【IDF Spring 2003 Vol.1】“IDF Spring 2003”初日はクレイグ・バレットCEOが基調講演――光スイッチと“NEWPORT”をデモ
2003年02月19日 20時29分更新
2月18日(現地時間)より米国サンノゼ市でインテルの開発者向けのイベントである“IDF(Intel Developer Forum) Spring 2003”が開催されている。これは、同社が開発向けに今後のさまざまな技術や方向性について説明を行なうイベントである。
会場となったサンノゼコンベンションセンターの正面ゲート |
初日である18日は、米インテル社のCEOであるクレイグ・バレット(Craig Barrett)氏の基調講演から始まる。すでに今年CESで基調講演を行なった同氏だが、IDF初日のスピーチであることから、内容は総合的なもので、デスクトップ、サーバー、モバイルなどの各プロセッサについては明日以降のキーノートで具体的な発表などが行なわれる予定。
初日の基調講演に登場したクレイグ・バレット氏 |
ここ2年ほどは、インテルは本業回帰ということで、コンポーネントメーカーという位置づけに自らを置く。かつては、一般向け製品やインターネットビジネスなどにも手を出していたが、これらはきっぱりとやめ、半導体、特にCMOS技術を使った製品をビジネスの中心としている。
このところのテーマは“コンバージェンス”、インテルとしては、通信とITの融合が今後のトレンドであるとして、プロセッサーの速度向上だけでなく、通信関連の技術にも力を入れている。
インテルが試作した光スイッチ。一方からレーザー光を入れ、反対側の出力をこれをデジタル電気信号で制御する |
今回のキーノートで最初に披露したのは、半導体で作った光スイッチ。CMOS基板上に光の通り道を作り、それを2つに分岐させたうえ、片方に位相を変化させるフェーズシフターを入れる。こうすると、一度2つに分かれた光(位相の揃ったレーザー光)が、片方だけ位相が変化し、ちょうど山と谷が一致したときには、お互いが打ち消し合い光は出てこなくなる(逆に山と山が一致したときには最も強い光が出てくる)。このフェーズシフターをデジタル電気信号で制御することで、電気信号を光の信号に変換できるわけだ。
インテルは、電気-光変換をシリコン上に作り、従来のデジタル回路と共存させ、高速な信号を光で伝達することを構想している |
インテルとしては、こうした技術を使い、既存の電子回路からの信号を光に変えて伝達させることを考えている。半導体の中はともかく、基板上の配線で伝えることが可能な周波数には限界がある。すでにクロックが3GHzに達したCPUは、これからもクロックが速くなり、いずれ、数GHzの信号を伝えなければならなくなる。このときに有望視されているのが光によるデバイス間の接続。このためには、電気信号と光を相互に変換しなければならない。これを実現するためには、半導体技術で光を扱う必要がある。今回のデモはそうした時代に向けたインテルの研究成果を示すもの。
もう1つのデモは、来年、2004年後半ぐらいに登場予定の次世代PCのリファレンスデザイン。インテルは、このIDFでリファレンスデザインを発表し、メーカーに提供する。もちろん、利用するプロセッサーやチップセットはインテルのものを使う。
今回は、“NEWPORT”と呼ばれるモバイルのデザインや2つの液晶画面を持つデスクトップマシンなどを披露。
“NEWPORT”を開いたところ。キーボード部分は、ちょうどブックカバーのような形になっている |
液晶部分を取り外したところ。こちらが液晶の裏側になる。下のほうにある矩形部分がサブ液晶である |
NEWPORTはPentium-M(コード名Banias)を使ったノートパソコンに似たデザインのPC。液晶部分とキーボード部分が分離でき、また、小さな液晶を表側にも持っていて、たとえば、メールの到着やスケジュール表示、通信状態の表示などを行なう。このため、フタを閉じた状態でも、ちょっとした利用が可能。
表側にあるサブ液晶部分。横に操作用のボタンがあり、メニュー選択などで機能を実行する |