ソニー(株)は10日、新ブランド“QUALIA(クオリア)”の記者発表会を開いた。“QUALIA”は、ラテン語で、人間の感覚・心に訴えるような“質”を表わす。“QUALIA”ブランドの製品群は、機能やスペックではなく“感動価値の創造”を基準に同社内で評価されたものだという。今回はSXRD HDプロジェクター『Q004-R1』(240万円)のほか、エレクトロニクス分野の4製品が発表された。これらは受注生産品で、バージョンアップなどのアフターサービスも充実させるという。
「“QUALIA”的なバイオもできる」
ソニー会長兼CEOの出井伸之氏。「“QUALIA”はソニーそのもの」 |
製品の質を市場戦略の軸にした“QUALIA”ブランドの背景には、「技術にこだわって、希少価値のあるものを作っていく」(ソニー会長兼CEOの出井伸之氏)という、ソニーの企業精神があるとした。また一方で、製造業はデフレによる価格下落の問題を抱えており、「デフレの原因は価格とシェアの競争。モノ作りをもう一度見直さなければならない」(副社長の高篠静雄氏)と、大量生産とは違ったアプローチが必要だという。
“QUALIA”ブランドの小型デジタルカメラ『Q016-WE1』を手に持つ副社長の高篠静雄氏。「(“QUALIA”ブランドによって)ソニーの創業精神に戻る」 |
現在“QUALIA”向けの企画は、同社の各ネットワークカンパニーから約70件あがっており、『Q004-R1』などの4製品を含め17の企画が進行している。17の企画の中には、パソコンは含まれていない。しかし出井氏は、パソコンの性能が劇的に向上したこと、「インテルやマイクロソフトのスピード競争にあわせて」(同氏)3ヵ月単位で新製品を投入していくパソコン産業のサイクルに疑問を投げかけた上で、「“QUALIA”的なバイオもできると思う」と語った。
ソニーのプレゼンテーション資料より。ソニーの技術力と、“匠”個人の執念を持ってして、“QUALIA”の製品ができあがる |