチミン、ソウル、釜山、シンガポール、パリ、ニューヨークといったタイトルは、プロアトラスW2ユーザーであれば、定価300円でアルプスマップオンラインショップからダウンロードできる。
画面10 “コンテンツビューア”という別アプリケーションで起動する「地球の歩き方」海外マップ。限られた地域だけの地図で、縮尺変更はできない。 |
大幅に増えた詳細地図と
充実した検索機能
地図データは、縮尺約1/7,500が従来よりも大幅に増え、さらに縮尺約1/21,000は日本全域をカバーすることとなった。また、ピンポイント住所検索機能には新しいキーワード検索を実装し、より簡単な住所検索ができるようになっている。ユニークなのは、CSVファイルのインポートとエクスポートの機能が追加されたことで、自分で作成した住所データを「一丁目二番地三号」のように地図上に表示できることだ。そのポイントにコメントを入力したり、ポイントからURL、Excel、Wordファイルなどへのリンクもできる。
画面11 細かな条件を設定できる検索機能。住所の検索にはキーワードによる検索オプションが追加された。インデックスバーはドッキングとフローティングを着替えられる。 |
その他の機能としてユニークなのは、デジタルカメラの画像を地図上に貼り付けられることだ。旅行の記録としても楽しいが、ビジネスでも役に立ちそうだ。また、高速道路料金計算機能では「普通車」のほか「軽自動車等」、「中型車」、「大型車」、「特大車」の料金も計算できるようになった。さらにルート検索機能では、ドライブシュミレーション的な使い方ができるようになっている。交通手段ごとに走行速度の設定ができるので、おおよそのガソリンの料金や使用量もルートと一緒に表示できる。ただルート検索を使うには、ネットワークアクセスキーを入手して、インターネットに接続しなければならない。ここだけはオンラインだ。
画面12 ルート検索では、移動手段の選択のほかに、移動手段による速度、燃費などを設定して検索できる。 |
フルインストールで
11GBが必要
機能的にも便利になり、詳細地図データも盛りだくさんとなったプロアトラスW2だが、その分ディスク容量を膨大に消費することにもなった。なんと全国の地図データや関連のファイルをフルインストールすると、11GBもハードディスクを消費してしまう。もちろん必要な地域だけを選んでインストールできるようにもなってはいるが、データを持っているなら全部インストールしたいというのが人情というものだろう。しかしこの容量ではノートPCではきつい。美しい地図データを取るか容量の少ない地図ソフトを取るか、ユーザーは厳しい選択を迫られることになる。
画面13 デジカメで撮った写真を地図上にドラッグ&ドロップで貼り付けて、コメントやタイトルを入力できる。 |
プロアトラスは以前からビットマップの地図データを採用しているのだが、私はアルプス社がいつベクタデータの地図をプロアトラスに採用するのか楽しみにしている。プロアトラスが持つ地図データの美しさと情報量の多さをベクタで再現することは技術的に可能だと思うのだが。素人考えだろうか。かなりファイル容量を軽減できるはずだ。
MapFan.net3.5とプロアトラスW2は、機能と性能においてはそれぞれに一長一短があり、コンセプトも素性も違うまったく別次元の地図ソフトだ。実用性を重視して常に最新の地図が必要ならMapFan.net。ハードディスクに余裕があり、地図データに遊び心と美しさ、そして情報量の多さを望むならプロアトラスW2がオススメだ。
MapFan.net3.5/プロアトラスW2の主なスペック | ||
製品名 | MapFan.net3.5 | プロアトラスW2 |
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価格 | 市販パッケージ:3980円 ダウンロード版:3200円(1年間の利用料金) |
全国DVD/全国CD:各1万4800円 関東-東海-関西CD:8500円 東日本CD/西日本CD:各7800円 |
対応OS | Windows 98/Me/NT4.0 SP6以降/2000 SP3以降/XP SP1以降 | Windows 98/Me/NT4.0 SP6以降/2000 SP3以降/XP SP1 |
CPU | PentiumII-233MHz以上(300MHz以上推奨) | Pentium-200MHz以上(400MHz以上推奨) |
メモリ | 64MB以上(96MB以上推奨) | 64MB以上(128MB以上推奨) |
HDD | 100MB以上の空き容量 | 600MB以上の空き容量(最小インストール) 全国DVD/全国CD:11GB(フルインストール時) 関東-東海-関西CD 6.5GB(フルインストール時) 東日本CD 7.5GB(フルインストール時) 西日本CD 6.5GB(フルインストール時) |