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【直撃! 話題の企業】ワイヤレスP2Pで快進撃 スカイリーネットワークス

2002年08月27日 17時36分更新

文● 編集部 佐々木俊尚

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802.11bやBluetoothなどを搭載した無線機器をダイレクトに相互通信させ、P2Pのネットワークを生成するツール『DECENTRA』シリーズを開発、販売している(株)スカイリー・ネットワークスの梅田英和代表取締役社長に、現在の技術的課題や今後のビジネス展開などについて聞いた。

梅田英和(うめだ・ひでかず)梅田英和(うめだ・ひでかず) 1972年生まれ。有限会社グラム・デザインで開発した『Boogie』を基盤として、ワイヤレス市場での基本ソフトウェア、開発ツール、通信サービスを提供する会社としてスカイリー・ネットワークスを2001年7月に設立。
[ASCII24] スカイリー・ネットワークス社はいまや、日本のITベンチャーでもっとも注目を集めつつある、という感もありますね。ただ、まだ具体的なサービスや製品となって消費者の前に現れていないのも事実です。DECENTRAは今後どのように展開していくことになるのでしょうか。
[梅田社長] 現在、海外にも発表しているバージョンが1.0。次の世代のバージョン2はVoIP(Voice Over IP)など、より高度な機能を搭載することになると思います。
[ASCII24] やはりそちらに向かうのですね。無線LANを使ったIP電話は今後、ネット業界でも台風の目となりそうな気配が濃厚ですが、技術的課題は。
[梅田社長] いまのところ、1対1ならまったく問題はないのですが、いざDECENTRAでホッピングしようとすると、ホップするたびに速度が落ちてしまうのです。ホッピングというのは、P2Pでつながった端末に通信を中継させる仕組みで、これを使えば、たとえば802.11bの電波の到達範囲外にいる人との間でも、間に何人かの端末を経由させることで通信を中継させることができるわけです。これをマルチホップ機能といいます。
[ASCII24] しかし間に何台かの端末が経由すると、当然速度が落ちてくるというわけですね。
[梅田社長] そうです。5ホップ――つまり間に5端末を経由する状態で実用的なIP電話として利用できることを目指しているのですが、現在は5ホップ経由すると通信速度が4分の1~20分の1にまで落ちてしまう。この速度低下を2分の1に抑えるのを目標としています。また自然な通話を行なうためには両端末間のタイムラグが150m sec以内という目安があるようです.この範囲内に抑えられるかどうかも課題です。
[ASCII24] 他にも課題は?
[梅田社長] 音声通話なら、若干途切れても実用上は問題ないのですが、データ通信の場合は途切れてはいけない。ちょっとでも途切れればエラーが出てしまいますからね。1ビットも誤りなく送るのにはどうすればいいのか。それも次世代バージョンの大きな課題として開発を進めています。
[ASCII24] 技術的課題と同時に、今後はDECENTRAをどう普及させていくのかという課題もありますね。方針としては?
[梅田社長] 最終的にこのソフトを爆発的に広めるためには、どの分野が一番適しているのかをいつも考えています。いろんな可能性を試していきたいと思っています。とにかくわれわれは最優先でソフトウェアのクオリティーを高めていき、それをわれわれのパートナー企業がお客様のニーズにあわせていくというスタイルです。
[ASCII24] DECENTRAベースのVoIPに対する各社の感触は?
[梅田社長] どの企業もおもしろがってくれているようです。アクセスポイントから無線LANを使って通話するというのは皆が考えているのですが、わたしたちが開発しているようなマルチホップについては想定外だったようなんですね。でもマルチホップ通信は、実は利用に適した場所はかなり多いはずです。たとえばイベント会場や、工事現場などが当てはまるでしょう。
[ASCII24] 特定エリア内でトランシーバーのように使うということでしょうか。
[梅田社長] そうですね。われわれはVoIPの通信キャリアになろうとしているわけじゃありません。もう少しはっきり言えば、一般電話や携帯電話との通話にはあまり興味がないのです。そうではなく、完全に閉じた場所ではあるけれども、その場所では手軽に簡単に通話ができてしまうというものを作りたいと思っています。
[ASCII24] その方がどちらかといえばゴールは見えやすい感じですね。
[梅田社長] そうですね。
[ASCII24] 最近、無線LANのホットスポットが急激に増えつつあります。こうしたホットスポットサービスとのDECENTRAはどう関わり合っていくことになるのでしょうか。
[梅田社長] 難しいところですね。はじめはアクセスポイントが少ない場所で、アクセスポイント自体をホッピングさせるような仕組みを考えて、そこに技術を提供して……と考えていました。しかしこれだけアクセスポイントが増えてきているのだったら、それをうまく利用したモデルというのを考えつつあります。
[ASCII24] DECENTRAのあり方自体が変わるということでしょうか。
[梅田社長] DECENTRA自体が変わるわけではありません。そうではなくて、アプリケーション側の利用の方法が変わってくるということでしょうね。たとえばDECENTRAの現バージョンは無線の電波強度を測る機能は提供していませんが、これを提供することでアプリケーションは電波強度を比較し、距離的に近い方と通信するとか、自分の周囲にどんなアクセスポイントがあるのかを一覧表示するとか。あるいは、どのアクセスポイントを自分がいま利用しているのかという情報をフィードバックさせたりとか。
[ASCII24] 位置情報などにも応用できそうですね。
[梅田社長] たとえば、こんな使い方もできます。東京のすべてのアクセスポイントに情報を送るけれど、東京以外のアクセスポイントには情報は送らないでいい。そういうルールを作り、アクセスポイントのインフラを利用すれば、地域別の配信サービスを可能にしてしまえるのです。
[ASCII24] DECENTRAなら案外簡単に実現できてしまいそうですね。
[梅田社長] 技術的には簡単ですが、ある意味力仕事な作業になりそうです。アクセスポイントをリストアップして、どのアクセスポイントはどこにあるか、っていうデータベース作りがたいへんそうです。

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