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サーチクロス

サーチクロス

2002年11月11日 00時15分更新

文● ASCII24編集部 内田泰仁

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サーチクロス

ビレッジセンター

パッケージ版:5900円
ダウンロード版:4800円

 長年PCを使っていると、どうしても貯まっていくのが「大量の捨てられないファイル」だ。その種類は、WordドキュメントやExcelワークシート、PDFファイル、さらには(アプリによって保存方法は様々だが)送受信したメールなど、多岐に渡る。もし、何かの理由で1つのファイルを探すとき、普段からまめにファイルを仕分けして整理していれば、目的のファイルが置いて場所の当たりをある程度つけることも可能だが、ファイルの整理整頓が怠っていたり、関連する複数のファイルを同時に探したいときなどには、探しているファイルに含まれている単語で全ファイル検索を行うのが常套手段だ。

 Windows標準のファイル検索機能にも、ファイル中の文字列を検索する機能が盛り込まれているが、HDD内のファイル数があまりにも多い場合、検索スピードは決して速くはなく、使い勝手も決して良好とは言えない。今回紹介するビレッジセンターの「サーチクロス」は、Windows標準の検索機能よりも遥かに高速で、しかも使い方次第では大量のファイルの効率的な管理にも役立つという、全文検索ユーティリティだ。

「サーチクロス」のメイン画面。左のペインが検索語の入力欄や検索条件の設定画面、右上のペインが検索結果の表示画面、右下のペインには検索結果のファイルやメールのプレビューが表示される(画面はテキストのみによるプレビュー表示)。

インデックス方式の採用で
標準機能を遥かに凌ぐ高速検索を実現

 サーチクロスは、あらかじめ「インデックスファイル」を作成しておき、これを検索することで素早く目的のファイルを探し出す、いわゆるインデックス型の検索ソフトだ。サーチクロスの実行ウィンドウは、“検索条件の設定ペイン”(右側)と“検索結果の表示ペイン”(左上)、そして検索結果のファイルを“プレビュー表示するペイン”(左下)という3つで構成される。検出したファイルをサーチクロスの中でプレビューができるのも、本ソフトの大きな特徴のひとつだ。

 サーチクロスで検索可能なファイルは以下のとおり。

  • テキストファイル(拡張子「TXT」、および拡張子「.c」「.h」などのプログラムソースファイル)
  • Microsoft Word、Excel、PowerPointのドキュメント
  • 一太郎の文書ファイル
  • HTMLファイル
  • PDFファイル

 Windows標準の全ファイル検索とは異なり(あらかじめ検索するファイルの拡張子を指定していしておけばいいのだが、少々面倒だ)、サーチクロスは最初から上記ファイルだけを狙い撃ちで対象にするため、検索効率がよく、ユーザー側の手間も少ない。操作は単純に、(1)記憶に残っている“断片的なキーワード”を入力して、(2)検索ボタンを押すだけだ。さらに、本ソフトで特徴的なのが、メーラの送受信ファイルをインデックス化しておき、本ソフト上で検索可能という点だ。対応するメーラは、

  • AL-Mail32
  • Becky! 2.x
  • Becky! 1.x
  • Eudora
  • Netscape Messenger 4
  • Outlook 97/98/2000/2002
  • Outlook Express 5/6
  • Outlook Express 4
  • PostPet 2.0
  • WeMail32
  • WZ MAIL 4.0

となっている。これらのメーラーには標準で文字列検索機能が備わっているものの、ほかの文書ファイルを探す場合と同じインターフェイスで、ほかのドキュメントファイルと送受信したメールの中身を一緒くたに検索→一覧表示できるため、重要な探し物をしているときには手がかりが増えて大変便利だ。例えば、「×××という案件の、◎◎◎に関する情報を探したいのだけど、メールに書いてあったのだか、プレゼンテーション資料をCDでもらったのか、情報を受け取ったときの状況が思い出せない……。でも『◎◎◎』というキーワードだけは覚えている」といった場面でも、とにかくサーチクロスで『◎◎◎』という単語を検索すれば、メールであろうとWordやPowerPointのドキュメントデータであろうと、ファイル形式が不明でもとにかく手早くキーワードを含むファイルをまとめて漏らさず表示してくれる、というわけだ。

