(株)富士通研究所と富士通コンポーネント(株)は26日、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)を発生する圧電薄膜トランスデューサーを利用したタッチパネルを開発したと発表した。開発したタッチパネルは、厚さが0.7mm、圧電薄膜トランスデューサーを収容する額縁部分の幅が1.4mmのガラス板を利用したもので、光の透過率が98%と高いのが特徴。また、傷に強く、小型化も可能という。
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開発したタッチパネル |
従来のタッチパネルで利用されている“抵抗膜方式”は、複数の層で形成されており、光の散乱の影響で透過率は通常82%程度で、各層に表面コーティングを施しても86%程度までしか改善できなかったという。同社が採用した“表面弾性波方式”では透明基板1枚でタッチパネルを構成できる反面、弾性波を発生する圧電トランスデューサーの出っ張りや、基板全面を走査するための額縁部が必要で、小型化が難しい。そこで同社は、圧電薄膜を電極と単極性の櫛型電極で挟み込む“SPT(Single Phase Transducer)電極構造”を連続して配置する“シェブロン形電極構成”を開発し、額縁部を1.4mmに小型化。また、SPT電極とシェブロン形電極構成の圧電薄膜トランスデューサーに特化した制御回路を開発し、位置分解能が100dpi(dot per inch)で毎秒100回のサンプリングを行なえるようにした。さらに、電気振動を効率よく機械振動に変換する約2μmの圧電薄膜を大面積に成膜するプロセスを開発したという。
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シェブロン形電極構成とSPT電極構造 |
