コンパックコンピュータ(株)は18日、グリッド・コンピューティングシステムの構築事業に参入、同社内ソリューション・センター(東京都品川区東品川)内に“コンパック・グリッド・サポートセンター”を開設したと発表した。
“グリッド・コンピューティング”とは、物理的に分散している複数台のスーパーコンピューターなどのコンピューターを結び、ストレージやアプリケーションソフトなどのリソースを共有して利用するための技術。グリッド・コンピューティングの実現により、遠隔地のリソースを使ったり、単一計算機では処理できない規模の計算を別のコンピューターに行なわせることも可能となる。
“コンパック・グリッド・サポートセンター”では東京・大阪・つくばの3拠点と米Marlboro、Nashua、仏Annecy、アイルランドGalwayにあるセンターに接続し、グリッド・コンピューティング環境のデモンストレーションや各種ツールの検証などを行なっている。
システム開発に使用されるソフトウェアは、米Avaki Corporationのソフトウェア『AVAKI』や、オープンソース『Globus Toolkit』などを採用。
発表とともに、流体解析アプリ『Star-CD』、3D CGアプリ『Pobray』を、遠隔地にあるPCにアクセスして利用するデモンストレーションが行なわれた。
各種デスクトップ・ノートパソコンはもちろん、PDA『iPAQ』を利用した監視管理なども可能だという。
分散並列処理を行なった例。図形の計算を東京・大阪・つくばのマシンが分担して行ない、マンデルブロー集合の図形を描画している。画面の一番右側に開いているウィンドウはアプリケーションの選択ボタン |
iPAQにPHSカードを接続してあるサーバーにアクセスした一例 |
このシステムは主にライフサイエンス分野、ナノテクノロジー研究分野など、大規模なデータ処理を行なうことの多い研究機関でのニーズがあった。これらの分野および製造業が有力なユーザーとなると同社では見ている。
テクニカルサポート本部兼HPTC推進部の中野守氏は「試験的に研究機関での運用がスタートしているが、今後は商用に、基幹業務に関わる業務にも利用できるような方向に開発を進めていく。今後10年の中で最も核になるのがグリッドだと言われており、次世代のITインフラを作ることを最終目標としている」と述べている。