プレビューペインには、検索結果のファイルをOLEを利用してプレビュー表示することも可能。

 さて、本ソフトの高速検索の肝となるインデックスだが、初回のインデックス作成には、さすがに数分~数十分(ファイル数など環境による)の時間を要する。インデックスファイルはフォルダごとには作成されず、一括した1ファイルで管理される。インデックスの更新はスケジュール予約しておけば自動で行われ、更新タイミングは“何日おき”“週/月に1回”“毎日何時”に実行といった詳しい条件をユーザーが設定できる。インデックスの更新を怠ると、新しいファイルは検索結果に反映されないので、文書の作成/更新の頻度や日々のメール送受信総数などを考慮し、あまり間の空かない適当なタイミングを設定しよう。また、インデックスの更新作業中は当然HDDへのアクセスが非常に多くなるので、休み時間や深夜/早朝など、PCで作業していない時間帯に行うといいだろう。

 実際にWindows XP標準の検索機能と速度を比べてみたが、その検索の速さは目を見張るものがある。XP標準の検索機能で検索するファイルの種類を一切設定しない(デフォルトの設定条件)で特定の単語を含むファイルを検索したところ(検索対象のHDDは20GB、ファイル総数は6万強)、すべての作業が完了するまでに約3分かかったが、インデックスを作成済みのサーチクロスでは約6秒で終了した。しかも、Windowsの検索機能では見つけられなかった検索対象語句が含まれるメールも見つけてきたので、実使用上の便利さはサーチクロスのほうが明らかに上だ。この快適な検索速度を生かして、キーワードによる絞込みや複数語検索、件名や差出人などのメール条件に応じた絞込みなどを組み合わせていけば、たとえ膨大なメール数であっても、目的のファイルに効率よく辿り着けるはずだ。



PDFファイルもこのとおり単純なテキストファイルとして文章部分をプレビューできるので、PDFからすばやくテキストを抽出するのにも使える。

 高速検索もさることながら、サーチクロスの“プレビュー”も特筆すべき便利な機能だ。基本は、OLEを利用してプレビューペインにファイルの内容を表示するものだが、OLEによる表示を「OFF」にすると、選択したファイルの中から“テキスト部分のみ”を表示する。この設定では、対応する各アプリケーション(のコンポーネント)を呼び出すことなく即座にプレビュー表示されるので、動作は軽く、ファイルの中身、特にテキスト部分だけを確認しながら目的のファイルを探り当てるといった場合に、軽快な動作が非常に嬉しい。また、テキスト部分をクリップボード経由でコピー&ペーストする際にも、この機能は大変重宝する。

 軽快な動作と痒いところに手が届く機能を持つ便利なユーティリティソフトだが、毎回ソフトを起動しなければこの便利な検索機能を使うことはできない。欲を言うなら、Windowsのタスクトレイ(通知領域)やタスクバーに検索窓を埋め込んで常駐したり、エクスプローラーやマウスの右クリックから簡単に呼び出せたりすると、さらに便利に使えるだろう。今のままでも十分便利だが、Windows自体に本ソフトが内蔵(アドイン)でき、もっと日常のWindows操作に溶け込む形のインターフェイスが用意されると、使い勝手はさらに向上するはず。このあたりは今後のバージョンアップに期待したいところだ。


 “ファイル検索ソフト”と銘打たれた本ソフトではあるが、その主目的である高速かつ快適な検索機能だけでなく、各種メーラや主要アプリのドキュメントのプレビュー機能も持つなど、単なる「検索ソフト」としてだけでなく、HDD内に散乱した無数のファイルを、フォルダを作ったり移動したりすることなく“再整理するソフト”としても有効活用できる。「整理整頓は苦手だけど探し物はすばやく見つけたい」という人なら、一石二鳥の効果があるソフトと言えるだろう。



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