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浜崎あゆみ・プレステ2用ミュージックビジュアルソフト制作の舞台裏(後編)

2002年01月26日 00時00分更新

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■本番直前に発覚したアクシデント

――ノイズはどのように回避されたんですか?

【奥野】話せば長いんですよね(笑)。

【吉村】デジタル出力としてカメラから画像データーを出す方式を考えましたから、複数のカメラが混在することでノイズが出る。これが非常に苦労した。大幅な仕様変更をしてこれに対応したり、ところが…。

【奥野】前日の東京ドームでのセッティングまでは、何も問題なかったですね。実際に舞台にカメラ2台セッティングして、モニタで監視してたら、暗い部分でノイズが出だしたんです。それからが大変で、ケーブルに飛び込んでいるんじゃないかと思ってシールドしたり、電源のスイッチングノイズじゃなかと探ったり、熱くなっているからじゃないか、とか色々検討したんですが分からなかった。幸い、映像には直接影響がなかったんですけど。

――原因はわからなかった?

【奥野】いや、わかったんですよ。その後、3人でいろいろシミュレーションしました。あの時でたノイズを再現させようと。で、結局はトランシーバだったんですね。

【翠川】さっきもお話したようにヘッドと本体切り離してますんで、ヘッドへの飛び込みじゃないか?と

【奥野】東京ドームでは、スタッフがインカムとかトランシーバー使って作業してるんですけど最初はそれほど数は多くなかった。ノイズが入って来たのは、本番になってスタッフが所定の位置につきはじめてからですね。このカメラのそばにもトランシーバを持っていた人、インカム使ってた人が2名いらしたのを覚えてます。

モーニング娘。で使った初代機にはなかったオーディオ回路なども搭載された同社の色再現性にすぐれた医療用カメラがベースになっているが、CCDは縦置きにしている

――現場はどんな雰囲気だったんでしょうか?

【奥野】撮影現場に行ったことのないソニーのサラリーマンがそういうプロの現場に撮影隊として入ったわけです。段取りもわからない、言葉もよくわからない。例えばADって何?って感じでした。あー、アシスタントディレクターかーという感じです(笑)。

撮影の時に制作スタッフの方々と我々との間で意識の乖離があったと思うのは、FC1は1台のカメラととらえがちです。でも実際には8台のカメラが内蔵されている。「それでは調整してください」と指示が出ましても特殊なカメラだからすぐには終らないわけですね。「通常なら30分でできるはず」と言われても通常のカメラではそうかもしれませんが(笑)そうはいかない。ノイズの原因追求、セッティング、調整には相当時間がかかり、とにかくお叱りをいただいたのが多かったです。

――東京ドームという場所ゆえの大変さはありましたか?

【翠川】たとえばACが使えないってことですかね。この「A VISUAL MIX」のディスクにも入ってますけど、東京ドームの真中にカメラを置いて30時間コマ撮り撮影をやったんですよ。東京ドームに巨大なステージが登場するその変化を時間を縮めて撮影してみようと。ただ、電源がなかったので巨大なバッテリを持ち込んで、しょっちゅう充電しながらやったんです。

【吉村】30時間も撮影していると刻々と東京ドームの屋根が明るくなっていくんですね。で、8台のカメラを同時に調整しなければならず、苦労しました。また、当日は我々ソニーファミリー以外に4グループくらいの撮影隊が参加してましたから場所のシェアも製作スタッフの方々は苦労されたと思います。ケーブルもものすごい量になるし。たとえノイズが発生しても場所を特定しにくい環境だったですね。

【吉村】100mのケーブルが8本必要だったんですが、もう現場をはいずりまわって「そこひいちゃダメだぁ」って、怒られたり(笑)。我々はプロの撮影隊として周囲から見られていたと思うけど、その実態は完全な素人集団。いきなりもっとも厳しいプロの撮影現場に来てしまったのですね。

【奥野】常にそうでしたね。待ち時間か怒られているかどちかでした(笑)。

【吉村】ライブ撮影特有の苦労もしました。ベーカム14台以外にこのFC1を2台、ステージの上に置くということは大変なことなんです。結構本体が大きいせいもあって、そのまま置きっぱなしにするわけにはいかない。お客さんから浜崎さんが見えなくなっちゃいますから。かと言っていい場所に置かないと何の意味もない。



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