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「Wi-FiロゴはIEEE 802.11すべての技術をカバーするものに」──WECAのイートン会長インタビュー

2002年07月06日 03時37分更新

文● 編集部 佐々木千之

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記者説明会後、ASCII24ではイートン氏とソニーのホームネットワークカンパニー ネットワーク担当部長の富樫浩氏へのインタビューの機会を得て、Wi-Fiに関する疑問をぶつけてみた。

Wi-Fi認定の意義は?

[ASCII24] 現在日本ではWi-Fiロゴ入りの製品と、ロゴなし製品が売られており、秋葉原のショップなどでは「Wi-Fiロゴの有無はWECAの加盟料を払っているか払っていないかの差でしかない」(※6)というセールストークも聞かれますが、どうお考えですか?
※6 WECAに加盟するためには年会費2万ドル(約240万円)、Wi-Fiロゴの取得には1製品について1万5000ドル(約180万円)が必要。

[イートン氏] 相互接続性という観点から見れば、Wi-Fiロゴを持っているかどうかは大きな違いがある。例えば(ロゴ取得のため)WECAのテストラボに持ち込まれる製品のうち、初めて持ち込まれる製品の30%は相互接続の認定を受けられないレベルだ。Wi-Fiロゴの無い製品ではほかの製品との接続性に関して大きな問題になる可能性が考えられる
イートン氏は以前は副会長を務めていた
イートン氏は以前は副会長を務めていた。なお同氏は米インターシル社の社員でもある
[ASCII24] Wi-Fiロゴを取得している製品であっても、その性能には大きな差があり、ある製品では使える位置でもほかの製品では使えないという状況も生じています。接続できるかどうかだけでなく、製品の性能の指標となるロゴも必要ではないでしょうか?
[イートン氏] 確かに製品間で性能のばらつきがあることは認識している。現在の認証は接続互換性のみに集中しているものであり、製品の“品質”をテストするところまでは踏み込んでいない。ただし、WECAのなかで品質関連のテストを行なう可能性について協議しているグループがある。とはいえ、性能指標については(Wi-Fiロゴと違って)必須の問題とはならないだろう。
[ASCII24] IEEE 802.11a製品のロゴがIEEE 802.11bと同じというのでは、ユーザーに分かりづらいのではないでしょうか。なぜ同じにしたのですか?
[イートン氏] Wi-FiのロゴはIEEE 802.11関連のすべての技術標準をカバーしたものになる。どの技術に関して認証を受けているかは、(別途添付する)性能ラベルに明記する。Wi-Fiロゴだけではどの技術なのか一見して分からないかも知れないが、以前(2001年11月)IEEE 802.11a認証製品の名称として“Wi-Fi5”をアナウンスした際に、Wi-Fi5がWi-Fiに対するバックワードコンパチビリティーを持つものだとエンドユーザーが誤解し、混乱してしまった。このことが統一ロゴを使用することにした理由だ。

ただ、IEEE 802.11関連の技術をどのようにサポートするかはWECA内でも議論になっていることは確か。IEEE 802.11b/a以外の規格について認証を受けた製品に関しては、性能ラベルに表示することになるだろう。
[ASCII24] 富樫さんにお聞きします。ソニーは今回WECAのボードメンバーになったわけですが、その狙いはなんでしょうか?
ソニーのホームネットワークカンパニー ネットワーク担当部長の富樫浩氏ソニーのホームネットワークカンパニー ネットワーク担当部長の富樫浩氏
[富樫氏] これまでの無線LAN製品はほとんどパソコン向けだけと言っていい状況だったが、来年以降はパソコン以外のコンシューマーエレクトロニクス製品にもどんどん広がっていくと予想している。それがボードメンバーになった理由だ。
記者説明会で示した、WECA認定製品の増加予想グラフ
記者説明会で示した、WECA認定製品の増加予想グラフ。上が家庭用製品、下がビジネス用を表わしており2005年には家庭用製品のほうが多くなると予想している
[ASCII24] Wi-Fiロゴについて、認証された規格の詳細が性能ラベルを見ないと分からないということは、パソコン用製品ならともかく、パソコンに詳しくない一般ユーザーが利用するコンシューマーエレクトロニクス製品としては、分かりづらいのではありませんか? 例えばIEEE 1394aに対する“i.LINK”のようにコンシューマーエレクトロニクス製品向けに別のロゴを策定することは考えられませんか?
[富樫氏] 確かに現在考えられている性能ラベルの表記は、コンシューマーエレクトロニクス製品向けとしては難しいところがある。これをどのようにしていくかについては、WECAのボードメンバーの一員として検討していく。

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