このページの本文へ

コンパック、“NonStop”サーバー最上位機種を発表、専用RDBMSも提供

2002年06月25日 23時47分更新

文● 編集部 佐々木千之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

コンパックコンピュータ(株)は25日、都内で記者発表会を開催し、無停止型並列サーバー『HP NonStop S86000 server』、『HP NonStop S76000 server』の2機種を発表した。現行機種と比較して処理能力が150~190%向上したという。また、NonStop Server向けのRDBMSの新バージョン『NonStop SQL/MX』を発表し、国内での無停止型データベース市場に本腰を入れて参入するという。月額レンタル料金はNonStop S86000 serverが220万円から、NonStop S76000 serverが200万円からとなっている。2機種とも、本日付けで出荷を開始する。なお、販売はコンパックコンピュータと日本ヒューレット・パッカード(株)の合併完了まで両社が行なう。

『HP NonStop S86000 server』『HP NonStop S76000 server』(モックアップ)『HP NonStop S86000 server』『HP NonStop S76000 server』(モックアップ)。高さは約1.8mある。前面パネルのロゴは“HP”に変更となった

コンパックの無停止型並列サーバーはこれまで“Compaq NonStop Himalaya(コンパック ノンストップ ヒマラヤ)”というブランド名で知られてきたが、米コンパックコンピュータ社と米ヒューレット・パッカード社の合併に伴って、今後は“HP NonStop Server(エッチピー ノンストップ サーバー)”に変更した。2003年に予定している性能向上型、2004年に予定しているItaniumへのプロセッサー変更(現在はMIPS R14000)など、発表済みの製品ロードマップについてはいっさい変更ないとしている。

NonStop Serverは金融、通信事業者など24時間365日の稼働が求められる分野向けに販売している製品で、年間稼働率は99.9999%(システム停止時間30秒以下)を誇っている。世界の証券取引の95%や世界中の資金移動の約70%(1日当たり約240兆円)がNonStop Server(Himalaya)上で処理されているという。日本では大和證券グループが基幹データベースサーバーおよびウェブサーバーとして導入されているほか、大手製造業の上位10社以上でカンパニー間を結ぶ基幹システムとして使われているとしている。

常務取締役で営業統轄本部長の吉田雅彦氏
常務取締役で営業統轄本部長の吉田雅彦氏

常務取締役で営業統轄本部長の吉田雅彦氏は「これまで顧客との取引情報はバッチによって処理した静的データベースをもとに、ダイレクトメールなどを送っていたが、今はコールセンターに電話がかかってきた時点で(その顧客の)取引履歴を見て対応したいという、動的データベースへの要求が強くなっている」と述べ、オープンスタンダードの採用で連携を強化した高性能無停止型データベースサーバーの重要性をアピールした。

従来機比1.5~1.9倍の性能アップ

従来の最上位機種『Compaq NonStop Himalaya S74000』ではプロセッサーにMIPS R12000-300MHzを採用していたが、S86000ではMIPS R14000-550MHz、S76000はMIPS R14000-500MHzを採用したほか、システムバスクロックをS74000の50MHzから110MHz(S86000)/100MHz(S76000)に引き上げた。これによって、S74000と比べてS86000は190%、S76000は150%の性能向上(※1)を果たしたという。プロセッサークロック以外のS86000とS76000の違いは2次キャッシュメモリーで、S86000が8MB(DDR)を搭載するのに対し、S76000は4MB(SDR)となっている。1プロセッサーあたりのメモリーはS86000/S76000ともに最大16GBとなっている。

※1 コンパック社内で行なった、TPCCベースのベンチマークテストによる比較。

NonStop Serverの過去から未来へのロードマップ
NonStop Serverの過去から未来へのロードマップ。2003年にはMIPS R16000を搭載したS88000/S78000、2004年にはItaniumを搭載した製品(名称未定)を予定している

筐体は前面・背面のパネルデザインにロゴなど多少の変更があるものの、基本的に従来のNonStop Sシリーズと共通で、同じ筐体内にS74000、S76000、S86000のPMF(プロセッサー・マルチファンクション・ユニット)を混在して利用できる。

『NonStop SQL/MX』の特長
『NonStop SQL/MX』の特長

また、同時に発表したRDBMS『NonStop SQL/MX』は、“ANSI/ISO SQL-92”規格に100%準拠したほか、XMLやJavaで定義することでダイレクトにデータベースの参照/更新が可能となった。これによって、これまでの大規模OLTP(オンライントランザクション処理)市場、大規模DWH(データウェアハウス)市場に加え、無停止型データベースサーバー市場への参入するほか、「日本でも来年以降立ち上がる」とする、無停止型ウェブサービスサーバー市場にも対応するとしている。

なお今回の新製品の出荷開始に合わせ、無停止型データベースサーバーを導入しようとする企業に対して、各種のコンサルティングや技術支援、データベース設計支援などのサポートを行なう“データベースサーバ・コンピテンシーセンター”を東京・品川区のコンパック本社内に設置することも明らかにした。約30名を配置し、すでに活動を開始しているという。

発表会で示した、大和證券グループでの導入例
発表会で示した、大和證券グループでの導入例

コンパックはこれまで、NonStop Serverを核としてノンストップビジネス環境を提供する“ZLE(ゼロ・レイテンシー・エンタープライズ:無遅延型システム統合)”というコンセプトを提唱しているが、今回の無停止型データベースサーバーはそのコンセプトをさらに発展するものだとしている。2000年、2001年とNonStop Serverの売り上げは、NonStop Server事業がコンパックに買収される前の日本タンデムコンピューターズ(株)時代を通じて、過去最高を更新したという(金額は非公表)。インターネットはもとより、あらゆるビジネスが24時間対応の無停止型サービスを迫られる中で、コンパックおよび合併後の新生HPにおけるNonStop Server事業の位置づけはますます重要なものになっている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン