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米トランスメタ、新CEO来日記者会見で日本市場重視戦略を表明、日本語サイトも開設

2002年05月30日 11時52分更新

文● 編集部 佐々木千之

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渋谷からCrusoeのメッセージを発信する

最後に米トランスメタ日本代表の和田信氏が、日本市場に向けての具体的な活動について説明した。和田氏はまず、同社の主要な顧客やユーザーが日本に集まっているにもかかわらず、ウェブサイトは英文のものしかないなど、あまり情報提供をしてこなかったが、今後は日本向けに積極的に情報を発信していくとして、トランスメタの日本語ウェブサイトをオープンしたことを披露した。

日本代表の和田信氏
『VAIO U』を持つ、日本代表の和田信氏

さらにジャパン・ファースト戦略の具体的な活動として、“次世代のモバイル・ライフスタイル”をテーマとした日本独自のマーケティング活動を展開するという。その第1弾として、渋谷の文化をモチーフとして、エンドユーザーに日本独自のユビキタスコンピューティングスタイルを発信するCrusoeポータルサイト“Crusoe Mobile Wander Web”(仮称)を、10月半ばに立ち上げることを明らかにした。

“Crusoe Mobile Wander Web”(仮称)の概要
“Crusoe Mobile Wander Web”(仮称)の概要

このサイトでは、(株)シブヤテレビジョンの“sibTV”提供による映像番組コンテンツ、渋谷に設置したウェブカメラ映像、タウン情報などを発信していくという。また、OEMパートナーやソフトウェアパートナー、コンテンツサプライヤーなどと共同マーケティングも行なうとしている。

和田氏は「渋谷はここ30年ほど新しいライフスタイルを発信してきた場所であり、ビットバレーというIT企業の中心地でもある。若者だけでなく、大人の街としての動きもある」と、渋谷を選んだ理由を説明した。

記者会見は渋谷駅前の“Q FRONT”ビルで行なわれた記者会見は渋谷からの情報発信を意識してか、渋谷駅前の“Q FRONT”ビルで行なわれた

足場を固めるための日本市場重視

会見後の質疑応答の際には、日本市場以外の戦略についてはどう考えているのかといった質問が出た。これについてペリー氏は「小さな会社なので、まず強いところで足場を固めたい。もちろん全世界で成功したいと考えており、(日本の後は)米国、ヨーロッパ、アジアに注力する」と応えた。

米トランスメタは4月18日(米国時間)に2002年代1四半期(1~3月期)の決算を発表したが、売上高410万ドル(約5億1000万円)、純損失3090万ドル(約38億4000万円)と、前年同期比よりも悪い結果となり、最高財務責任者が辞任する事態となっている。これは、TM5800の生産が予定通り進まなかったこともあるが、大きくは日本以外の市場ではCrusoeがほとんど浸透していないことが原因だ。Crusoeの最大かつ(ほとんど)唯一の市場である、日本のモバイルコンピューター市場においても、「今のCrusoeのシステムははっきり言ってメインではない。しかし、新しいスタイルの提案として使ってもらっていると自負している」と和田氏が言うように、ニッチな存在にとどまっている。

同社はこれまでも日本市場を重視する姿勢を表明しているが、今回改めてそれを強化すると発表したことは、世界最大のモバイルコンピューター市場である日本においてなんとしてもメジャーな存在になり、その実績を背景として世界市場にCrusoeの優位性をアピールしたいという狙いがあると考えられる。株価も過去1年でおよそ5分の1まで下がってしまっており、「強いところで足場を固めたい」というペリー氏の言葉は切実なものだろう。

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