ペンツールからフィルタまで
描画機能の充実にも注目
Adobe LiveMotionの主要パネル。キャンバス上の図形や文字に対して、これらのパネルでさまざまな属性を編集することができる。よく使うパレットを1つのウィンドウにまとめる、使わないパレットを非表示にするといったカスタマイズができる。 |
実際にイラストを作成してみて便利に感じたのが、3Dの文字やボタンが簡単に作成できるところ。パレットの一つに「3D」が用意されており、ここで3D効果の種類(カットアウト/エンボス/ベベル/波紋の4つ)と、深さやぼかし、照明、角度などの値を設定すれば指定したオブジェクトが簡単に3D風の画像になる。これを利用することで、“クリックするとヘコむ”ボタンを作る場合でも、クリックする前の画像に「エンボス」、クリックしたときの画像に「カットアウト」を指定するだけで、いともたやすく作れる。
テクスチャとスタイルのパレット。テクスチャは背景やオブジェクトに対して割り付けられる画像が、スタイルはオブジェクトの属性情報などが登録されている。標準で多くのテクスチャやスタイルが用意されているほか、ユーザー自身が登録して拡充することもできる。 |
定番ツールとの強力な連携
インターフェイスも統一
Adobeお得意の、同社の他アプリケーションとの連携も充実している。PhotoshopやIllustratorファイルを直接読み込めるのはもちろん、レイヤー情報も復元される。このレイヤーは1オブジェクトのレイヤーとして扱うことも、1レイヤーごとに複数のオブジェクトに分割することもでき、さらに複数のレイヤーをアニメーション(各レイヤーをパラパラアニメの1コマ)として取り込むオプションまで用意されている。また、読み込んだファイルを選択した状態で編集メニューにある「オリジナルを編集...」を実行すれば、作成元のアプリケーション(PhotoshopやIllustrator)が自動的に立ち上がって編集でき、そこで行った変更は、LiveMotionにも即座に反映される。
もちろん基本的なユーザーインターフェイスやショートカットの類は、PhotoshopやIllustratorとの統一が図られている。アニメーション作成ツールは機能が膨大な分、とかく操作が複雑になりがちだが、定番ツールとインターフェイスをそろえることで、戸惑うことなく入り込めるよう演出されている。プロやハイアマチュアの定番ツールとして君臨する2つのビッグネームを抱える、Adobeならではの大きなメリットだ。
Web向けアニメーション作成ツールの元祖といってもいいマクロメディア「Macromedia Flash」と比較して、LiveMotionが勝っている点は、
- Photoshopのフィルタが利用できる
- 3D形状のオブジェクトが簡単に作成できるなど、見栄えのするイラストがLiveMotion単体で作れる
という部分が挙げられる。加えて、すでにPhotoshopやIllustratorを利用しているデザイナーにとっては、それらのアプリケーションのレイヤー構造を活用できる面でも、LiveMotionを使うメリットは大きい。一方のFlashは強力なスクリプト言語「ActionScript」を搭載し、高度なゲームまで作れてしまうほどのインタラクティビティの高さが魅力だ。それぞれに譲らぬ魅力を持っており、おそらく実際の制作現場では用途に応じて両方のツールが使われていくものと思われる。もし、これからWebアニメーションの入り口に立ってみようと考えているユーザーには、これ1本でアニメーションを作成していけるLiveMotionをお勧めしたい。
価格 | オープン 3万7800円(Adobe Store価格) |
---|---|
発売元 | アドビシステムズ |
問い合わせ先 | カスタマーインフォメーションセンター 03-5350-0407 |
URL | http://www.adobe.co.jp/ |