東北大学電気通信研究所とパイオニア(株)は9日、強誘電体結晶への記録再生に独自の“SNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy:走査型非線形誘電率顕微法)”を利用して、超高密度記録再生に成功したと発表した。
強誘電体結晶薄膜における高密度記録(右下は1と0の信号配列パターン) |
HDDの記録密度は、垂直磁気記録が実用化されても1Tbit(テラビット)/インチ2が限界と言われており、5~10年後には限界に達すると予想されている。これまで磁気記録のほかに、高密度記録媒体として注目されていた強誘電体記録では、電気的に記録した情報がイオンや電子で中和されてしまうため、適切な再生方法がなかった。今回、1994年に東北大学電気通信研究所の長康雄教授が発明したSNDMを利用することで、超高密度記録再生に成功し、記録密度が1.5Tbit/インチ2の可能性を実証できたという。
強誘電体結晶薄膜に記録した文字とDVDピットの比較(文字のドットサイズは直径20nm) |
これにより、将来的には10~100Tbit/インチ2の強誘電体プローブメモリーの実現が期待できるとしている。今後、マイクロマシン技術を応用してシステムを小型化し、小型/大容量のストレージ装置の実現を目指すという。